相続解決実例一覧

子供への住宅資金の援助方法

2021年01月07日

依頼者・関係者

相談者は、広島市在住の60代の男性Aさん

Aさんには最近結婚した長男がいる。

財産の内訳

新居マンションの金額6,000万円

Aさんの資産内訳

 現預金1億円

 有価証券3,000万円

自宅 3,000万円

合計 1,6億円

息子の自己資金1,000万円

相談状況・内容

 Aさんは結婚した息子の為にマンション購入資金の援助を考えていました。

 購入にあたって支払(援助)方法、又、将来の相続税も気になるのでどうするがいいのかを相談に乗ってあげて欲しいと、不動産業者から紹介されました。

ご提案・解決方法

 住宅資金の援助方法には、①贈与 ②貸付 ③Aさん名義または共有の3つが考えられます。

 どの方法がいいのかは各人の財産状況次第で変わります。

 まずはAさんにとって何がベストなのか検討する為、財産状況を確認させてもらいました。

ヒヤリングの結果、上記の様な財産状況で、将来、相続税がかかる事が判明しました。

 この時点で、相続時精算課税制度(注1)による贈与の選択肢は消えました。

 と言うのも、この制度を選択すると、将来、相続発生時にその贈与した金額を相続財産に加算して相続税を計算する事になるからです。

 一時的には贈与税の節税になりますが、単なる相続財産の前渡しで相続税や贈与税の節税・対策にはならないのです!

 そこで、将来の相続税の節税を最優先に考え次の様な提案を行いました。

1.住宅取得等資金の贈与の非課税(注2)

 今回のマンションが、省エネ等住宅に該当する為、1,500万円の非課税と基礎控除額110万円の合計1,610万円を贈与する。

2.上記1以外の残金4,390万円をAさんが支払う

 マンションの名義(持分)は下記のようにする。

Aさん4,390/6,000

息子 1,610/6,000。

結果

 上記1の住宅取得資金の贈与の非課税により相続財産が1,610万円減少しました。

次に上記2によりAさんの相続財産(評価額)が約2,600万円減少しました。

マンションの相続税評価額は、場所にもよりますが一般的に購入金額の40%程度で評価されます。

 その結果、Aさんの相続財産を4,210万円圧縮する事が出来ました。

また、今後の相続税の対策として贈与や生命保険の加入による対策をアドバイスしました。

 尚、今回の様な相談はよくありますが大体の人が子供名義を希望されます。

 購入資金を子供に貸付たり、先に記載した相続時精算課税制度の選択により子供名義にする方法もありますが、将来の相続税の事を考慮すると得策でない場合が多いです。

 最後に、これもよく聞かれるのですが、親名義のマンションに子供がタダ(家賃なし)で住んでも何も問題はありません。

参考法令他

(注1)相続時精算課税制度(相続税法第21条の9)国税庁HP:NO.4103

 相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。
なお、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、暦年課税へ変更することはできません。
また、この制度の贈与者である父母又は祖父母が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算します。
このように、相続時精算課税の制度は、贈与税・相続税を通じた課税が行われる制度です。

(注2)住宅取得等資金の贈与の非課税(措置法第70条の2)国税庁HP:NO.4508

 平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等(以下「新築等」といいます。)の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。

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相続事例の執筆担当者

氏名:税理士:藤本 美絵(ふじもと みえ)

資格:税理士(税理士登録番号139465号)

専門分野:相続税、所得税

出身:広島県広島市

趣味:外食、買い物

お客様に一言:お一人お一人のニーズに合った税務サービスの提供を心掛けています

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