相続解決実例一覧

相続までに残された時間が少ない場合の相続税の節税方法について

2020年10月20日

依頼者・関係者

 相談者は、東広島市在住の70代の女性Aさんと子供

 Aさんは大病を患っており健康状態はあまり良くない。

 相続人は、ご主人は他界されており、子供2人。

 尚、兄弟の仲は良く、孫が4人いる

相続財産の内訳

 金融資産1.5億円

 不動産(自宅)3,000万円

  合計1.8億円

相談状況・内容

 Aさんは自分が死んだ後の相続税の事を非常に気にされていました。

1円でも多く子供たちに残してあげたいので何かいい方法はないかというご相談でした。

 幸い子供たちの仲は良く分割で揉めたりする事は心配されていませんでしたが、自分の体が悪く、あまり時間がない事が最大の気掛かりの様でした。

ご提案・解決方法

(1)現状分析                                

 まずは、現状で相続が発生した場合の相続税について計算しました。

その結果、相続税は2,740万円でした。

(2)相続税の節税方法

 次に、相続税の節税方法には、大きく3つある事を説明しました。

①  相続財産の評価額の引下げ

 不動産の購入や生命保険の非課税枠(注1)を利用する

② 相続財産を減らす

 贈与による財産の移転

➂ 相続人を増やす

 養子縁組による基礎控除額の増加及び税率の引き下げ

(3)具体的な提案内容

 Aさんは上記(2)節税方法の全てを実行されました。

具体的には、

① 次男の為にAさん名義で5,000万円のマンションを購入しました。

相続税の評価額は、一般的に購入金額の40%~60%になり、このマンション

相続税評価額は2,000万円でした。

尚、生命保険にはお体が悪いので加入出来ませんでした。

➁ 孫4人に教育資金の一括贈与(注3)を6,000万円(1,500万円✕4人)行いました。

➂ 相続人を増やす為、義理の娘(長男の嫁)と養子縁組を行いました。

(4)提案内容実施後の相続税

 上記(3)を全て実施した後の相続税を計算すると下記の様になりました。

財産の金額1.8億円→1.1億円 7,000万円減少

相続税2,740万円→780万円 約2,000万円減少

又、上記以外に、孫やお嫁さんに110万円の非課税(注4)の範囲でもいいので贈与する事も提案しまた。

結果

 その後、Aさんは約1年後に亡くなられました。

 最終的な相続税は、提案事項プラス生活費や贈与を行っていたので財産の金額は1億円程度までに減少し相続税は630万円でした。

 又、今回、次男の自宅以外にアパ-トなどの不動産を購入すれば、更に、相続税は安くなる事を提案しましたが、必要以上のものは購入したくないとの事でした。

 相続税が0にはなりませんでしたが、対策のおかげで2,000万円以上の節税が出来たので天国で喜ばれていると思います。

 勿論、相続人の方たちも喜ばれていました。

 最後に、相続までに1年位あれば十分に対策は可能です。

参考法令他

(注1)保険金の非課税枠(相続税法第12条)

被相続人の死亡後の遺族の生活保障等を考慮して500万円×法定相続人の数までの金額については課税されない規定.

(注2)不動産の評価方法(相続税法第22条、財産評価通達)

不動産の評価方法は、相続税法22条に時価による規定されていますが、時価の算定が実務上は難しいので、財産評価通達に基づき、土地は路線価、建物は固定資産税評価額で算定するのが一般的です。

尚、路線価は公示価格の80%、固定資産税評価額は公示価格の70%と言われています。

(注3)教育資金の一括贈与(措置法第70条の2の2)

孫や子供等に対する1,500万円までの教育資金の贈与については、原則、非課税になるという制度

(注4)贈与税(暦年贈与)の基礎控除額(相続税法第21条5)

 贈与税の基礎控除とは、贈与でもらたた財産から差し引くことができる一定の額のことです。贈与税の課税方式には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、それぞれ非課税金額が異なります。

 暦年贈与課税方式では、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告は不要です。)

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相続事例の執筆担当者

氏名:税理士:藤田 正則(ふじた まさのり)

資格:税理士(税理士登録番号109481号)
   AFP(日本FP協会)

専門分野:相続税、資産税、地主の節税対策

出身:広島県広島市

趣味:海外旅行

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