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前妻の子に遺留分はある?

2025年08月10日

相続が発生すると相続人で遺産の分割の話し合いを行う必要があります。しかし、相続人の人間関係が複雑な場合、話し合いがうまくいかず、相続人間のトラブルになる可能性もあります。

特に離婚した前妻との間に子がいる場合は、遺産の分割で揉めることが多く注意が必要です。当記事では前妻の子がいる場合の配分や遺留分についてポイントをおさえて解説します。

前妻の子は遺留分がある

前妻の子は再婚した後妻の子とは母親が違うものの兄弟姉妹となり、被相続人から見ると親子関係となりますので、同様に子供として第一順位の相続権があります。前妻の子と後妻の子が1人ずついる場合は、前妻の子も全財産の半分を受け取る権利を有します。

配偶者や子などに最低限の相続権を与える遺留分という民法第1042条で定められた制度もあります。遺留分は兄弟姉妹以外の法定相続人に認められている権利で、子どもには遺留分があり、親の財産を受け取ることができます。

前妻の子自身が協議で納得するか相続放棄をしない限り、必ず財産をもらえる制度となっているため、財産を一切遺さないということはできません。必ず遺産分割協議に参加してもらわないといけない点は覚えておきましょう。

また、生命保険は基本的に遺留分の計算の対象外となりますが、多額の保険金がかけられており後妻の子が財産の大半の受取人になっているような場合では遺留分の計算に生命保険が含まれると判断されることもあります。

法定相続分は後妻の子供と同じ割合があります。後妻の子に生前贈与をしている場合でも特別受益として生前に取得している場合は、贈与を受けている分も考慮してそれぞれの配分を決定する必要があります。

相続が発生した場合は、事前に預貯金や不動産、金などの現物資産も含めて財産を調査し、まとめて一覧の表にするとよいでしょう。法律上有効な遺言がない場合は、財産の一覧を確認し、相続人全員で集まって早めに遺産相続の話し合いをするようにしましょう。特に相続人の数が多い場合は、各人の意見があるため、納得できない人が一人でもいると、協議が成立せず手続きが進めることができません。交渉にも時間がかかるため注意が必要です。

連絡先を知っているなら、早めに連絡することが重要ですが、相続人同士が疎遠な状態で連絡先がわからない場合は、戸籍や戸籍の附票に記載している住所に手紙を送るなど連絡をとるなどあらゆる手段を活用して連絡を取る必要があります。

前妻の子がいる場合は遺言書の作成が必要

前妻の子がいる場合の対処法として遺言を書いておき準備することで安心して手続きを進めることができます。

前妻の子と現在の配偶者やその子がいる場合は3人で話し合いが必要ですが配分で問題となり、相続手続きが進まないことが多いです。被相続人が亡くなった後に一度トラブルが生じると財産を分ける時の対応は非常に大変になるため、事前に回避することが重要です。相続人同士で話し合いが決着できない時は弁護士を通じての話し合いを行い、それでも解決できない場合は家庭裁判所での調停や審判という流れで手続きを進めていくことになります。

相続が発生すると解決することは難しいため、トラブルを避けるために相続が発生する前に遺言を作成することをおすすめします。生前に遺言を作成することで、自分で考えた配分のとおりに遺産を遺すことが可能です。前妻の子と後妻や後妻の子が関係が悪い場合でも、遺言を作成しておくことで遺産分割の話し合いをする必要はありません。前妻の子がいる場合は遺言を作成するメリットが非常に大きいといえるでしょう。

遺言には自筆証書遺言と公証役場で作成する公正証書遺言があります。自筆証書遺言は相続開始後、遺された家族が家庭裁判所で検認の手続きをする必要があり、効力が亡くなる可能性があるなどデメリットや負担も大きいです。

一方で公正証書遺言は公証人立ち合いで書類が作成されるため作成時点で法的に有効であることが確定しますので、死後に相続人の負担を軽減することができる公正証書遺言で作成することをおすすめします。

内容については、遺留分を侵害するような遺言を作成しても、遺留分を侵害された者から遺留分を請求されると、必ず遺留分に相当する分の額を現金で渡す必要があり、かえって揉める可能性もあります。内容について不安がある場合は、司法書士など専門家に相談するとよいでしょう。市区町村の行政サービスで法律相談を行っているケースもありますので、利用してみてもよいでしょう。

自宅がアクセスの良い東京や大阪などの都心にある場合は自宅の土地・建物を一人に遺すだけで、資産の大部分となってしまい、金銭などそれ以外の財産をすべて渡しても遺留分侵害となる可能性があります。財産の分け方がどうしても不公平になる場合は分け方を決めた理由も書き添えておけばよいでしょう。配分を特定する際は理由をしっかりと示すことで、相続人同士が感情的になることを防ぐことができ、実際に感情を害さずに遺言の内容を実現できる場合があります。

また、遺言書を作成する際は、執行者を指定することも検討しておくとよいでしょう。執行者とは遺言書の通りに金融機関の名義変更や法務局での不動産の登記など相続財産の配分の手続きをする人のことです。夫が亡くなった時には妻が高齢になっている事例も多く、遺言書があっても遺言書どおりに手続きをすることが難しいケースもあります。執行者を指定しておくことでスムーズに手続きを進めることができます。

執行者には弁護士や司法書士、税理士などの専門家を指定することも認められています。専門家に依頼することで費用はかかりますが、相続人同士で関係が良くない場合でも本人同士で連絡を取らずに手続きも進めることができます。専門家に執行を依頼したい場合は、法律事務所や税理士事務所に相談してみるとよいでしょう。

前妻の子がいる場合の相続手続きは専門家に相談を

今回解説したように前妻の子と後妻の子がいる場合は権利を主張されトラブルになるケースも多く、トラブルになると、解決は難しく、状況によっては時間がかかるケースも多くあります。手続きに慣れていない人が手続きをすることは簡単なことではありません。

そのため、相続が発生する前に遺言書を作成するなどの対策をしっかりと行うことが重要です。遺言書を作成する場合は、専門家にサポートを依頼することをおすすめします。遺言書には日付や署名・押印など法律で定められた最低限の形式を揃えていないと無効となってしまいます。

また、遺言の書き方や割合についても専門家にアドバイスをもらうことで、誰に何を遺すか考える際に注意点をふまえて具体的なお悩みをふまえて遺言書を作成することができます。

財産が基礎控除を超える場合は相続税の申告も必要です。相続税の申告が必要な場合は、被相続人が死亡した翌日から原則10ヶ月以内に手続きを進める必要があります。基礎控除以下であれば相続税の申告の心配はありませんが、相続税の申告が必要な場合は期限もふまえて迅速に手続きを進める必要があります。相続税は特例等も複雑で、慣れていない人にとっては難しいものです。自分で申告手続きを行うことが難しい場合は税務のプロである税理士に依頼する方がよいでしょう。

相続税の申告に不安がある場合は税理士に依頼することも可能です。広島相続税相談テラスでは相続の実績があり、経験豊富な税理士が多数在籍しており初回の相談無料で相続税の相談に応じています。まずはお電話やメール等でお気軽にご連絡ください。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい