相続解決実例一覧

未成年者への贈与で税務署に否認されない方法

2021年02月04日

依頼者・関係者

 相談者は、広島市在住の80歳代の男性Aさん

奥様は、他界され、子供が2人います。

 又、Aさんには、お孫さんが4人います。

財産の内訳

 自宅不動産  3,000万円

 現預金    5,000万円

 生命保険金  1,000万円

  合計    9,000万円

相談状況・内容

 Aさんは高齢で、自分が亡くなった時の相続税を計算すると470万円かかるので節税を考えておられました。

 ご自身もネットや本などで相続税の節税方法を調べていました。

 色々と調べた中で贈与が良いと思った様ですが、未成年者(孫)への生前贈与が成立するのかどうかを心配されていました。

ご提案・解決方法

1.未成年者への贈与の民法上の見解

 最初に、未成年者への贈与が成立するかどうかについて、民法上の贈与の考え方を説明しました。

 民法549条に、贈与とは、「当事者の一方が、自己の財産を無償で相手方に与える意志を表示し、相手方が受諾することによって、その効力が生じる」と書かれていることを説明しました。

必ず、「あげる側」と「もらう側」の双方の意思表示が必要になります。

ここで問題なのが、未成年者の場合(特に幼児の場合)の本人の意思表示の問題です。

未成年者の場合には本人の意思表示が無いので贈与は成立しないと言う専門家もいますが、民法824条(注1)からも、未成年者の場合でも、親が親権者となり受諾をすれば、贈与は成立することを説明しました。

2.税務上贈与が否認されない為の対策

 次に、贈与が税務上否認されない方法をアドバイスをしました。

 A  贈与契約書の作成

 贈与は書面がなくても口頭で成立しますが、税務調査等では、口頭だと贈与の証明を立証するのが難しく、その結果否認される場合があるので、贈与契約書の作成をアドバイスしました。

 B  通帳、印鑑の管理

 贈与された財産は、もらった人の財産なので、通帳、印鑑などは、孫の親権者が管理するようにアドバイスしました。

 C 親権者がお金を費消しない

 孫への贈与なので、孫の親権者は孫の為に費消しなければなりません。

あくまでも孫の財産なので、親権者が自分の為に費消できないことを説明しました。

結果

 Aさんに上記の内容を説明しご理解を頂けました。

その後、4人のお孫さんへ110万円(注2)づつ贈与することになりました。

相談を受けたのが12月だったので、12月と翌年1月と続けて2回贈与することになりました。

 贈与税は、暦年課税(1月から12月までの期間での課税)なので、年が明けると110万円の基礎控除額が再度使える事を説明しました。

 その結果、わずか2ヶ月位で相続財産が880万円減少し、相続税の節税効果が132万円になりました。

 今後も贈与を続けていけば節税効果はどんどん高くなります。

参考法令他

(注1)財産の管理及び代表(民法824条)

 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の目的とする債務を生じべき場合には、本人の同意を得なければならない。

(注2)贈与税の課税価格(相続税法21条の2) 国税庁HP:NO4408

 贈与税の計算は、まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。
続いて、その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます。
 次に、その残りの金額に税率を乗じて税額を計算します

相続事例の執筆担当者

氏名:税理士:藤田 正則(ふじた まさのり)

資格:税理士(税理士登録番号109481号)
   AFP(日本FP協会)

専門分野:相続税、資産税、地主の節税対策

出身:広島県広島市

趣味:海外旅行

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