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外貨の贈与に贈与税はかかる?円換算の計算方法や申告・注意点を解説

2026年10月24日

外貨預金や米ドルなどの外貨を家族に贈与した場合、贈与税の計算はどうなるのかと気になる方もいるでしょう。
外貨も財産の一種であるため、贈与税の課税対象になります。ただし、贈与した金額やほかの贈与財産の合計額によっては、税金がかからない場合もあります。
また、外貨は為替相場によって日本円での評価額が変動するため、正しい換算方法を知っておくことが重要です。
この記事では、外貨の贈与に関する贈与税の計算方法や申告の必要性、為替レートの選び方、注意点について解説します。

外貨を贈与すると贈与税がかかる?

外貨の贈与は、原則として贈与税の課税対象です。
現金の米ドルやユーロだけでなく、金融機関に預けている外貨預金を無償で受け取った場合も同様です。
ただし、暦年課税では、1年間に贈与を受けた財産の合計額が基礎控除の110万円以下であれば、原則として贈与税はかかりません。
例えば、親から外貨を贈与された場合、日本円に換算した評価額が100万円でその年にほかの贈与を受けていなければ、通常は贈与税の申告も不要です。
一方、外貨の評価額が110万円を超える場合や、ほかの財産と合わせて基礎控除額を超える場合には、贈与税の申告と納税が必要になるケースもあります。
なお、110万円の基礎控除は贈与する人ごとではなく、贈与を受ける人ごとに計算します。

外貨の贈与税を計算する際の円換算方法

外貨の贈与税を計算するには、贈与された財産を日本円で評価する必要があります。
外貨の換算には複数の為替レートがありますが、贈与税の財産評価では原則としてTTBを使用します。

外貨の評価には贈与日のTTBを使用する

TTBとは、金融機関が顧客から外貨を買い取る際の為替レートです。
国税庁が公開している「外貨(現金)の邦貨換算」によると、外貨を日本円に換算する際、原則として財産を取得した日のTTBを使用すると定めています。

主な為替レートの違いは以下のとおりです。

為替レート 意味
TTB 金融機関が顧客から外貨を買う際のレート
TTM 金融機関が公表する仲値
TTS 金融機関が顧客に外貨を売る際のレート

例えば、米ドルを贈与された場合は、贈与日のTTBを確認して円換算します。
金融機関によって為替レートが異なるため、使用する相場の確認も必要です。

外貨の贈与税の計算例

親から1万米ドルを贈与され、贈与日のTTBが1米ドル=150円だった場合を考えてみましょう。

「10,000米ドル × 150円=150万円」の場合、外貨の評価額は150万円です。
その年にほかの贈与を受けておらず、暦年課税の基礎控除110万円を適用すると、課税価格は以下のようになります。

150万円-110万円=40万円

一般贈与財産用の税率10%を適用する場合、贈与税額は4万円です。
ただし、実際の税額は受贈者の年齢や贈与者との関係、相続時精算課税制度の選択状況などによって異なります。

外貨の贈与税はいつ申告する?

暦年課税による贈与税の申告期間は、原則として贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。
外貨を贈与された場合も、円換算した財産の評価額などを確認し、必要に応じて申告します。
申告に備えて、以下の情報を整理しておきましょう。

  • 贈与を受けた日付と外貨の金額
  • 贈与日に適用するTTB
  • 外貨を受け取った金融機関の取引記録
  • 贈与契約書など贈与の事実を確認できる資料

なお、贈与税と相続税は異なる税金です。相続によって外貨を取得した場合には、贈与税ではなく相続税の計算が必要になります。

外貨を贈与する際の3つの注意点

外貨の贈与では、為替相場の変動や金融機関の取引条件によって、想定外の税負担が発生することがあります。

1. 為替レートの変動によって評価額が変わる

外貨の価値は為替相場によって変動するため、同じ金額を贈与しても、贈与する日によって日本円での評価額が異なります。
例えば、1万米ドルを贈与する場合、TTBが140円なら140万円、150円なら150万円です。評価額が変われば贈与税の計算結果も変わります。
贈与前に金融機関の為替情報を確認し、贈与する金額を検討しましょう。

2. 外貨を円に換える際に所得税が発生する場合がある

贈与によって取得した外貨を後日日本円に両替する場合、為替差益が発生することがあります。
為替差益は原則として雑所得に該当し、所得税の課税対象になる場合があります。
贈与税の計算とは別に、円転時の所得税についても確認が必要です。
また、贈与した側が保有する外貨を円に換えてから現金を贈与する場合にも、贈与者に為替差益が生じる可能性があります。

3. 贈与の記録を残しておく

外貨を贈与する場合は、贈与契約書や金融機関の送金記録などを保管しておきましょう。
贈与した事実や取得日が不明確だと、後から税務署に説明を求められた際に、財産の評価額を確認しにくくなります。
特に海外の金融機関を利用する場合は、送金手数料や取引内容、為替レートの記録を残しておくことが大切です。

外貨の贈与と相続では税金の取り扱いが異なる

外貨を生前に贈与する場合と、死亡後に相続する場合では、適用される税金や評価の基準日が異なります。

項目 外貨の贈与 外貨の相続
対象となる税金 贈与税 相続税
評価の基準日 贈与による財産の取得日 被相続人の死亡日
円換算に使う相場 原則TTB 原則TTB
基礎控除 暦年課税では年間110万円 3,000万円+600万円×法定相続人の数

相続税の申告では、被相続人が保有していた外貨預金などを相続開始時点で評価します。相続人が取得した財産は、ほかの相続財産と合わせて相続税を計算します。

なお、相続開始前に贈与された外貨でも、一定の要件に該当する場合は相続税の課税価格に加算されることがあります。生前贈与を相続税対策として活用する場合は、贈与時期や制度の適用条件にも注意しましょう。

外貨の贈与税については税理士に相談しよう

外貨の贈与では、財産を取得した日のTTBを使用して日本円に換算し、贈与税を計算します。暦年課税の場合、年間110万円の基礎控除を利用できますが、ほかの贈与財産との合計額によっては申告が必要です。
また、外貨を円に換える際の為替差益や、相続時精算課税の選択など、税務上の判断が複雑になるケースもあります。
外貨預金や海外資産の贈与を検討している場合は、金融機関の取引情報を整理したうえで、税理士に相談するとよいでしょう。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい