被相続人が保有しているあらゆる財産が相続税の課税対象財産となります。相続税の課税対象財産となるということは、内容によって評価をしなければいけません。今回は美術品や骨董品の相続税評価について解説します。
美術品や骨董品の評価方法とは
被相続人の財産が相続税の基礎控除以下の場合、各種財産の評価額を気にする必要がありませんが、基礎控除を超える財産を保有する方が亡くなって遺産相続をする場合、受ける財産の評価額をきちんと一つずつ算定する必要があります。
現金や株式などの有価証券、土地・建物などの不動産はもちろん、金など相場がある程度わかりやすい現物資産に比べても、一般に販売されているものではないため、絵画などの美術品や骨董品の適切な価値を把握することは非常に難しいことです。
国税庁のHPには美術品などの価格算定については鑑定書はそれに類する書類を準備することや、適当な取引事例を参考に評価すると記されています。取引事例とは種類や作者や年代などが類似するものを参考に、ポイントをおさえて市場での価値を推定すると必要があります。また、購入した際の金額が分かれば、参考にすることが可能です。
つまり、所有する美術品や骨董品を売却した場合いくらになるのか鑑定をするか、類似商品の価格から類推して、評価額を算定し、相続税の申告をするということです。鑑定には費用がかかりますが、類似の事例などの情報が無ければ専門家や専門の業者など、美術品や骨董品に精通する人に鑑定を依頼するしかないでしょう。また、美術品や骨董品の数が多い場合は、鑑定にも時間がかかってしまいますので、早めから対応を準備しておく必要があります。
美術品や骨董品を相続する場合の注意点
次に美術品や骨董品を相続する場合どのような問題が発生するのでしょうか。相続時の注意点を紹介します。
相続税がかかる
美術品や骨董品は評価額が高いものに関してはしっかりと相続財産として評価し、相続税の申告を行う必要があります。財産として記載しないと税務署から調査が入り、指摘される可能性もあります。
まずは相続税がいくらかかるかを把握することが重要です。相続税がいくらかかるか計算するためには美術品や骨董品を査定するだけでなく、被相続人が保有する財産の全体像を把握する必要があります。
被相続人の資産を一覧にし、相続税を計算してみることをおすすめします。一覧にして、相続人全員に公開することで、承継する財産に対してどれくらいの税金がかかるのか把握することができるので、話し合いをスムーズに進めることができるでしょう。
美術品や骨董品を引き継ぐ人は相続税を支払うための資金も引き継いでおく必要があります。そのため、いくら相続税がかかることを知ることは、納税する資金を準備しておくという意味でも非常に重要になります。
誰が相続するか考える必要がある
相続人が複数いる場合、誰が美術品や骨董品を相続するか決める必要があります。高価なものであれば、相続税を負担する必要がありますし、代々引き継がれたものであれば、簡単に売買することもできず、保管が負担になることもあるでしょう。法律で定められている通り、相続人間で分けて相続するということができず、場合によっては現金で清算する必要が出てくる可能性があります。
また、高額の美術品や関連の資産を多く引き継ぐことで一人の相続人が財産の多くを引き継ぐことになり、美術品が相続の対象となることが理由となり、バランスが崩れることもあります。
多くの相続人で共有するわけにはいかないので、誰が相続するかを決める必要があります。相続が発生した後、話しあうことが難しい場合は、遺言を作成するなど事前の対応を行っておいた方がよいでしょう。趣味で保有していた絵画などを相続人が引き継ぐことが難しいと判断したケースでは、生前に美術館に寄付することも選択肢の一つとなります。
相続発生後に相続人間での話し合いが長引き、期限までに申告できないと、家族の間で関係が悪化するだけでなく、原則各種特例が利用できないなどデメリットが大きいため、話し合いが長引かないようにすることが重要です。
相続税の申告は税理士に相談を
さまざまな資産を評価する必要があるため、相続税の申告は経験がない人にとっては簡単なものではありません。一般的な財産しかない、通常の相続でも制度は複雑で手続きは難しいものですが、美術品や骨董品など評価が難しい財産があるとさらに難易度があがってしまいます。
相続税の申告で困ったときは税理士や税理士法人に相談するようにしましょう。電話やメールなど気軽に相談できる税理士も多くあります。
税理士に申告を報酬を支払う必要がありますが、税の専門家である税理士に依頼することで、各種特例などもしっかり適用することができるため、安心です。まずは無料相談などを活用して、税理士に相談してみるとよいでしょう。
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