氏名:税理士:藤田 正則(ふじた まさのり)
資格:税理士(税理士登録番号109481号)
AFP(日本FP協会)
専門分野:相続税、資産税、地主の節税対策
出身:広島県広島市
趣味:海外旅行
お客様に一言:税金の計算や支払いに不安のある方は気軽にご相談ください
相談者は、呉市在住の50代男性Aさん
父が亡くなり、相続人は母とAさんの2人
金融資産 3,000万円
不動産(自宅)3,000万円
合計 6,000万円
Aさんは、お父様が亡くなり遺産分割をする際の相続税の申告の相談に来所されました。
Aさんは、サラリーマンで税理士の知合いがいなかった為、親戚からの紹介とネットからの検索で税理士をお探しになられていました。
何件か相談される予定で弊所が1件目でした。
Aさんは、どの税理士に依頼するのが良いのかを迷われていました。
まず税理士にも弁護士や医者の様に得意分野や専門分野がある事を説明しました。
税理士の専門分野は大きく下記の3つに分類されます。
(1)会社等の商売を専門にする税理士
(2)医業・福祉や公益法人・NPOなどを専門にする税理士
(3)相続や資産の譲渡などを専門にする税理士
大多数の税理士は、(1)を専門に行っており、法人税が専門です。
逆に(3)の相続や譲渡をした場合の所得税を専門に行っている税理士の数は非常に少ないのが現状です。
相続税の申告なら土地の評価や特例の適用可否の判断が必要なケースがあるため、(3)の相続税を専門に行っている経験豊富な税理士を選ぶのがいいと提案しました。もちろん基本的な税の知識はありますが、税制改正などを細かくチェックしてるわけではないので、専門分野以外のことは意外と知らないことも多く、知識には大きな差があります。
弁護士で言うなら「離婚問題」「交通事故」「相続問題」「刑事事件」などの専門分野があり、
医者では言えば「外科」「内科」「眼科」「小児科」など多くの専門分野がありますので、専門の医者に行くことが病気を治すために重要ですよね。
骨が折れて「内科」や「眼科」に行く人は居ないと思います!
同じように、相続税の申告は、宅地の評価や小規模宅地の特例など各種特例の適用は、非常に複雑ですので相続税を専門にしている税理士に依頼するの良いに決まっています。ホームページなどで、過去の実績やセミナーの開催情報を載せている場合もありますので、まずはインターネットで確認しておきましょう。
そして、次に相続税を専門に行っている税理士の選び方のポイントを説明しました。
(1)相続税の申告や相談実績の数
一般的な税理士事務所は、上記(1)を専門に行っているので、年間の相続税の申告は1件あるかないかが実情です。
年間二桁以上の申告件数を行っているのか確認する。得意な業務として行っている税理士の場合、手続きがスムーズに進むだけでなく、実際に税額が減る場合もあり、大きなメリットがあります。
(2)相続税の報酬金額が明瞭になっているか
相続税の申告報酬の相場は一般的に課税される遺産総額の0.5%~1%と言われています。
相続税を専門に行っている事務所では、独自の料金表を作成し、事前に見積もりを提示しますのでいくらくらいになるか確認して比べておきましょう。
料金表があるのか、また、見積書を出しくれるのか確認することで費用の総額を確認しましょう。
(3)不動産の現地調査や名義預金調査を行っているか
相続財産の中で不動産の割合は大きくなるため、不動産の評価額を下げることが相続税の減額につながる為、複数ある場合でも机上評価だけでなく現地調査を行っているのか確認する。実際に現地を見ることで机上の査定よりも評価額を下げることができる場合もあります。
どこの税理士に依頼したらいいかわからないという方も多いですが、不動産や金融機関の調査もあるため、被相続人の住所地に近い拠点で活動する税理士に依頼することをおすすめします。
また、税務調査でもっとも問題になりやすい名義預金(注1)について調査を行っているのかも確認する。
(4)相続税申告以外のフォロ-がちゃんとしているか
相続が発生した場合には、相続税の申告以外に不動産の登記など様々な手続きがあります。
それらの手続きごとに別々の専門家の所に行くのは非常に手間と労力がかかり、全ての相続手続きを進めるためには専門家のサポートが必要です。
税理士法人以外に依頼する内容がある場合に、相続税を専門に行っている事務所では、お客様の事を考慮し、各種専門家と提携し手続きをワンストップで出来る様にしている場合が多いです。司法書士やトラブルになった場合の弁護士など他の士業や周辺業務について情報を持っているかも確認をする。
(5)書面添付制度を行っているか
書面添付制度(注2)とは、申告書を作成した税理士が、税務署が疑問に感じるような部分を、どのような資料に基づき、検討・判断したのかを書面に記載します。
簡単に言うと申告書に対する保証書みたいなものです。
これを作成する事により税務調査の選定割合が下がったり、税務調査前に税理士に意見聴取を行い、税理士が事前に説明することにより税務調査が省略されることがあります。
ただし、作成には、事務負担や作成責任が税理士に問われるので、対応できる税理士事務所が少ないので、書面添付制度を行っているのか確認する。
(6)二次相続も含め節税の提案をしてくれるか
依頼者の為に、二次相続(注3)のための遺言書の書き方や生前贈与など最大限の節税の提案を追加で行ってくれるのか確認する。提案はサービスで行ってくれる場合も多いです。相続を専門としている税理士のノウハウを活用することで次の相続に備えることもできますし、今後の方針を相談することができます。
(7)相性がいいか
どんな仕事でもそうですがこれが一番大事かもしれません。相性は電話などで問合せをしてもわかりませんので、実際に面談して親身になって対応してくれるか確認するしかありません。
個人情報保護法で、情報はしっかりと守ってくれるはずですが、財産の全てを開示するため、担当してくれる税理士が信頼出来そうで相性が合わなければ上記(1)~(6)が完璧でも任せる事は出来ないでしょう!
最初の面談時に上記説明や相続税の試算等で2時間位説明しました。
その後、弊所以外に2件面談された様ですが弊所と契約して頂きました。
選んだ利用をお尋ねすると、専門性が高そうな事と、何よりも相性が良さそうで、信頼出来そうと言うのが主な理由の様でした。申告・納付の期限は相続開始から10ヶ月と短く、期限内に確実に完了させるためにも相続税の申告が必要となる可能性がある場合は、早めに依頼するようにしましょう。
初回の相談は無料で受け付けてくれる事務所も多いので気軽に相談しましょう。初回の相談には現金や有価証券、不動産などの財産の概要や各財産の概算額がわかるものや相続人が分かる書類を準備しておくとよいでしょう。
最後に、自分で申告する場合についても解説します。結論としては自分で申告をすることも可能ですが、知識のない人が自分で手続きをすることは非常に難しいです。
知識のない人が自分で申告手続きを行った場合、財産の一覧に記載が漏れてしまうことも多くありますし、適正な価格が分からないケースもあります。
万が一申告漏れを起こすと当然ペナルティとして追徴で加算税を請求されますし、特例の活用が漏れて、必要以上に高くなってしまうリスクがあります。納税額が高くなってしまい、結果的に税理士の費用以上に高額になってしまうのでこともあります。特に1億円を超えるような資産家の方は税務調査に入られる可能性も高いため税理士に申告を依頼するほうがよいでしょう。
費用がかかる点はデメリットとなりますが、高い専門性を持つ税理士に依頼することで国民の義務である納税手続きを安心して進めることができます。
(注1)名義預金
名義預金とは、預金口座の名義人と実際の預金者が異なる預金の事です。
例えば、親が、名義を子供にしているが実際の保管や管理を行っているのは親である様な預金です。
また、お金を移動させているのだから贈与だと主張する方も居ますが、贈与を認めてもらう場合には、
下記の様な状況が必要です。
・大前提として、財産をあげる人と貰う人の双方が認識している事
・通帳や印鑑などの管理を口座名義人が行う
・贈与契約書の作成
・贈与税の申告、納税をする
(注2)書面添付制度(税理士法第33条の1①、35条)国税庁HP:書面添付制度について
書面添付制度とは、税理士法(以下「法」という)第33条の2に規定する書面添付制度と法第35条に規定する意見聴取制度を総称したものです。
平成13年の税理士法改正において事前通知前の意見聴取制度が創設されその存在意義が飛躍的に拡充されました。
事前通知前の意見聴取制度では、法第30条に規定する税務代理権限証書と法第33条の2に規定する書面を添付した申告書を提出しているという二つの条件を満たしている場合、調査の通知前に、税務代理権限証書を提出している税理士に、添付書面に記載された事項に関する意見を述べる機会を与えなければならないこととされました。
(注3)二次相続
二次相続とは、最初の相続(一次相続)で配偶者と子どもが相続し、その後残された配偶者が亡くなった時に起こる2度目の相続のことをいいます。
今回のケ-スでは、一次相続がお父様で、二次相続がお母様です。