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相続税の無申告だと税務署にバレる?税務調査の実態とは

2025年12月14日

相続が発生し、被相続人が保有していた相続財産の総額が基礎控除の額を超える場合は、財産を取得した法定相続人は税務署に相続税の申告が必要となる制度となっています。財産が基礎控除(3,000万円+法定相続人×600万円)以下であれば、相続税の申告をする必要はありませんが、特例を適用することで、相続税が0円になる場合でも申告は必要です。相続税は国税として課される税金で財産が多いにもかかわらず、申告を行わないとペナルティが課されることもあります。

相続税の申告期限は相続発生の翌日から原則10ヶ月以内で短い期間で土地・建物などの不動産や預金、株式、金など財産の評価額を一覧の表にまとめ、税務署に申告書を提出するために相続税の計算と納税の手続きを行う義務があります。課税の対象となる財産の内容によっては評価方法が複雑な場合がありますので注意が必要です。

期限を過ぎても申告を行わなかった場合、税務調査で指摘される可能性があります。

当記事では税務調査の実態や税務署がどのようにして、調査対象を絞っているのか解説しますので是非参考にしてください。

税務調査の対象の絞り方

役場で死亡届が出されると、税務署に連絡が行くようになっていますので、相続が発生したことを必ず税務署は把握することになります。

それでも、亡くなる人の人数に対し、税務調査の調査官の数は少ないですので、全ての相続に対し、調査に入ることは不可能です。そのため、ある程度、調査を実施する対象を絞って、丁寧に調査を行っています。

税務署の情報の管理もシステムも進化しており、過去に支払った所得税、固定資産税など、他の税金から、資産をどれくらい持っているかを想像することができます。

明確に基準があるわけではありませんが、過去に所得税や固定資産税などを多く支払っているにも関わらず、申告が行われなかった場合や、財産が小さい場合は理由を探るために調査に入る可能性があります。

なお、相続税の申告を怠った場合でも時効が法律で定められており、相続発生の翌日から5年ですが、不正があった場合は7年に延長されます。

税務調査の方法

税務調査の種類には任意調査と強制調査があり、通常は任意調査で行われます。任意調査では調査前に税務署から連絡が入り、調査官からの質問や資料の確認が行われます。

脱税の可能性が高い場合や悪質な所得隠しが行われている可能性が高い場合は、強制調査が行われます。強制調査は裁判所の令状をもとに行われるもので、拒否する権限はなく、資料が押収されます。

申告を怠った場合のペナルティ

申告を怠った場合、追徴で追加の税金が課される可能性があります。どのようなペナルティがあるか確認しておきましょう。

過少申告加算税

過少申告加算税は本来の税額よりも少ない金額で納税した場合に課される税金です。

過少申告加算税の税率は税務署の事前調査が行われ、税務調査までに追加納付した場合、50万円以内の金額に対し、5%、50万円を超える部分に対し、10%の加算税が課されます。

税務調査が行われ、過少申告が発覚した場合は、50万円以内の金額に対し10%、50万円を超える部分に対し15%の税金がかかります。

無申告加算税

無申告加算税は正当な理由なく申告期限までに申告を行わなかった人に対し、課される税金です。申告漏れであって、1か月以上経過し、自ら、税務署に調べられる前に申告した場合は5%の加算税が課されます。

税務署の事前調査が行われ、税務調査までに追加納付した場合、50万円以内の金額に対し、10%、50万円を超える部分に対し、15%の加算税が課されます。

税務調査が行われ、無申告が発覚した場合は、50万円以内の金額に対し15%、50万円を超える部分に対し20%の税金がかかります。

重加算税

重加算税とは銀行から亡くなる直前に出金して、タンスに隠しておくなど、意図的に財産隠しをした場合や虚偽の報告を行うなど悪質な行為が行われた場合に課される税金です。重加算税は追加納付した税額の40%が加算されます。

また、過去5年以内に相続税の無申告加算税や重加算税を課されていた場合は50%の税率となり、非常に重い負担となります。

延滞税

延滞税は相続税の納付が遅れた場合にかかる税金です。延滞税は単純に申告が遅れた場合や、修正申告、税務署の調査により追加納付した場合など結果的に期限内に、適切に納付できていない金額に対して加算されます。期限を過ぎることに対する利息と考えるとよいでしょう。

延滞税の税率は市場の利率によってきまりますが、納期限の翌日から2カ月経過した時点で、税率が高くなります。

生前の節税対策が重要

上記に解説したとおり、相続税の申告を怠った場合や資産隠しなど脱税行為を行った場合、ペナルティが課され、更に負担が重くなってしまいます。そのため、亡くなってからよりも生前の節税対策が重要となります。

節税対策を行う際の流れや注意点について解説します。

現状を把握する

まずは現状を把握するためにシミュレーションを行うことが重要です。相続税には小規模宅地の特例や配偶者控除などさまざまな特例があります。財産の評価と特例の利用可否を確認し、どれくらいの税額がかかることになりそうかを確認することが重要です。

配分を検討する

相続税の税額を確認する際に、特例の利用可否などが変わるため誰に何を遺すかを決めないと確認することができません。そのため、誰に何を遺すか配分を決めておくことも重要となります。

不動産など、現物資産を中心に引き継いだ者が現金で相続税を支払うことができるかも、あわせて確認しておくようにしましょう。特に東京などアクセスのよい場所に不動産がある場合は評価が高くなりますので、注意が必要です。

配分を決めることができたら、遺言書の作成を検討するようにしましょう。

具体的な相続税対策を検討する

現状把握や分け方を決めることができたら、具体的な相続税の対策について検討します。

一般的に行われている方法としては、生命保険の非課税枠の活用や、贈与税の基礎控除の範囲内で親族に贈与を行う方法です。相続税対策についてはその家族にあった方法があります。

あまり節税にこだわり過ぎると、配分のバランスが崩れてしまう可能性がありますので、慎重に検討するようにしましょう。

相続税に関するお悩みは税理士に相談を

近年は税務署による調査もシステム化されており、金融機関との取引など詳細の状況を把握しやすくなっていますので、遺産の調査や申告漏れの把握も正確になっています。資産を隠すことや、意図的に虚偽の報告など脱税行為をすると、罰則として修正の申告をする際に正しい申告をした場合よりも重い税金を課されるだけでなく、刑事罰を問われる可能性もあります。

生前の節税対策について、知識や経験がないと、実際に軽減できる策を考えることは簡単ではありません。

相続が発生すると、相続税の申告だけでなく、金融機関の口座の名義変更や、不動産の登記も行う必要があります。自分が検討することが難しい場合は、税務の専門家であり、ノウハウのある税理士事務所・税理士法人にサポートを依頼することで、安心して進めることが可能です。

また、相続発生後の申告も、あまり日数がありませんので、相続発生後すぐに、相続税の申告に必要な書類の準備を始める必要があります。

相続税の計算方法は国税庁のホームページにも掲載されていますが、実際に慣れていない家族にとって相続に関する事務手続きなことを進めるのは簡単なものではありません。少しでも不安がある場合は、費用はかかりますが相続税の申告も相続税に強い、実績のある税理士に依頼していただくことをおすすめします。

広島相続税相談テラスでは初回の相談はサービスで無料で対応しております。相続税の生前対策や申告で不安がある場合は、お気軽にお電話やメール等でご連絡ください。

 

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい