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相続税の申告が不要になるケースとは?必要な場合や判断方法も解説

2026年10月25日

相続が発生した際、相続税の申告が必要なのか、それとも不要なのか迷う方は珍しくありません。
相続税は、遺産を受け取ったら必ず申告や納税をする義務はありません。
相続財産の総額が基礎控除額以下なら、原則として申告は不要です。

ただし、相続税がかからなくても申告しなければならないケースがあります。
この記事では、相続税の申告が不要になる条件や基礎控除の計算方法、申告が必要なケース、判断時の注意点を解説します。
相続税の申告が必要かどうか不安な方は、国税庁の公式サイトで基本的な知識を確認することもおすすめです。
家族の状況によって判断が異なるため、実際の相続財産を把握したうえで考えましょう。

相続税の申告が不要になるケース

相続税の申告が不要になる代表的なケースは、課税対象となる遺産の総額が基礎控除額以下の場合です。
また、一定の非課税制度や税額控除によって申告が不要になる場合もあります。

相続財産が基礎控除額以下の場合

相続税には、遺産のうち一定の金額まで課税されない基礎控除があります。
課税価格の合計額が基礎控除額以下であれば、原則として相続税の申告は必要ありません。
基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算できます。
例えば、被相続人が死亡し、妻と子ども2人が相続人になった場合、法定相続人は3人であり、計算式は以下の通りです。

3,000万円+600万円×3人=4,800万円
この場合、課税価格の合計額が4,800万円以下なら、原則として申告不要です。
ただし、預貯金や不動産などの財産だけでなく、生前贈与による加算額なども確認する必要があります。
例えば、相続人が子や孫である場合も、法定相続人の数によって基礎控除額は変わります。
ただし、孫が遺贈によって財産を取得した場合などは、法定相続人の数え方や課税関係は別途確認してください。

非課税財産などを差し引くと基礎控除額以下になる場合

生命保険金や死亡退職金には、それぞれ一定の非課税枠があります。
相続人が受け取る場合の非課税限度額は、原則として500万円×法定相続人の数です。

例えば、法定相続人が3人なら、生命保険金の非課税限度額は1,500万円です。
このほか、一定の債務や葬式費用も遺産総額から差し引けます。こうした計算の結果、課税価格の合計額が基礎控除額以下になれば、申告が不要となる場合があります。
なお、生命保険金の非課税枠は、相続放棄をした人や相続人以外の人が受け取る保険金には適用されません。
死亡退職金についても同様に、受取人や取得した金額を確認することが大切です。

相続税が0円でも申告が必要なケース

相続税は、特例や軽減制度の適用によって納税額が0円になっても、申告が必要な場合があります。
特に、配偶者の税額軽減と小規模宅地等の特例には注意しましょう。

配偶者の税額軽減を適用する場合

配偶者の税額軽減とは、配偶者が取得した正味の遺産額について、1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか多い金額まで、相続税がかからない制度です。
ただし、この制度を利用して相続税が0円になる場合は、原則として申告書の提出が必要です。
遺産分割協議を行い、配偶者が取得する財産を確定させることも重要になります。

小規模宅地等の特例を適用する場合

小規模宅地等の特例は、一定の条件を満たす宅地などについて、相続税の計算上の評価額を減額できる制度です。
例えば、被相続人が住んでいた自宅の土地は、条件を満たせば330㎡まで80%の減額を受けられる場合があります。
農地や事業用の土地なども、財産の種類によって取り扱いが異なります。
この特例によって課税価格の合計額が基礎控除額以下になっても、原則として申告が必要です。

その他の特例や控除を利用する場合

相続税には、未成年者控除や障害者控除など、税額を減らす制度もあります。
これらの税額控除によって納税額が0円となる場合、ほかに申告が必要となる事情がなければ、申告不要となることがあります。
ただし、特例ごとに適用要件や申告の必要性は異なります。制度を利用する前に、税務署や税理士へ確認すると安心です。

相続税の申告が必要か判断する方法

相続税の申告が必要かどうかは、相続財産の調査、評価額の計算、基礎控除額との比較という流れで判断します。

1.相続財産を一覧にする

まず、被相続人が所有していた資産を調べます。
主な相続財産は、預貯金、現金、土地、建物、有価証券、事業用資産などです。
金融機関の口座や不動産の登記情報も確認しましょう。
また、借入金などの債務や葬式費用、生命保険金、生前贈与の有無も調べます。
相続放棄をした人がいる場合も、法定相続人の数え方には注意が必要です。
基礎控除額の計算では、原則として相続放棄がなかったものとして人数を数えます。
財産調査では、預金口座の名義だけでなく、実際に誰が資金を管理していたかも重要です。
家族名義の預金でも、被相続人の財産と判断されるケースがあります。
財産の一覧表を作成し、関係する書類と一緒に管理しておくと、申告の準備を進めやすくなるでしょう。

2.課税価格の合計額を計算する

財産ごとの評価額を算出し、非課税財産や控除できる債務などを反映させます。
土地は路線価方式や倍率方式、建物は原則として固定資産税評価額を使うなど、財産によって評価方法が異なります。
また、相続開始前の一定期間に行われた生前贈与は、相続税の課税価格に加算されることがあるので、注意しましょう。
名義預金や贈与財産の見落としがないかも確認しましょう。
特に生前贈与は、相続開始の時期や贈与税の課税制度によって取り扱いが変わります。
暦年課税による贈与では、2024年以降の贈与について加算対象期間が段階的に延長されています。
贈与税の申告内容や過去の贈与契約書も確認しましょう。

3.基礎控除額と比較する

課税価格の合計額と基礎控除額を比較しましょう。
原則として、以下の表の通りです。

法定相続人の数 基礎控除額
1人 3,600万円
2人 4,200万円
3人 4,800万円
4人 5,400万円

例えば、法定相続人が2人で課税価格の合計額が4,000万円なら、基礎控除額4,200万円以下のため、原則として申告不要です。
一方、基礎控除額を超える場合は、相続税額や適用できる特例を確認します。

相続税の申告が不要な場合の注意点

相続税の申告が不要でも、遺産分割や名義変更など、別の手続きが必要になることがあります。
また、財産の評価を誤ると、後から申告義務が判明する恐れもあるので、わからないことがある場合は無理せずに税理士など専門家に相談しましょう。

相続税の申告と相続手続きは別

相続税の申告が不要でも、相続登記や預金口座の名義変更などの手続きは必要です。
遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議をしなければなりません。
相続登記には原則として取得を知った日から3年以内という期限があるため、相続税がかからない場合でも放置しないようにしましょう。
また、相続登記は相続税の申告とは別の手続きであり、通常は法務局で行います。
遺産分割協議がまとまらない場合も、相続登記の義務に対応が必要です。
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財産の見落としや評価間違いに注意

相続財産の金額を少なく見積もると、本来必要な申告をしないまま期限を迎えるおそれがあります。
特に不動産の評価や生前贈与の加算は複雑になりやすい部分です。
後から税務調査などで申告漏れが判明すると、本来の税金に加えて無申告加算税や延滞税が課される可能性があります。

相続税の申告期限と申告が必要だった場合の対処法

相続税の申告・納付期限は、原則として被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
申告が必要と判明した場合は、期限内に申告書を作成し、被相続人の住所地を管轄する税務署へ提出します。
期限を過ぎてしまった場合も、放置せず速やかに対応することが重要です。
状況によっては無申告加算税などの負担が発生するため、早めに専門家へ相談しましょう。
申告書の作成方法がわからない場合は、国税庁のホームページにある記載例や案内を活用できます。
申告期限が近い場合は、税理士への依頼も検討するとよいでしょう。

まとめ

相続税の申告は、課税価格の合計額が基礎控除額以下なら原則として不要です。
ただし、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を利用して税額が0円になる場合は、申告が必要になります。
まずは相続財産を正しく調査し、基礎控除額と比較することが大切です。判断に迷った場合は、税理士や税務署に相談し、申告漏れを防ぎましょう。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい