親の土地に家を建てる場合に土地の名義を息子に変更する場合の注意点
依頼者・関係者
相談者は、広島市中区在住の60代の男性Aさん
家族は妻と子供2人
子供は2人とも成人し独立している
財産の内訳
Aさんの財産内訳
金融資産 6,000万円
不動産(Aさん自宅) 2,000万円
不動産(息子の新築予定地) 2,000万円
合計 1億円
相談状況・内容
息子がAさんの土地に家を建てているが、息子が住宅ローンを組む時に、土地の名義を息子に変更した。
最近、息子の所に県税事務所から「不動産取得税」の納付書が届きこれは支払わないといけないものなのか?
また、その他にも何か問題になることはないのかというご相談でした。
ご提案・解決方法
まず、土地の名義を無償で息子に変更しているので贈与に該当し、贈与の場合には「不動産取得税」が課税される為、送られてきた納付書は直ぐに収めて下さいと説明しました。
次が問題なのですが、今回のケ-スでは、不動産2,000万円に対する贈与税が約585万円かかるのです!
金額の大きさにAさんは驚かれ、何とかならないのかと言われました。
そこで贈与税の申告には、①暦年課税と➁相続時精算課税の2通りある事を説明しました。
①暦年課税の場合
1月1日~12月31日の1年間に贈与された財産の合計額から基礎控除額110万円を控除して計算する方法。
因みに上記の585万円は、この暦年課税で計算した金額だと説明しました。
②相続時精算課税の場合
この制度は、2,500万円までなら非課税で贈与が出来ます。
原則、贈与側(財産あげる人)は60歳以上、受贈者(財産を貰う人)は20歳以上である親子間や孫との間で相続時精算課税選択届出書を提出する事によって利用できます。
受贈者は、この制度による贈与者からの贈与財産については、非課税枠の2,500万円に達するまでは何回でも無税となります。
また、2,500円を超える場合には、2,500万円を控除した残額に一律20%の税率を掛けて計算すした金額を納付する方法です。
尚、最終的にAさんの死亡時には、他の相続財産と合計して相続税を計算する事になります。
今回のケースでは、不動産が2,000万円なので、②の相続時精算課税制度を利用すれば多額の贈与税がかからないことを説明しました。
ただし、この制度を利用した場合のデメリットも説明し、総合的に判断して決めて下さいと説明しました。
(相続時精算課税制度のデメリット)
〇 今後、暦年課税制度が利用出来ない
〇 今後、年間の贈与税金額が110万円以下でも申告が必要なので手続きが煩雑
〇 小規模宅地等の特例(注1)が使えない
結果
後日Aさんと息子さんが2人で来所され「相続時精算課税制度」で申告することになりました。
今回のケースでは、暦年課税により多額の贈与税を回避するにはベタ-な選択だったと思います。
また、今回は不幸中の幸いで「不動取得税の納付書」が来たのがラッキ-でした。
これにより、今回の相談から解決に至った訳ですが、もし来ていなければ多額の贈与税を支払う事になっていたからです。
と言うのも、「相続時精算課税制度」は、贈与の翌年2月16日~3月15日までの間に確定申告をしなければ適用を受ける事が出来ないのです。
原則、期限後申告は駄目なのです。
因みに、不動産取得税は登記してから半年位で来ますが、今回の贈与は年初だった為、幸いしたようです。
最後に、不動産登記の専門である「司法書士」は、税金のアドバイスをする必要がないので今回の様なケースが発生する場合があります。
不動産の名義変更する場合には、税理士に相談するようにしましょう。
参考法令他
(注1)小規模宅地等の特例(措置法第69条の4)国税庁HP:NO.4124
個人が、相続又は遺贈によって取得した宅地等のうち、被相続人が住んでいた土地や事業をしていた土地等について、一定の要件を満たす場合には、一定の面積まで最大80%まで評価額を減額してくれるという特例です。
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相続事例の執筆担当者
氏名:税理士:藤本 美絵(ふじもと みえ)
資格:税理士(税理士登録番号139465号)
専門分野:相続税、所得税
出身:広島県広島市
趣味:外食、買い物
お客様に一言:お一人お一人のニーズに合った税務サービスの提供を心掛けています
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