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被相続人の借金は借用書なしでも返済義務はある?

2025年06月08日

親などの相続が発生した際は相続人はあらゆる遺産を引き継ぎます。相続人が引き継ぐ財産は預貯金等のプラスの財産だけでなく、相続が発生する前に事業などを行っており、被相続人が借りていた借金や未払の債務などがある例ではマイナスの財産も分割して引き継ぐことになります。遺産相続をした子どもなどの法定相続人のうち誰かが債務に基づいて返済する義務があります。

債権者から請求をされると財産を引き継ぐ者は本人に代わり返済する法的な義務がありますが、借用書がない場合はどのように対応したらよいのでしょうか。当記事では借用書が存在しない借金の対応についてポイントをおさえて解説します。

お金の貸し借りは口頭でも成立する?

お金の貸し借りは法律上は金銭消費貸借契約と言います。貸主は借主からお金を返済してもらう債権を持ち、借主は貸主に返済する債務があります。契約の基づいて債権者は回収を行い、予定通り、債務者が返済せずに滞納した場合は督促を行います。場合によっては裁判を行い、土地などを差し押さえ、回収することもあります。

金銭消費貸借契約は借入があることを証明するために書面により契約を交わすことが一般的ですが、口頭でも成立します。特に個人間の貸し借りでは月々の返済額を決めていないケースも多く、口頭で行うこと多いでしょう。

親等が借用書無しの貸し借りがある場合の対処方法

親等が過去に借用書が作られていない状態で借金をしており、交通事故などで突然亡くなってしまい、お金を貸していたと主張され返済を求められた時、遺された家族はどのように対処すればよいのでしょうか。相続人がやるべきことを具体的に解説します。

債務の存在の確認

まず、確認しておくことは、借金が本当にあったのかを確認することです。借用書がなく、借金の有無が不明な場合、資金を貸していることを主張された場合、銀行のお金の異動を通帳で確認することや返済履歴から借金の有無を確認するしかないでしょう。金銭の貸し借りをしていたことや現在も残債があるかどうかが分からない場合でも督促に応じてすぐには支払わず、調査して得られる情報で事実の確認を優先するようにしましょう。

個人間の貸し借りで借用書もない場合は、どのような契約内容であったかが亡くなってから、全くわからない可能性があります。貸主との間で支払いを巡ってトラブルになる可能性もありますので、借用書がない場合は、借金の有無やいつ返済するか、利息の有無など、契約状況とその証拠についてしっかりと確認するようにしましょう。債務者と契約内容や債務の有無について交渉がうまくいかず、争いになった場合は、裁判となるケースもあり慎重に対応する必要があります。弁護士に代理で交渉を依頼する場合は、債務整理などに関連する業務を行っている弁護士が在籍する法律事務所に相談し、対応するようにしましょう。

相続放棄の検討をする

被相続人の借金が多く、その後問題となる可能性がある場合は相続放棄を行って、借金から免れることを検討してみてもよいでしょう。相続放棄をすることで、債務を返済する義務はなくなります。

相続放棄をする場合は被相続人の死亡の翌日から3ヶ月以内に家庭裁判所に提出する書類を作成し、手続きを行う必要があります。相続発生後は葬儀などで忙しい状況の中で手続きを進める必要があります。

ただし、相続放棄をすると預貯金や不動産などプラスの財産も一切引き継ぐことができなくなります。夫婦で一緒に住んでいる場合は被相続人名義の家の場合は放棄をすると家にも住めなくなってしまいます。

引き継いだ財産で支払うことができれば借金があっても引き継いだ方がメリットが大きいケースもあります。プラスの財産の金額も確認し、借金の金額以下であれば相続放棄を検討しても良いでしょう。

また、債務の額が多く、相続放棄を決めた場合でも、他の相続人は遺産分割の協議を行い、債務を引き継ぐ必要があるります。3ヶ月を経過すると、放棄の意思表示をすることができなくなり、負担がかかりトラブルになることがあります。相続放棄をすると決めた時点で相続人全員が把握できるように、相続人に連絡してから相続放棄をするようにしましょう。

相続手続きは専門家に相談を

債務に限らず、相続に関する手続きは複雑で、経験や知識がない人も多いので、自分で行うとスムーズに進まないケースも多いです。また、基礎控除を超える場合は相続税の申告を行う必要があります。基礎控除は3,000万円+法定相続人×600万円で計算を行います。東京や大阪などアクセスの良い場所に不動産がある場合はそれだけで基礎控除を超えて相続税がかかる可能性があります。まずは預貯金や株式、不動産、金など財産の一覧の表を作成し、税金の有無を確認しましょう。

相続税の申告を自分で行うことが難しい場合は、費用はかかりますが税理士事務所や税理士法人にサポートを依頼すると安心して進めることができます。

広島相続税相談テラスでは初回の相談無料で、相続に関するあらゆるお悩みを解決しています。経験豊富な税理士が多数在籍しており、状況に応じて、弁護士や司法書士を紹介し、適切に対応します。まずはお気軽にお電話やメールでご相談ください。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい