家族が亡くなると、ほとんどの場合に相続が発生します。
相続の手続きは法律に沿って行う必要があるため、不安になる方もいるでしょう。
また、
「相続手続きをしなかったらどうなるのだろう」
「相続税の申告を放置すると問題になる?」
「相続放棄や不動産の名義変更には期限があるのか知りたい」
このような不安を抱える方も少なくありません。
相続では、相続税申告だけでなく、不動産の名義変更、預貯金の解約、相続放棄など、さまざまな手続きが必要です。
相続手続きを放置すると、延滞税や加算税が発生したり、不動産の相続登記義務違反になったりする可能性があります。
本記事では、相続手続きをしなかった場合に起こり得るリスク、各手続きの期限、注意点について分かりやすく解説します。
相続手続きをしなかったらどうなる?
相続手続きをしないまま放置すると、さまざまな問題が発生する可能性があります。
相続では、主に以下のような手続きが発生します。
- 相続税の申告
- 相続放棄
- 不動産の相続登記
- 預貯金の解約
- 遺産分割協議
それぞれの手続きには期限や必要書類が異なるため、放置していると手続きが難しくなるケースもあります。
また、相続人が死亡するとさらに新たな相続が発生し、相続関係が複雑になる恐れもあるので、注意が必要です。
まずは、「どの手続きが必要なのか」「手続きの期限はいつか」を整理することが大切です。
相続税の申告をしなかった場合のリスク
相続税の申告が必要にもかかわらず放置した場合、延滞税や加算税が発生する可能性があります。
相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。
相続税の課税対象になる財産がある場合、期限内に申告と納税を行わなければなりません。
期限を過ぎると、以下のような税金が別途発生する可能性があります。
また、配偶者控除や小規模宅地等の特例などを利用する場合も、期限内の申告をすることが条件です。
そのため、放置すると、本来受けられた節税制度を利用できなくなる可能性もあります。
なお、被相続人であっても相続人との関係が疎遠だった場合、相続の発生を知らない場合もあるでしょう。
その場合は「相続があることを知った日」が相続の発生日になります。
相続放棄をしなかった場合のリスク
借金などを理由に相続放棄を検討している場合、期限に注意が必要です。
相続放棄は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った日から3か月以内」に家庭裁判所へ申述しなければなりません。
この期限を過ぎると、単純承認したとみなされる可能性があります。
単純承認になると、借金やローン、未払い金なども含めて相続する可能性があります。
また、被相続人の財産を勝手に処分した場合なども、相続放棄が認められなくなるケースがあるため注意が必要です。
相続財産の内容が不明な場合は、できるだけ早く税理士などの専門家へ相談しましょう。
なお、相続放棄をする場合は、家庭裁判所へ相続放棄申述書を提出する必要があります。
一般的な流れとしては、戸籍謄本など必要書類を収集し、申述書を作成したうえで家庭裁判所へ申述を行います。
その後、裁判所から照会書が届くケースもあるため、内容を確認して適切に対応することが大切です。
不動産の相続登記をしなかった場合
不動産を相続した場合、名義変更である相続登記が必要です。
これまでは相続登記をしなくても罰則はありませんでしたが、2024年4月より、相続登記が義務化されています。
相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行わなければなりません。
正当な理由なく放置した場合、過料が科される可能性があります。
また、相続登記をしないまま放置すると、以下のようなデメリットが生じる恐れがあります。
- 不動産売却が難しくなる
- 時間と共に相続人が増えて権利関係が複雑化する
- 遺産分割協議がまとまらなくなる
特に、長期間放置された不動産は、相続人が何十人にも増えるケースもあるため注意が必要です。
このような建物は処分するのも難しくなるため、早めの対応が必要にあんります。
また、相続放棄をした場合でも、不動産を現に占有しているケースでは、一定期間管理義務が発生する場合があります。
建物を放置すると、老朽化や近隣トラブルにつながる可能性もあるため注意しましょう。
預貯金や口座が凍結されたままになる
金融機関は、口座名義人の死亡を確認すると預貯金口座を凍結するのが一般的です。
相続手続きをしないまま放置すると、口座のお金が引き出せず以下のような問題が発生する恐れがあります。
- 生活費を引き出せない
- 公共料金の支払いができない
- 口座解約が進まない
なお、預貯金を解約するには、以下のような書類が必要になります。
などが必要になるケースがあります。
金融機関によって必要書類や手続き方法が異なるため、早めに確認しておくことが大切です。
遺産分割を放置すると相続人同士のトラブルにつながる
遺産分割協議を行わないまま放置すると、相続人同士のトラブルに発展する可能性があります。
特に、以下のような場合は意見が分かれるポイントです。
- 不動産を誰が取得するか
- 預貯金をどう分けるか
- 実家を売却するか
などは意見が分かれやすいポイントです。
また、相続人の一人が死亡すると、さらに次の相続が発生し、権利関係が複雑になります。
相続人が増えるほど話し合いが難しくなり、手続きも長期化しやすくなるため注意しましょう。
相続手続きを進める際のポイント
相続手続きを進める際は、まず期限がある手続きを優先することが重要です。
特に注意したいのは、以下の通りです。
・相続放棄:3か月
・相続税申告:10か月
・相続登記:3年
また、相続財産の内容や相続人を整理するために、戸籍収集や財産調査、遺言書確認なども早めに行う必要があります。
相続手続きは状況によって必要な対応が異なるため、不安がある場合は税理士や司法書士、弁護士など専門家へ相談すると安心です。
相続手続きは状況によって必要な対応が異なるため、不安がある場合は専門家へ相談しながら進めると安心です。
まとめ
相続手続きをしないまま放置すると、延滞税や加算税、不動産の相続登記義務違反、相続人同士のトラブルなど、さまざまな問題が発生する可能性があります。
特に、相続放棄は3か月以内、相続税申告は10か月以内、相続登記は3年以内など、期限が定められている手続きも少なくありません。
相続は「あとでやろう」と考えているうちに状況が複雑化するケースも多いため、できるだけ早めに手続きを進めることが大切です。
不安がある場合は、税理士や司法書士など専門家へ相談しながら進めると安心でしょう。