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死亡退職金に相続税はかかる?非課税枠や相続放棄の際の注意点を解説

2026年08月24日

家族が亡くなった際、勤務先の会社から遺族へ死亡退職金が支給されることがあります。
死亡退職金は通常の相続財産とは異なりますが、一定の条件を満たすと「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。

ただし、相続人が受け取る死亡退職金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があり、全額に相続税がかかるわけではありません。
また、相続放棄した場合でも死亡退職金を受け取れる可能性がありますが、非課税枠の取扱いには注意が必要です。
この記事では、死亡退職金に相続税がかかる仕組みや非課税限度額の計算方法、相続放棄した際の注意点などを解説します。

死亡退職金は「みなし相続財産」として相続税の対象になる

被相続人の死亡によって勤務先から支給される死亡退職金や功労金などは、一定の条件を満たすと相続税の課税対象になります。
一例を挙げると、被相続人が死亡した後3年以内に支給が確定した退職手当金や功労金などです。
生前に退職していた場合でも、死亡後3年以内に支給額が確定したものは対象に含まれます。

死亡退職金は、被相続人が生前に所有していた現金や不動産などを遺産分割によって取得するものではありません。
しかし、被相続人の死亡を理由として遺族などが取得する財産であることから、相続税法上は相続または遺贈によって取得したものとみなされます。
これが「みなし相続財産」です。

なお、退職手当金等に該当するかは名称だけで判断するわけではありません。
名目にかかわらず、実質的に被相続人の退職手当金等として支給される金品であれば対象となり、現物で支給された場合も含まれます。

死亡後3年を超えて支給が確定した場合

死亡日から3年を経過した後に支給が確定した退職金は、みなし相続財産には該当しません。
この場合、受取人の一時所得として所得税の課税対象になります。
そのため、死亡退職金にかかる税金を確認する際は、金額だけでなく「いつ支給が確定したのか」を確認することが必要です。

死亡退職金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠がある

相続人が受け取った死亡退職金の全額に相続税がかかるわけではありません。
死亡退職金には、以下の非課税限度額が定められています。

『500万円×法定相続人の数=死亡退職金の非課税限度額』

すべての相続人が取得した死亡退職金の合計額が非課税限度額以下であれば、死亡退職金に相続税は課税されません。
非課税限度額を超える場合は、その超える部分が相続税の課税対象となります。

たとえば、法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人であれば、「500万円×3人=1,500万円」が非課税限度額です。
相続人が2人なら1,000万円、3人なら1,500万円となるため、法定相続人の数によって非課税となる金額は異なります。
なお、相続人以外の人が死亡退職金を取得した場合、この非課税制度は適用されません。

非課税枠を超えた場合の計算方法

複数の相続人が死亡退職金を受け取り、その合計額が非課税限度額を超える場合は、各相続人が受け取った金額の割合に応じて非課税額を按分します。
たとえば、法定相続人が配偶者と子ども2人の3人で、死亡退職金の総額が2,000万円だったとします。
非課税限度額は1,500万円なので、単純な合計では500万円が非課税枠を超えます。実際に各相続人の課税価格へ算入する金額は、それぞれが取得した死亡退職金の割合をもとに計算してください。
死亡退職金以外にも預貯金、不動産、有価証券、生命保険金などの財産がある場合は、それらも確認したうえで相続税の申告が必要か判断しましょう。

死亡退職金と相続税の基礎控除は別に利用できる

死亡退職金の非課税枠と、相続税全体に設けられている基礎控除は別の制度です。
相続税の基礎控除額は、以下の式で計算します。

『3,000万円+600万円×法定相続人の数』

死亡退職金について非課税限度額を適用した後、ほかの課税対象となる相続財産などと合計し、相続税の基礎控除を考慮して申告の要否や税額を判断します。
また、死亡保険金にも一定の非課税枠があります。死亡退職金と生命保険金ではそれぞれの制度が設けられているため、相続財産の総額を確認する際は混同しないことが大切です。

相続放棄しても死亡退職金を受け取れる場合がある

相続放棄をすると、原則として被相続人の預貯金や不動産などを相続することはできません。
一方、死亡退職金は通常の相続財産ではないため、相続放棄をしても受け取れるケースがあります。
ただし、誰が受取人になるかは、勤務先の退職金規程などによって異なります。
そのため、相続放棄を検討している場合は、死亡退職金を受け取る前に会社の規定や受取人について確認することが重要です。

相続放棄した人には死亡退職金の非課税枠が適用されない

相続放棄した人について特に注意したいのが、非課税枠の取扱いです。
相続放棄をした人も「500万円×法定相続人の数」を計算する際の人数には含まれます。
一方で、相続放棄した本人が受け取った死亡退職金については、非課税制度の適用を受けられません。
たとえば、配偶者と子ども2人が法定相続人で、そのうち子ども1人が相続放棄した場合でも、非課税限度額を計算する際の法定相続人は3人です。

したがって非課税限度額は、「500万円×3人=1,500万円」となります。

ただし、相続放棄した子どもが死亡退職金を受け取った場合、その子ども自身には非課税枠がありません。
相続放棄は、被相続人に借金があるケースなどで利用されることがあります。死亡退職金を受け取る予定がある場合は、相続権の有無だけでなく税務上の取扱いも確認しておきましょう。

死亡退職金と弔慰金は取扱いが異なる

被相続人が亡くなった際、勤務先から死亡退職金とは別に弔慰金や葬祭料などが支給されることがあります。
弔慰金は原則として退職手当金等とは異なる取扱いとなり、一定の範囲まで相続税の課税対象になりません。
被相続人の死亡が業務上の死亡である場合は、死亡当時の賞与以外の普通給与の3年分に相当する金額、業務上の死亡ではない場合は普通給与の半年分に相当する金額が一つの基準です。
これを超える部分は、死亡退職金として相続税の課税対象になるケースもあります。

また、弔慰金という名称で支給されていても、その実質が退職手当金等と認められる場合には相続税の対象となります。
そのため、勤務先から死亡退職金や弔慰金、各種手当金を受け取った場合は、それぞれの内容を確認する必要があります。

死亡退職金の相続税で注意したいポイント

死亡退職金は、通常の相続財産とは異なるルールで課税されるため、まず受取人、支給が確定した時期、支給額、勤務先の規定などを確認しましょう。
特に、相続放棄をする場合や死亡退職金の金額が非課税限度額を超える場合、ほかにも多額の相続財産がある場合などは、相続税の計算が複雑になることがあります。

また、企業型年金や個人型年金の死亡一時金についても、状況によって退職手当金等に該当するかどうかが異なります。
たとえば年金の受給開始前に死亡した場合の死亡一時金は退職手当金等に該当しますが、受給開始後に死亡した場合には取扱いが異なるので確認が必要です。

税額や申告方法の判断が難しい場合は、国税庁の資料を確認するほか、相続税を専門とする税理士や税理士法人などの専門家へ相談しましょう。
税務調査などのトラブルを避けるためにも、課税対象となる財産を正しく把握し、必要な手続きや納税を行うことが大切です。

まとめ

死亡退職金は通常の遺産分割の対象となる相続財産とは異なりますが、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した退職手当金等は、みなし相続財産として相続税の課税対象になります。
ただし、相続人が取得する死亡退職金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。非課税限度額を超える部分については、ほかの相続財産などと合わせて相続税を計算します。
また、相続放棄した人も非課税限度額を計算する際の法定相続人の数には含まれますが、本人が受け取った死亡退職金には非課税枠を利用できません。
死亡退職金のほかに弔慰金や生命保険金などを受け取る場合も、それぞれ課税のルールが異なります。
受取人や金額、勤務先の規定などを確認し、相続税の申告が必要か判断しましょう。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい