相続財産には預貯金や株式、生命保険などの金融資産だけでなく、土地、建物、金などの現物資産も含まれるため、あらゆる資産が相続税の課税対象となります。
金融資産に比べると土地・建物の評価は難しく、相続税の計算を正しく行うためにも重要です。特に農地は評価や農地法などの制度が複雑で、正しく遺産の評価を行うことが大切となります。
当記事では農地の相続についてわかりやすく解説します。
相続税の計算の流れ
農地の評価の前に、まずは一般的な相続税の計算の流れについて解説します。相続税の計算を行う際はまずは基礎控除を超えているかどうか確認する必要があります。
基礎控除は3,000万円+法定相続人×600万円で算出します。
相続が発生するとまずは各種財産の評価額を確認し、財産をまとめた一覧の表を作成します。財産の合計が基礎控除を超えていない場合は相続税の申告は必要ありません。
基礎控除を超えている場合は、法定相続割合どおりに分けたものと仮定し、税率に応じて各人の相続税を合計し、総額を求めたうえで、各人が実際に取得した割合に応じて税金を支払います。申告期限までに、配分割合も決めておく必要がありますので、相続人間でトラブルになると間に合わない可能性があります。
相続財産を受け取る権利がある人は納税もあわせて義務となりますので、必ず期限内に申告を完了するようにしましょう。
小規模宅地の特例や配偶者控除など受け取る人によって減額できる特例もありますので、注意が必要です。
農地の種類と計算方法
用途が農地になっている土地には以下の4種類あります。
純農地
中間農地
市街地周辺農地
市街地農地
区分によって評価方法が異なり、純農地と中間農地は倍率方式、市街地周辺農地は倍率方式で計算を行います。
倍率方式は固定資産税評価額と地域ごとに定められている倍率をかけあわせて算出する方式です。
固定資産税評価額は毎年、固定資産税の納付のために送られてくる、固定資産税納税通知書に記載されている、評価額を用いて計算します。
各地域の倍率表については、国税庁のホームページで確認することができます(リンク)。
市街地周辺農地は市街地農地とした場合の価額の80%となります。市街地農地は2つの評価方法があり、一つは宅地比準方式、もう一つが倍率方式です。
倍率方式は上記の解説の通りで、宅地比準方式とは路線価から市街地農地が宅地であるものとした場合の評価額を算出し、宅地に転用な造成費を差し引いてから地積を掛け合わせる方式です。市街化区域でアクセスの良いエリアの場合、地目が農地でも高い評価となる可能性があります。土地に路線価が付いていない場合、近傍の路線価を用いて計算します。
宅地造成にかかる費用については国税庁が定めており、都道府県ごとに掲載されています。
農地にかかる納税猶予とは
農地には田畑を引き継いだ後継者が引き続き農業を続ける場合に限り、農地を守るという理由で要件を満たす場合は納税猶予の特例が設けられています。納税猶予を活用することで、相続発生時点で税金をおさえることができるというメリットがあります。
納税猶予の対象とするためには亡くなった方が、亡くなる直前まで所有している土地で農業を営んでおり、相続人が相続税の申告期限前に農業経営を開始し、終身に渡って営農する必要があります。
ただし、要件に該当し、納税猶予の制度を活用する場合でも農地の納税猶予はあくまで猶予であり一定の減額や免除があるわけではありません。そのため、引き継いだ農地をその後で譲渡したり、農業をやめてしまったりした場合は、猶予されていた期間の利子税も含めた税額を納める必要があります。被相続人が死亡した後、時間が経過していると利子税の額が大きく膨らみ一括で支払う必要があるため大きな負担となる可能性もあります。
また、そもそも農地の売買や宅地転用をするにも農地法により、農業委員会への許可や届出も必要となります。相続人が実際に農地を受けるだけでなく、農業を長年にわたって耕作を継続することができるかも含めて慎重に検討する必要があります。
農地を保有している人の生前の対策
農家の人がいずれ発生する相続のために相続対策を行う場合は、まず後継者を決めることをおすすめします。農業は受ける人が事業を継続する必要があり、相続人にも負担がかかりますので、家族の現在の生活の状況も考えて遺す必要があります。家族の中で今後農業を続けることが困難な場合は周囲で農家を営む人に売却するしかないケースも多くあります。
農地の相続は必ずしも相続する不動産の価格だけで考慮して決められない部分があります。このような事情を農地を引き継ぐ以外の相続人にも理解してもらい、相続する人には準備をしておいてもらう必要があります。
そのため、通常の相続よりも早めに配分について事前にそれぞれの考えを伝え、遺産の分割について調整を行っておくことが重要です。事前に話し合いを行っておかないと、相続人間で考えが異なるため、関係が悪化する例も多いです。
話し合った結果について遺言を書いておくことでスムーズに手続きを進めることができるでしょう。遺言の書き方やどのような内容を書いていいか分からない場合は司法書士など専門家に相談することをおすすめします。もし、遺言がなかった場合や、遺言書に不備があって無効となった場合は相続人全員で協議を行う必要があり、相続人に大きな負担がかかります。
また、基礎控除を超える財産を有している場合は、ある程度資産を生前に贈与をしておくことも有効です。毎年110万円の非課税枠の贈与をすることで、相続税の負担を軽減することが可能です。
相続税の申告は専門家に相談を
相続税の申告は知識が無く、慣れていない一般の方にとって、正確に計算することは簡単なものではありません。また、期限は被相続人が亡くなった翌日から原則10ヶ月以内に申告書や添付書類を提出する必要があり、短期間で遺産分割、相続税の計算、金融機関の名義変更、法務局での不動産の登記の手続きなどさまざまなことを同時進行で進める必要があります。特例の適用可否など判断を誤って申告した場合、税務署による調査で指摘される可能性もあります。
相続税の計算を自分で行うことが難しい場合は、税務の専門家である税理士に相談することをおすすめします。税理士にも専門分野がありますので、普段から相続税や相続税に関連の深い贈与税を取り扱っている税理士に依頼するとよいでしょう。
広島相続税相談テラスでは、経験と実績が豊富な税理士が多数在籍しており、みなさまのお悩みの解決をサポートしております。初回のご相談は無料で対応しておりますので、ぜひお電話やメール等でお気軽にご相談ください。