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遺贈寄付に相続税はかかる?非課税になる条件や手続き、注意点を解説

2026年10月23日

遺贈寄付とは、遺言によって自分の財産の一部または全部を、公益法人やNPO法人、地方公共団体などに寄付することです。
社会貢献につながるだけでなく、一定の条件を満たすと相続税がかからない場合もあります。

ただし、寄付先や財産の種類、寄付の方法によって税金の取り扱いは異なるため、遺言作成時に把握しておくことが大切です。
この記事では、遺贈寄付と相続税の関係、非課税になる要件、手続きの流れや注意点について解説します。

遺贈寄付は原則として相続税の対象にならない

遺贈寄付によって法人が取得した財産には、原則として相続税はかかりません。
相続税は、基本的に相続や遺贈によって財産を取得した個人に課される税金だからです。

一方、個人に遺贈した場合は、その人が相続税の課税対象になることがあります。
また、法人への遺贈であっても、相続税の負担を不当に減少させる結果になると認められる場合などには、例外的な取り扱いとなるため、相続税が発生すケースもあります。
遺贈寄付を検討する際は、寄付先が法人なのか個人なのかを確認することが重要です。

遺言による寄付と相続人による寄付の違い

遺贈寄付には、遺言で寄付先を指定する方法と、相続人が相続した財産を寄付する方法があります。

項目 遺言による寄付 相続人による寄付
寄付する人 遺言者 財産を取得した相続人
寄付の時期 死亡後、遺言に基づいて実行 相続開始後
相続税 法人への遺贈は原則として課税されない 一定の要件を満たせば非課税
主な手続き 遺言書の作成、遺言の執行 寄付、相続税の申告

相続人が寄付する場合は、寄付先や期限などに関する特例の適用要件を満たす必要があります。

遺贈寄付で相続税が非課税になる条件

相続人が取得した相続財産を寄付する場合、一定の要件を満たせば、その財産を相続税の課税対象から除外できます。

寄付先が国や特定の公益法人などであること

非課税特例の対象となる寄付先には、国、地方公共団体、公益社団法人、公益財団法人、社会福祉法人、学校法人などがあります。
認定NPO法人への寄付も、所定の条件を満たせば対象です。
ただし、一般のNPO法人や任意団体への寄付が、すべて非課税になるわけではありません。
寄付先の法人格や認定状況、活動目的を事前に確認しましょう。

相続税の申告期限までに寄付すること

特例を利用するには、相続税の申告期限までに寄付を完了させる必要があります。
申告期限は原則として、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。

相続財産の調査や遺産分割協議に時間がかかると、期限に間に合わない可能性があります。
寄付を希望する相続人は、早めに寄付先へ相談することが大切です。

必要書類を添付して申告すること

特例の適用を受けるには、相続税の申告書に必要事項を記載し、寄付した財産の明細書などを添付します。
寄付先が発行する書類には、寄付を受けた年月日、財産の内容、使用目的などの記載が必要です。
また、寄付先が一定期間内に対象法人でなくなった場合や、財産を公益目的の事業に使用しなかった場合などは、特例が適用されなくなることがあるため、注意しましょう。

遺贈寄付には所得税のメリットもある?

遺贈寄付に関連する税制には、相続税の非課税特例だけでなく、所得税の寄付金控除もあります。
ただし、誰が寄付するか、寄付先がどのような団体かによって取り扱いが異なります。

相続人が寄付した場合の寄付金控除

相続人が相続財産から対象団体へ寄付した場合、相続税の非課税特例に加えて、所得税の寄付金控除などを受けられるケースもあります。
所得控除と税額控除のどちらを利用できるかは、寄付先の種類などによって異なります。
確定申告が必要になるため、寄付金受領証明書などの資料を保管しておきましょう。

不動産や株式の寄付はみなし譲渡課税に注意

土地や建物、株式などの資産を法人へ寄付すると、時価で譲渡したものとみなされ、含み益に対して所得税が課される場合があります。
例えば、取得時より価値が上がった不動産を寄付すると、実際には売却代金を受け取っていなくても税負担が発生する場合もあります。
なお、一定の公益法人等への寄付については、国税庁長官の承認を受けることで、譲渡所得を非課税にできる制度がありますが、相続税の非課税特例とは別の制度です。
利用したい場合は申請期限や承認要件を確認しましょう。

遺贈寄付の方法と手続きの流れ

遺贈寄付を実現するには、生前に遺言書を作成し、財産や寄付先を明確にしておくことが重要です。
ここでは、遺贈寄付の方法と手続きの流れを解説します。

1. 寄付先と財産を決める

まずは、自分が支援したい活動を行う団体を探しましょう。教育、医療、福祉、災害支援など、寄付の目的に合った法人を選びます。
寄付できる財産には、現金、預貯金、有価証券、不動産などがあります。ただし、不動産の受け入れには制限を設けている団体もあるため、事前の確認が必要です。

2. 遺言書を作成する

寄付先が決まったら、遺言書に法人の正式名称や寄付する財産の内容を記載します。
遺言書には自筆証書遺言と公正証書遺言などの種類があります。
記載内容の不備によるトラブルを防ぐためにも、税理士をはじめとした専門家のサポートを受けながら作成すると安心です。
また、遺言執行者を指定しておくと、死亡後の財産移転や寄付の手続きを進めやすくなります。

3. 遺言に基づいて寄付を実行する

遺言者が亡くなった後は、遺言執行者などが財産の調査や必要な手続きを行い、指定された団体へ寄付します。
相続人が相続財産を寄付する場合は、寄付の実行に加え、非課税特例に必要な書類をそろえて相続税の申告を行います。

遺贈寄付をする際の3つの注意点

遺贈寄付は社会貢献や税負担の軽減につながる可能性がありますが、相続人との関係や財産の種類によっては問題が発生することもあります。

遺留分を侵害しないようにする

遺留分とは、配偶者や子どもなど一定の相続人に認められる、最低限の遺産取得に関する権利です。
財産の大部分を寄付すると、遺留分を侵害し、寄付先が遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。
相続人の生活や取得する遺産の割合も考慮し、無理のない寄付額を設定しましょう。

不動産の寄付は税金や管理費用を確認する

不動産を遺贈する場合は、みなし譲渡課税だけでなく、名義変更や売却、維持管理に関する費用も考える必要があります。
寄付先が不動産を直接受け取れない場合には、売却して現金を寄付する方法も検討できます。
ただし、売却を伴う遺贈では、遺言の内容によって課税関係が複雑になるため、税理士への相談が重要です。

寄付先の活動内容と受け入れ条件を確認する

公益法人や認定NPO法人であっても、すべての財産を受け入れられるとは限りません。
寄付先の活動方針や財産の活用方法を確認し、必要に応じて担当者と相談しましょう。
事業承継に関係する自社株式など、評価や権利関係が複雑な資産は特に慎重な判断が求められます。

遺贈寄付と相続税については専門家に相談しよう

遺贈寄付は、自分の財産を社会のために役立てる方法の一つです。
法人への遺贈は原則として相続税の対象にならず、相続人が寄付する場合も一定の条件を満たせば非課税特例を利用できます。
ただし、寄付先や財産の種類、手続きの期限によって税務上の取り扱いは異なります。
遺言書の作成や税金の計算、申告方法に不安がある場合は、税理士や弁護士などの専門家に相談し、適切な方法を選びましょう。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい