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一次相続よりも重要?二次相続対策について解説!

2024年10月06日

相続対策を検討するうえであらゆる視点を持って対策をすることが重要です。多くの人が漏れてしまうのが一次相続・二次相続でかかる税金の額をトータルで考えることです。

相続財産の配分や税額の計算や節税対策をする際には必ず一次相続・二次相続をふまえて考える必要があります。

当記事では一次相続・二次相続をふまえた対策について解説します。

一次相続・二次相続とは

一次相続は夫婦のうち一方が亡くなったタイミングの相続で二次相続は、将来遺されたもう一人の相続人が亡くなるタイミングです。

例えば、夫が先に亡くなった場合は夫が亡くなったタイミングが一次相続、妻が亡くなったタイミングが二次相続となります。一次相続のタイミングは配偶者控除や小規模宅地の特例等、税額控除の軽減効果が大きい特例を適用できることが多いことや、相続人も一人分多いため、基礎控除(計算式:3,000万円+法定相続人の数×600万円)や生命保険の死亡保険金で利用できる非課税枠(計算式:法定相続人の数×500万円)の金額も大きく相続税の申告が必要であってもそこまで税負担が大きくならない例が多いです。

一方で、遺されたもう一人の親が死亡したタイミングでは、財産を取得する者が1人になるため利用できる対象の特例が少なく、遺産に対して課税される金額が大きくなってしまう傾向があります。父と母が亡くなった時にはもう出来ることは少ないので生前に有効な対策を早めに検討する必要があります。

二次相続をふまえた相続税対策

二次相続をふまえた相続税対策をするためには具体的にどのようなことをすればよいのでしょうか。

一次相続・二次相続をふまえたシミュレーションを実施し分け方を決定する

相続税対策をする際はまずはシミュレーションを実施することが重要です。一次相続と二次相続でどれくらい相続税がかかるか計算をしてみるとよいでしょう。相続税の計算をするためにはまずは預貯金、株式、不動産など課税対象となる財産をまとめて一覧の表にし、総額を確認する必要があります。基礎控除を大幅に超える財産を保有している場合は、節税効果の大きい対策を検討する必要があるでしょう。

夫婦の財産の内容によってどのような分け方が節税につながるか異なりますので、法定相続分で分けた場合と子どもが多めに資産を遺産相続する場合など、可能性として考えられるさまざまなパターンでシミュレーションをしてみましょう。夫婦で財産を渡し合いをすると、相続した分、2人の財産が加算され、合計した金額となるため二次相続での負担が大きくなるケースが多いですが、夫婦の財産状況によって結果は大きく異なります。そのため、ポイントをおさえて対策を検討する必要があります

シミュレーションをした結果、分け方を決めることができれば家族で協議をしたうえで、生前に遺言書を作成し、事前に検討した通りの配分を実現できるようにしておくとよいでしょう。相続発生後、相続税の申告期限までは原則10ヶ月と期間が短く、遺言を作っておくことでスムーズに手続きに入ることができます。ただし、今後税制改正があるかもしれませんので、重要な改正があった際は再度検討するようにしましょう。

しっかりと事前に検討して分け方を決めておくことで両親から相続で財産を取得する際に実際に支払う税金が減るため、多くの財産を次の世代に遺すことができます。

生前贈与を実施する

シミュレーションをしたうえで相続税の負担が多くなりそうな場合は生前贈与を活用することを検討してみるとよいでしょう。贈与税には基礎控除があり、1人あたり年間110万円以下であれば非課税で贈与をすることができます。生前に毎年現金で贈与を行っておくことで被相続人が亡くなった時に課税価格に算入される財産を減らすことができるため相続税を減らすことができます。

生前贈与には教育資金贈与の特例や住宅取得資金贈与の特例など資金使途は限られるものの条件を満たせば一括で贈与ができる特例もあります。資産が多い方は家族に財産を遺すために贈与の方法についても検討してみるとよいでしょう。

ただし、要件を満たす人にのみ最大限一括で贈与を受けると、相続人間で取得する財産の割合に不公平が生じ、トラブルになりやすく注意が必要です。大きな節税効果に注目するだけでなく、全員が納得できるように対策を行うことも重要です。

小規模宅地の特例を利用できるようにする

居住用の自宅を維持することを理由に自宅不動産を取得する場合には優遇される制度が設けられています。

小規模宅地の特例とは自宅の土地の評価を最大330㎡まで80%減額できる制度で、利用できる場合は非常にメリットが大きいので、是非利用したい制度です。自宅の土地がアクセスの良い場所にある場合、土地だけで1億を超える評価になる場合もあります。小規模宅地の特例は子供が相続する場合でも同居をしている場合や持ち家を相続開始前3年間保有していない場合は利用できる場合があります。

所有している自宅の土地の評価が高い場合は、家賃を支払うことにはなりますが持ち家を持たずに賃貸マンションに住んおき、小規模宅地の特例を利用できる状況にしておくことを検討してみてもよいでしょう。

小規模宅地の特例を利用することで基礎控除以内に収まる場合は相続税が0円になりますが、申告は必要ですので気を付けましょう。

節税対策は税理士に相談を

人によってそれぞれ財産の内容や相続人関係が違いますので、節税対策をする際は事前にシミュレーションをして、自分にあった対策をすることが重要です。税額を計算するためには自分で情報を得て各種特例の適用可否なども判断する必要があります。

しかし、相続税の計算は複雑で、遺産分割の方法などによっても納税額が異なります。また、土地や建物などの評価額を確認することも、知識がなく慣れていない一般の人が短い期間で行うことは簡単ではないでしょう。また実際に誤って申告をし、税務署から税務調査で確認された場合は加算税を請求されることもあります。

相続税の計算が難しい場合は、税金の専門家である税理士に相談することをおすすめします。税理士にサポートを依頼することで費用はかかりますが、それ以上に節税できる場合もありますし、確実に効果が出る対策を検討することができるため安心です。遺される子の納税負担を軽減するためにも専門家に相談をしてみるのはいかがでしょうか。

自身で行うことが難しく、税理士に相談する際は相続・贈与を専門的に扱っている実績のある税理士事務所・税理士法人に相談をしてみるとよいでしょう。面談する場合は不動産など財産を特定する資料を持っていくとスムーズに相談することができます。初回の相談はサービスで無料で応じてくれることが多いので、気軽に電話やメールで問合せてみるとよいでしょう。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい