依頼者・関係者
相談者は、広島市安佐南区在住の80代の女性Aさん
夫が被相続人(予定)
相続人は、Aさんと子供2人
相続財産の内訳
金融資産 2,000万円
不動産 2,000万円
合計 4,000万円
相談状況・内容
相談内容は、夫が亡くなった場合に、相続税の申告が必要かどうかという事でした。
現状での財産総額が、相続税の基礎控除額4,200万円以下(注1)なので相続税はかからないが、金額的にぎりぎりで心配なのでちゃんと確認しておきたかった様です。
また、ご相談の中で気にされていたのが、子供が結婚するまで同居していて、子供から毎月、生活費等として家にお金を入れてもらっていた様ですが、Aさんはそのお金を子供の名義で貯蓄していた様です。
その子供名義の預金がどうなるのかを非常に気にされていました。
金額的には、約10年間、毎月5万円を家に入れていたので約600万円になっていました。
Aさん夫婦は別に生活には困っていなかったので、将来、子供が困ったときに渡してあげるつもりで子供の名義で貯蓄をしていた様です。
尚、子供は、家に入れたお金は生活費などで親が費消していたと思っていました。
ご提案・解決方法
子供が家に入れたお金の税務上の取扱いですが、子供がお金を家に入れていた時には、両親にあげるつもりで両親にお金を渡し、Aさん夫婦もお金を受け取っています。
今回のケ-スでは、資金移動の経緯から両親にお金は移転していると考えらる為、名義は子供になっていますが、相続発生時には、ご主人の相続財産として計上する必要があるとことを説明しました。
この600万円を夫の財産に加算すると4,600万円となり相続税の申告が必要になります。
そこで、相続税を回避する為の解決方法として、その600万円の預金を贈与で戻すことを提案しました。
また、贈与の方法ですが、贈与税は、1人につき毎年110万円までかからない(注2)ので子供だけでなく孫など複数の人に贈与すれば早目に問題を解消出来ることを併せて提案しました。
結果
Aさんは、子供名義でも夫の財産になる事を理解し、相続税の申告をしなくてもいい様に、毎年、子供や孫に贈与をする事にしました。
将来の息子の為にと思って貯めてお金が放っておくと思いもよらず相続税がかかるところでした。
Aさんには喜んで頂けましたが、今回の様に基礎控除額以下だからと安心していると思わぬ落とし穴があるかもしれません!
相続時点だけではなく生前の財産の動きにも注意が必要です。
他の類似事例も是非ご覧ください
妻のへそくりが沢山ある場合の相続税申告の注意点
子供名義の預金が沢山ある場合の相続税申告の注意点
参考法令他
(注1)相続税の計算 国税庁HP:NO4152
相続税は、遺産から債務等を控除した金額が基礎控除額超える場合にかかります。
詳細は国税庁のHPを参照してください。
(注2)贈与税の計算 国税庁HP:NO4408
贈与税の計算は、まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。
続いて、その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます。
次に、その残りの金額に税率を乗じて税額を計算します。
詳細は国税庁のHPを参照してください。