「不動産を相続したけど家屋の相続税評価額がわからない」と悩んでいませんか。専門知識がないと、どのように考えて何を行えばよいかわからないはずです。相続では、家屋と土地の評価を別々に行います。また、家屋の評価方法は複数に分かれます。したがって、ケースにより相続税評価額の求め方は異なります。
この記事では、家屋の相続税評価額の求め方をケース別に解説しています。
以下の記事を参考にすれば、被相続人が住んでいた場合、家屋を貸していた場合、家屋を建設していた場合の計算方法がわかります。したがって、適切な対処方法を理解できるはずです。
相続でお困りの方は参考にしてください。
ケースによって変わる家屋(建物)の評価額
家屋の相続税評価額は、基本的に固定資産税評価額を使用して求めます。
固定資産税は、毎年1月1日時点における土地・家屋などの所有者に対し、これらの価格(=固定資産税評価額)に基づき課される税金です。
固定資産税評価額は、毎年、4月頃に送られてくる固定資産税課税明細書の価格欄に記載されています。
例えば、「10000000」と記載されている場合、固定資産税評価額は1,000万円です。この書類を紛失している場合は、市役所などで固定資産税評価証明書を取得するとよいでしょう。
ここからは、家屋の固定資産税評価額の求め方をケース別に解説します。
ケース1 被相続人が家屋(建物)に住んでいた
最も多いパターンと考えられるのが、被相続人が住んでいた家屋(自用家屋)を相続したケースです。このケースにおける相続税評価額の求め方は簡単です。
具体的には、以下の計算式で求めます。
評価額=固定資産税評価額×1.0
つまり、固定資産税評価額が相続税評価額になります。
例えば、固定資産税課税明細書に「10000000」と記載されている場合、相続税評価額は1,000万円です。書類さえあれば簡単に求められます。
ケース2 お金をもらって家屋(建物)を貸していた
賃料を貰って貸していた家屋の計算方法はやや複雑です。
具体的には、賃貸アパートなどです。
アパートを貸していた場合の計算方法は次のとおりです。
評価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
借家権割合は借主が家屋を使用する権利、賃貸割合は実際に貸している床面積の割合です。
固定資産税評価額から借家権割合を減じる理由は、貸家は自用家屋よりも権利の制約を受けるからといえるでしょう。
では、借家権割合と賃貸割合はどのように求めればよいのでしょうか。
借家権割合は全国一律30%です。
今後、変更になる可能性もありますので各都道府県の借家権割合は、国税庁が運営するWebサイト「財産評価基準書路線価・評価倍率表」で調べたい都道府県を選択して、土地関係以外の「借家権割合」を選択すればわかります。
次に賃貸割合は「課税時期に貸していた専有部分の床面積/家屋における専有部分の総床面」で求めます。
参考に、以下のケースで相続税評価額を計算します。
- 固定資産税評価額:1億円
- 借家権割合:30%
- 家屋における専有部分の総床面積:400平方メートル
- 課税時期に貸していた専有部分の床面積:200平方メートル
このような場合だと、計算式は以下のようになります。
1億円×(1-30%×200㎡/400㎡)=8,500万円
課税時期に空室だった部屋は、貸していた専有部分の床面積に加えられません。ただし、一時的に空室となっていた場合は、貸していた専有部分の床面積に加えられます。
一時的な空室に該当するかどうかは、課税時期前に継続的に賃貸されていた部屋、空室になってから速やかに賃借人の募集が行われている、空室期間中に他の用途に使用されていないなどを勘案して総合的に判断します。
尚、賃貸割合は、アパ-トなどで各部屋が同じ面積の場合には部屋数で計算すればいいでしょう。
ケース3 お金をもらわずに家屋(建物)を貸していた
親族などにお金をもらわずに家屋を貸していた場合(使用貸借に該当)、借家権割合を減じられません。
したがって、計算方法は以下のようになります。
評価額=固定資産税評価額×1.0
ケース4 家屋(建物)が建設中だった
建設中の家屋を相続した場合、以下の計算方法で評価額を求めます。
評価額=課税時期までの建設費用原価×70%
建設費用原価は、「総建築代金×工事進捗率」で求められます。
参考に、以下のケースで評価額を計算します。
【例】
このような場合だと、計算式は以下のようになります。
建設費用原価=3,000万円×50%=1,500万円
建設中の家屋の評価額=1,500万円×70%=1,050万円
このように建設中の家屋を相続した場合も、正しく評価する必要があります。
家屋を相続したときは税理士に相談
いかがでしたでしょうか?家屋の相続税評価について解説しました。ケースにより計算方法が異なるため、家屋の評価は非常に複雑です。不安を感じる場合は、税理士に相談しましょう。
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