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金やプラチナは相続税の課税対象?

2024年06月30日

相続が発生するとあらゆる財産を合計して相続税の計算を行う必要があります。資産として価値のある金地金やプラチナなどは相続税の対象となるのでしょうか。

当記事では貴金属類を保有する場合の相続対策や注意点について解説します。

貴金属類は相続税の対象

結論として、ゴールドやプラチナ、金貨などの貴金属類や骨董品や美術品などの現物資産は相続が発生した時に一般的に取引が行われている時価で評価を行い、相続税の課税対象となります。

金は昔から投資対象としても注目されていて、純金積立を資産形成の一環として行っている人もいます。

金価格は近年価格が上昇していますが、どのような種類の貴金属であっても、相場によって変動しますので購入価格ではなく、現在の売買価格で計算をする必要があります。状態などによっていくらで売買されるのか価格も変わってきますので、価格が分からない場合は買い取りを行っている業者などで金額を確認するようにしましょう。

金地金などは刻印がされており、持ち主が特定されていることがおおいので、申告を怠った場合、税務署から指摘され、加算税を請求される可能性があります。悪意を持って自宅などに相続財産を隠していたと認定された場合は、重加算税という大きなペナルティを支払う必要があります。

ただし、仏壇・仏具など宗教的な目的で用いられている貴金属類は課税の対象外となります。ただし、節税のために無理やり貴金属類を仏具にすることは認められていませんので注意しましょう。

貴金属類の相続対策

貴金属類を相続する際に、行うことができる相続対策はどのようなものがあるのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

遺言を作成する

先に遺言を作成し、貴金属類を相続する人を誰にするか事前に決めることが可能です。相続人の中には貴金属類を保管することが難しい状況となっている人もいるかもしれませんので、誰に相続させるか決めておくことはメリットがあります。

ただし、不公平が生じ、感情的な問題が発生するケースもありますので、高額な貴金属類や、純金などの資産を数多く保有している場合は感情にも配慮して、受け取る額に差がでないように配分を検討するようにしましょう。

生前贈与する

貴金属を生前に贈与することも可能です。ただし、贈与税の課税対象となりますので、110万円を超える場合は贈与税がかかりますので注意しましょう。金地金であれば、グラム数によって金額が決まりますので、溶解して小さな塊に再生成することで、そのままであれば110万円を超える金地金でも110万円以内にすることも可能です。再生成に費用がかかりますが、分割することで分けやすくなるというメリットもあります。事前にシミュレーションを行って、費用が掛かるというデメリットよりも節税効果の方が大きい場合は検討してみてもよいでしょう。

生前贈与贈与をする場合も、遺産分割の際にトラブルにならないように相続人の感情的な面には配慮して行う必要があります。

売却した際は所得税の対象

貴金属類を売却した際は所得税の課税対象となりますので、注意が必要です。貴金属を売却した際の所得は一時所得と対象となり、5年以上所有している場合の計算式は以下の通りです。

(売却価格-取得価格-50万円(特別控除))×2分の1

現在は金が投資の対象として注目されており、過去の取引の相場よりも上昇しています。店舗にいって買取価格を聞いてみるとびっくりするほど高くなっている場合もあります。そのため、多くの人が利益が出ている状態となっており、買取の際に税金がかかる可能性が高いでしょう。売るタイミングによっては大きく利益が出る可能性があります。購入価格を確認し、利益が出ている場合は譲渡所得の対象となることは注意が必要です。

相続税の計算方法が分からない場合は税理士に相談を

相続税は被相続人が亡くなってから10ヶ月以内に税務署への申告書の提出と納税を行う必要があります。相続開始後に貴金属類の金額も確認し、金融機関に預けている預金、株式、土地・建物などの財産を一覧にして相続税の計算を行いますが、慣れていない人にとっては書類の作成や相続税の計算は簡単ではありません。また、申告の期限は10ヶ月と短く、相続発生後はあっという間に時間が過ぎてしまうので、時間が足らなくなるケースも多いです。

預貯金や不動産などをあわせた被相続人の財産が基礎控除以下であれば、相続税の申告は必要ありませんが、自分で申告を行うことで、配偶者控除や小規模宅地の特例など税額を軽減できる制度の利用が漏れてしまう可能性もあります。

知識がなく、申告が不安な場合は税理士等の専門家に依頼して間違えの内容に申告を行うと安心して進めることができます。ただし、税理士にも専門分野があります。そのため、税理士に申告を依頼する場合、相続税の申告実績が豊富で実績のある税理士にサポートを依頼することをおすすめします。まずは電話やメールなどで気軽に見積もりを依頼してみてもよいでしょう。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい