生前贈与を受けたが、事情があって相続放棄を希望するケースは珍しくありません。
「生前贈与を受けたが、相続放棄は可能だろうか?」
「相続時精算課税制度を利用したが、相続放棄した場合の税金はどうなるのか」
といった悩みをお持ちの方もいるでしょう。
結論から申し上げると、生前贈与を受けたり相続時精算課税制度を利用したりしても相続放棄は可能です。
ただし、税法上の扱いや相続税申告、相続財産の考え方には注意が必要です。
本記事では、相続時精算課税制度と相続放棄の関係、注意点や手続き方法について詳しく解説します。
相続時精算課税制度とは?
相続時精算課税制度とは、一定額までの生前贈与について贈与税を抑え、相続発生時にまとめて相続税を計算する課税制度です。
60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子どもや孫へ贈与する場合に利用できます。
相続時精算課税制度の主な特徴は以下の通りです。
- 累計2,500万円まで特別控除が利用可能
- 控除額を超えた部分には一律20%の贈与税
- 相続発生時に贈与財産を相続財産へ加算して相続税を計算
- 一度利用すると暦年贈与へ戻せない
生前贈与を活用した相続税対策として利用されるケースが多い一方で、制度内容を十分理解せずに利用すると、相続発生後にトラブルになる可能性もあります。
相続時精算課税制度と相続放棄の関係
相続放棄をすれば、被相続人の財産や債務の一切の放棄が可能です。
借金などのマイナス財産が多い場合に利用されます。
なお、生前贈与と相続放棄は異なるため、生前贈与を受けても相続放棄は可能です。
相続時精算課税制度を利用していても同様です。
ただし、税法上の扱いには注意が必要です
相続放棄を行う場合は、相続開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述しなければなりません。
また、相続放棄を希望する場合は、相続を知った日から3ヶ月以内に手続きが必要です。
相続が発生した日ではなく、「知った日」であることを注意しましょう。
必要であれば、税理士などの専門家に相談してサポートを受けることがおすすめです。
相続放棄した場合、贈与財産はどうなる?
相続放棄した場合でも、相続時精算課税制度を利用して受け取った生前贈与財産を返還する必要はありません。
相続放棄は、あくまで「相続開始後の相続権」を放棄する手続きです。
一方、生前贈与は被相続人が生前に行った契約行為であるため、原則として別の扱いになります。
そのため、すでに受け取っている贈与財産については、相続放棄後も所有し続けることが可能です。
ただし、相続税の計算では注意が必要です。
相続時精算課税制度を利用した贈与財産は、相続発生時に相続財産へ加算して相続税を計算する仕組みになっています。
そのため、相続放棄したケースでも、相続税申告が必要になる可能性があります。
状況によっては、相続人同士で不公平感が生まれ、トラブルへ発展するケースもあるため注意しましょう。
相続時精算課税制度を利用して相続放棄をする場合の注意ポイント
ここでは、相続時精算課税制度を利用して相続放棄をする場合の注意点や対策方法を紹介します。
前述したように、相続時精算課税制度は相続発生時に相続財産へ加算して相続税を計算するため、放置しておくとトラブルに発展する恐れもあります。
相続税が発生するケース
相続放棄した場合でも、相続時精算課税制度を利用した生前贈与財産によっては、相続税申告が必要になる可能性があります。
「相続放棄したから何も手続きしなくてよい」と考えてしまうと、申告漏れにつながる恐れもあります。
特に、現金だけでなく不動産や自社株などを贈与されている場合は、財産評価が複雑になりやすいため注意が必要です。
借金や債務状況を確認しておく
相続放棄を検討する場合は、被相続人の債務状況を事前に確認しておくことが重要です。
相続財産には、預貯金や不動産だけでなく、借金やローンなども含まれます。
なお、一部の財産を処分した場合、相続放棄が認められなくなるケースもあるため注意しましょう。
例えば、家財道具を処分した場合も該当する可能性があります。
分からない場合は、税理士をはじめとする専門家に相談するのがおすすめです。
不動産がある場合は慎重な判断が必要
相続財産に不動産が含まれる場合は、慎重な判断が必要です。
不動産は分割が難しく、相続人同士でトラブルになるケースも少なくありません。
また、固定資産税や管理費などが発生する可能性もあります。
相続時精算課税制度を利用して不動産の生前贈与を受けている場合は、相続税評価額や将来的な管理負担も考慮しながら判断しましょう。
相続時精算課税制度と相続放棄に関するよくある質問
相続時精算課税制度を利用しても相続放棄できますか?
はい。原則として可能です。
ただし、相続税や贈与財産の扱いには注意が必要なため、税理士へ相談しながら進めることをおすすめします。
相続放棄後も相続税申告が必要になる可能性はありますか?
条件によってはあります。
相続時精算課税制度を利用した生前贈与財産は、相続税計算へ影響するケースがあります。
相続放棄の手続きはどこで行いますか?
原則として、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で手続きを行います。
分からない場合は、税理士などの専門業者に相談してみてください。
相続時精算課税制度や相続放棄は専門家へ相談しよう
相続時精算課税制度を利用していても、原則として相続放棄は可能です。
ただし、相続税申告や贈与財産の扱いなど、通常の相続とは異なる注意点があります。
また、相続人同士のトラブルや申告漏れにつながるケースもあるため、自己判断で進めるのは危険です。
相続時精算課税制度や相続放棄を検討している場合は、相続に強い税理士や弁護士などの専門家へ早めに相談しましょう。
広島相続税相談テラスでは相続税法に詳しい、実績のある税理士が多数在籍しており、相続発生前のシミュレーションや、将来遺産相続が発生した後の申告手続きや書類の作成をサポートしています。
相続時精算課税制度や相続放棄について不安がある方は、お気軽にご相談ください。