相続が発生すると、法定相続人で遺産の分割の話し合いを行い、相続財産を分けることになります。
しかし、遺言書が作成されていた場合、孫や、親族、友人など民法で定められた法定相続人以外の人に財産を遺すことも可能です。遺言書で、相続人以外の人に財産を遺す場合、包括遺贈と特定遺贈の二つの方法があります。
当記事では、包括遺贈遺贈と特定遺贈の違いや相続税を支払ううえでの注意点を解説します。
包括遺贈と特定遺贈とは
包括遺贈は相続人以外の人に、財産や債務などマイナスの財産を包括的に遺す方法です。包括遺贈で財産を取得するように記載された人は相続人と同じ権利・義務を負います。包括遺贈の仕組みを使って複数の人に財産を遺すこともできます。例えば自分が亡くなった時にAとBにそれぞれ2分の1ずつ包括遺贈をするというような方法です。必ずしも2分の1にする必要はなく、3分の2と3分の1等一定の割合で相続人以外が受け取るように指定することが可能です。
一方の特定遺贈は誰に何を遺すのか、資産を指定して遺す方法です。特定の土地・建物や預貯金のうち1,000万円、特定の株式を遺すという書き方になりますので、財産のうち一部を遺したい時に使う方法です。特定遺贈の場合は特定の財産を相続することになりますので、指定されていない限り債務について弁済する義務を負うことはありません。特定遺贈の場合は、遺言に記載されていない内容については協議で決めることになります。
また、包括遺贈と特定遺贈の大きな違いとして不動産取得税の課税有無があります。包括遺贈の場合は不動産取得税がかかりませんが、特定遺贈の場合は不動産取得税が課税されます。
法定相続人以外の人に遺贈する場合の注意点
法定相続人以外の人に財産を遺す場合、どのような点に注意をすれば良いのでしょうか。具体的に解説します。
法定相続人とトラブルになる場合がある
法定相続人以外の人に財産を遺すことで相続放棄をするつもりはなかった法定相続人など親族とトラブルになるケースがあります。特に最低限の権利である遺留分を持つ人がいる場合、遺言通りに分けることができない状況となる場合があります。
遺言書を作成することで、法律上は財産を取得する権利を有することになりますが、納得がいかないと感じる人もいるかもしれません。トラブルになると親族にも受遺者にも大きな負担がかかりますので、遺言書を作成する際は慎重にに検討するようにしましょう。
相続税が2割加算になる
配偶者と一親等以外の人が財産を取得した場合、相続税の計算上2割加算となります。
通常よりも相続税の税額が大きくなりますので注意が必要です。
特に特定遺贈で不動産などすぐに現金化できない財産を遺す場合は現金で支払う資金を確保する必要があります。事前にシミュレーションを行って、どれくらいの税額になるかを確認しておくようにしましょう。
手続きが進まないケースがある
相続が発生した後は金融機関の名義変更や法務局で不動産の登記を行う必要があります。
法定相続人が手続きを行うよりも、相続人以外の人が行う際はさまざまな点で手続きが止まってしまい進まないことが多いです。
しかし、遺言書に執行者を指定しておくことで、スムーズに手続きを進めることが可能です。執行者とは遺言の内容通りに手続きをする人のことで、受遺者自身を指定することもできますし、司法書士や弁護士、税理士など専門家に費用を支払ってサポートを依頼することも可能です。
相続のお悩みは専門家に相談を
相続の制度は複雑で慣れていない人にとって簡単なものではありません。
そのため、相続発生前の対策の検討や手続きを進める際に不安がある場合は専門家に相談するようにしましょう。
特に課税対象の財産が基礎控除を超えており、相続税の申告が必要な場合、被相続人が死亡した翌日から10ヶ月以内に申告が必要です。まずは一覧の表にまとめて、プラスの財産から債務などマイナスの財産を差し引いて、相続税の申告が必要かどうか確認しましょう。
期限内に申告書の提出と納税を完了する必要があります。税務調査で計算の間違いや申告漏れを指摘されるとペナルティが課される可能性がありますので注意が必要です。相続税の仕組みや税率などは国税庁のホームページには掲載されていますが、非常に複雑です。相続税の申告に不安がある場合は相続税の申告実績が豊富な税理士事務所・税理士法人にサポートを依頼することを検討してもよいでしょう。
広島相続税相談テラスでは経験豊富な税理士が多数在籍しており、皆様のお悩みを解決します。
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