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海外に住んでいる場合、相続税はどうなる?

2023年11月18日

所得税など課税・納税の制度は国際的に税率などが統一されているわけではなく、各国で異なる制度となっています。相続税もそもそも相続税がない国もあり、当然違う制度となっていますが、被相続人や相続人が海外に在住しているケースや海外に不動産などの資産を保有しているケースでは相続税はどのようにかわってくるか不安に思っている方も多いのではないでしょうか。

当記事では海外に人が住んでいる場合や財産がある場合の相続税についてケース別に概要をポイントを抑えて解説します。

海外に財産があるケース

被相続人・相続人全員が日本に居住しているケースで海外に不動産を保有している場合や、海外の金融機関に口座で預金を保有しているケースでも日本の相続税の対象となります。

また、相続財産をがある国の法律にも従う必要があるため、注意が必要です。例えば、米国ではプロベートと呼ばれる検認制度がありますのでアメリカに土地等の財産を保有している場合は非常に時間がかかります。

海外の税制で税金が課された場合、条件を満たせば二重課税を防ぐために外国税額控除という特例を適用することで税額を控除することが可能ですが、海外の財産を相続する際は大きな手間がかかります。スムーズに相続するためには事前に不要な財産はいずれ発生する相続に備えて生前に処分しておくほうがよいでしょう。

被相続人が海外に居住し、相続人が日本に居住しているケース

被相続人が海外に居住しているケースでも、配偶者や子などの相続人が日本に居住しているケースでは、日本国内の財産も海外の財産も日本の相続税が課されます。国籍や海外に移住してからの期間に関わらず日本の相続税の納税義務があります。

申告を怠った場合、税務署による税務調査で指摘され、加算税を課されるケースもあります。遺産の評価額の合計を計算してみて、基礎控除以下の場合は、申告は必要ありませんが、基礎控除を超える財産を保有している富裕層の方が亡くなった場合は申告漏れとならないように注意しましょう。

被相続人が日本に居住し、相続人が海外に居住しているケース

被相続人が日本に居住し、相続人が海外に居住しているケースでもすべての財産に日本の相続税がかかります。海外に居住している相続人が申告をする場合は、日本と海外の往復や、公的証明書等の書類の取得に非常に時間がかかりますので、専門家である税理士などに依頼するほうがよいでしょう。

被相続人、相続人ともに海外に居住しているケース

日本国籍を持つ、被相続人と相続人が海外に居住しているケースでは、相続が発生した時の居住期間によって日本の相続税が課されるか否か異なります。

相続発生日前の10年以内に、被相続人、相続人のうち1人でも国内に住所を有している者がいた場合、日本の相続税がかかります。誰か1人でも日本に住所を有していた場合は日本の相続税がかかりますので、子供のうち一人でも日本に10年以内に住所を有してた場合は、日本の相続税の対象となります。

子供がいない場合は兄弟姉妹、兄弟姉妹亡くなっていたら甥・姪が相続人となり全員が10年間日本に住所を有していないことが必要となります。相続人の範囲や条件を間違えやすいため注意しましょう。

海外が絡む相続の注意点

次に海外がからむ相続手続きをする際の注意点と対策方法について解説します。

遺産分割に時間がかかる

財産を承継する相続人のうち1人が国外に居住しているケースでは、頻繁に集まることができる状態ではない場合が多いため、通常の相続よりもさまざまな理由で遺産分割に時間がかかり、誰がどれくらいの額の財産を相続するかなかなか決まらないケースが多いです。最悪のケースでは法的な闘争になることもあります。

相続発生後には他にも手続きが忙しい中で進める必要があります。相続発生後に遺産の分割方法を話し合っていると、相続税の申告期限である10ヶ月以内に間に合わないケースがありますので、遺された家族に負担がかからないように事前に遺言を作成しておき、配分の割合や分割方法を決めておくことが大切です。

手続に時間がかかる

海外に居住している相続人が手続きをする場合、不動産の登記や登録などに必要となる印鑑証明や住民票を取得することができないため、サイン証明や在留証明を取得することになります。

日本の居住している相続人よりも、異なる対応が必要となり、手続きに時間がかかるケースが多いです。日本に居住している人が代表として手続きを行う場合でも、期限に間に合うように早めに着手する必要があるでしょう。

相続税の相談は税理士に相談を

海外が絡む相続税の申告は対応が難しくなりますので、節税だけでなく、手続きの対策や準備が必要となります。。相続税の申告や対策をする際は、税務のプロである税理士に相談するようにしましょう。相続税は頻繁に税制改正があり、最新の情報を持っている税理士に依頼することが重要です。税理士にも専門分野がありますので、相続税や相続税に関連が強い贈与税の実績がある税理士事務所・税理士法人に依頼することをおすすめします。

税理士に相談する際は相続人関係図と不動産、預貯金、株式、投資信託など課税対象となる財産を相続発生時点の評価でまとめた財産の一覧を持っていくとスムーズに相談することができます。税理士の報酬は財産の金額によって決まることが多いので、見積もりを依頼してみるとよいでしょう。初回の相談は無料で応じてくれるケースも多いので、まずは気軽に相談してみましょう。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい