相続解決実例一覧

養子縁組による相続税の節税方法について

2021年01月20日

依頼者・関係者

相談者は広島市西区在住の60代の男性Aさん

父は他界しており相続人はAさん1人

 尚、Aさんには妻と子供(長男、長女)が2人いる

相続財産の内訳

 不動産         1.5億円

 金融資産  5 ,000万円

  合計財産         2億円

相談状況・内容

 母の相続税が多額なので何とか相続税を安く出来ないのかという相談でした。

ただし、母親は高齢なので早急に何か対策したいというのがご希望でした。

ご提案・解決方法

 お母様はご高齢ですが、幸い意思能力はしっかりしている様子だったので安心しました。

と言うのも、認知症等で意思能力がない場合には、本人の財産を動かせず何も対策が出来ないからです。

(1)現状分析       

 まずは、現状での相続税を試算しました。

現状での相続税は、4,860万円で、母の金融資産でギリギリ払える状況でした。

(2)提案内容

 ① 養子縁組(注1)

 養子縁組により相続人を1人増やす事を提案しました。

相続人が1人増えることにより基礎控除額の増加と相続税率が下がり相続税が安くなるのです。

特に今回の様に、財産額が2億円以上で、相続人が1人の場合には効果絶大です。

今回のケースでは税率が40%から30%に下がり、相続税が3,340万円になります。

 次に、誰を養子にするかを検討してもらいました。

今回のケースでは奥様かお子さんが考えられます。

この場合には、どちらもにもデメリットがあります。

 奥様を養子にした場合に、Aさんと奥様が離婚した場合でも、奥様とお母様は親子のままなので相続権が残ります。

 又、Aさんの子供を養子にした場合には、お母様の死亡後、その子供が相続した分の相続税額が2割増し(注2)になります。

 尚、子供を養子にする場合には、2割加算を回避する為に、Aさんだけが相続する事を併せて提案しました。

 ② 暦年贈与

 Aさんの家族に贈与してもらう事を提案しました。

 贈与する金額は相続税の税率30%より低い贈与税率15%の範囲内で贈与(注3)して貰うことにしました。

 ③ 借入による不動産購入

 遊休地が無かった為、借入による不動産の購入を提案しました。

結果

 ①の養子縁組と②の暦年贈与を実行しました。

尚、③の不動産購入は、借入をしてまで相続税の節税はしたくないという事で実行しませんでした。

まず①の養子縁組についは、Aさんの長男が養子になりました。

夫婦仲は良かったのですが万が一の離婚リスクを考慮された様です。

 次に②の暦年贈与については、Aさんの子供2人に1人510万円(注3)を贈与する事にしました。

現在対策から3年目ですが3回の贈与により3,060万円を移転しました。

その結果、具体的な対策前と対策後の節税効果は下記の通りです。

 対策前の相続税4,860万円

 対策後の相続税2,722万円(3回分の2人分の贈与税300万円を加算後)

約2,100万円の相続税が減少しました。

最後にお母様には1日にも長くお元気でいてもらいたいです。

参考法令他

(注1)養子縁組(民法792条~)

 養子縁組には、大きく「普通養子縁組」と「特別養子縁組」があります。

今回のケ-スもそうですが一般的には「普通養子縁組」となります。

 普通養子縁組の場合には、養⼦が実親との親⼦関係を存続したまま、養親との親⼦関係をつくる養⼦縁組となりますので実親との間にも相続権は残ります。

(注2)相続税額の2割加算(相続税法第18条)国税庁HP:NO.4157

 相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます。

(注3)贈与税の税率(相続税法第19条)国税庁HP:NO.4408

 贈与税の税率は、税率が二本建てになっています。

 一般贈与財産(特例贈与財産以外)については「一般税率」で税額計算をし、特例贈与財産(20歳以上の子や孫が直系尊属から受けた贈与)については「特例税率」で税額計算をします。

贈与税の税額速算表(2015年1月以後分)
基礎控除後の課税価格 一般贈与財産 特例贈与財産
一般税率 控除額 特例税率 控除額
200万円以下 10% 10%
300万円以下部分 15% 10万円 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円 15% 10万円
600万円以下 30% 65万円 20% 30万円
1,000万円以下 40% 125万円 30% 90万円
1,500万円以下 45% 175万円 40% 190万円
3,000万円以下 50% 250万円 45% 265万円
4,500万円以下 55% 400万円 50% 415万円
4,500万円超 55% 400万円 55% 640万円

以上の様に、「特例贈与財産」の方が税率が低くなっています。

相続事例の執筆担当者

氏名:税理士:藤田 正則(ふじた まさのり)

資格:税理士(税理士登録番号109481号)
   AFP(日本FP協会)

専門分野:相続税、資産税、地主の節税対策

出身:広島県広島市

趣味:海外旅行

お客様に一言:税金の計算や支払いに不安のある方は気軽にご相談ください