親等の親族が亡くなって、財産の一覧の表を作成したうえで遺産分割を行った後から調査して他にも財産があることが判明したケースや後から民法上有効な遺言が見つかった場合や多額の生前贈与により財産を取得していることが発覚した場合、相続放棄をしていないにもかかわらず、遺産分割協議に参加していなかった相続人がいた場合など、遺産分割協議をやり直さざるを得ない状況となる場合もあるでしょう。
遺産分割が確定した結果を受けてその時点で土地や建物など一度、不動産の登記をしてしまっている場合、後からあらためて登記をやり直すことはできるのでしょうか。当記事では遺産分割協議のやり直しについて具体的に解説します。
遺産分割協議のやり直しは可能
相続が原因となり各財産の遺産分割をした場合、時効はありませんので、遺産分割が成立してから何年経過していても当初の遺産分割協議をやり直すことは可能です。
ただし、成立している遺産分割協議を無効とし、再度やり直すためには相続人全員の合意と遺産分割協議書への署名・押印が必要となりますので、一人でも反対する者がいるとやり直しを行うことはできません。また、異なる配分とするために、再度遺産分割協議書を作成する必要があり、書類の作成や手続きの手間がかかります。再度の遺産分割協議によって相続人同士がトラブルになる場合もあります。
不動産の名義を変更するために再度登記を行い、所有権を設定する場合は一度、法務局で抹消登記を行って、再度、所有権移転登記の申請を行い、権利の変更を行います。
不動産を再度登記する場合の注意点
不動産を再度、名義変更をする場合どのような点に注意をすれば良いのでしょうか。再度登記をする場合のデメリットや注意点について案内します。
登記に関する費用が再度かかる
不動産登記の申請をする際に戸籍謄本の収集や印鑑証明書など添付書類の発行費用、不動産取得税や登録免許税がそれぞれかかります。初回の登記でかかった費用や所有権抹消登記にかかる費用が返還されることはありません。そのため、抹消の費用と再度登記する費用が余計にかかってしまいます。
不動産の個数が多い場合はその数の分費用がかかりますし。司法書士事務所などに登記の手続きを依頼する場合は司法書士の費用も新たにかかってしまいます。
贈与税がかかる場合がある
被相続人が死亡したことにより相続財産を配分した場合は相続税の対象となりますが、金銭で対価を渡さずに不動産の登記を変更した場合、贈与となり贈与税が課税されます。アクセスがよく価値の大きい不動産の場合、多額の贈与税がかかり、税金の額も大きいので注意が必要です。
贈与税の申告をしなかった場合、税務署から請求される可能性があります。贈与税についてもよく確認したうえで検討するようにしましょう。
第三者に譲渡している場合は登記ができない場合がある
相続した不動産をその後で既に第三者に売却したことにより、別の人が所有者となっている時や借地権等の権利が設定されている場合もあるでしょう。遺言書が見つかった場合や財産が見つかったなどの問題があったとしても、既に売買により所有権を第三者に移転している場合は第三者を保護するために、遺産分割をやり直すことはできません。
不明点は専門家に相談を
相続に関する制度や税法は複雑で慣れていない人が手続きを行うことは大きな負担がかかります。知識がない場合や土日・祝日しか休みが無く手続きを自分で行うことが難しい状況の場合は、普段から業務として行っている司法書士や税理士等の専門家に依頼して手続きを行うことをおすすめします。また、遺産分割協議をやり直す場合は、さまざまな注意点がありますので、注意点もふまえて判断する必要がありますので、その点も専門家に相談した方がよいでしょう。
また、相続税は相続開始後、原則10ヶ月以内に申告を行う必要があり、期限内に行うことが難しい事例も多くあります。
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