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マンションを購入すると相続税が下がる?

2025年02月08日

資産家の方は自身の相続が発生した際に遺された配偶者や子供などの家族のために相続税を少しでも抑えるためにあらゆる節税対策を検討しています。

相続税対策のひとつとしてマンションを所有することで相続税が下がるということを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。当記事ではマンションを購入することで、相続税が下がる仕組みとマンションを購入する際の注意点についてポイントをおさえて解説します。

マンションを購入すると相続税が下がる理由

マンションを保有することでなぜ相続税が下がるのでしょうか。しっかりと課税制度を理解し、理由を知っておくことが重要です。

相続税が下がる理由は不動産の評価方法にあります。不動産の評価方法は相続発生時点で行い、土地は路線価×面積、建物は固定資産税評価額で行うと定められています。

路線価は時価の8割程度、建物は時価の7割程度となるのが一般的で、土地部分5,000万円、建物部分5,000万円で合計1億円程度の不動産であれば、7,500万円程度となり、売買される金額と違い、目安として設定されている路線価や固定資産税評価額が相場よりも低くなります。

建物部分は一般的に時価との乖離が大きいため、土地部分が大きい戸建てよりも建物部分が大きいマンションの方が一般的に大きく評価額が下がります。

また、マンションやアパートを人に貸している場合、貸家建付地として更なる評価を減額できる制度があります。貸家建付地の評価方法は下記の通りです。

貸家建付地の評価額:自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

また、マンションを購入する際にローンを活用することでマイナスの資産は財産から差し引くことができますので、価値の大きい不動産を購入することができるため、節税効果も大きくなります。ただし、多くの借金を抱えると、不動産投資に失敗した時に借入の返済が厳しい状況となるため無理のない範囲で購入することが大切です。

マンションを購入するメリット

マンションを購入することで評価額を下げることができますが、それ以外にもメリットはあります。マンションを購入するメリットを見ていきましょう。

家賃収入が入る

賃貸マンションなどの投資用の物件を購入した場合、人に貸すことで安定的に毎月家賃収入を得ることができます。家賃収入で得られた収益を生前贈与することで、次の世代に多くの相続財産を遺すことができ、さらに効果的な相続税対策となります。

値上がりする場合もある

実際に近年はインフレが続いており、住宅として利用されているマンションの時価も上昇傾向です。新築時よりも数年経過した時に価格が値上がりしていることも多く、資産として売却した際に購入時より値上がりし、利益がでることもあります。

小規模宅地の特例が利用可能

マンションについては家屋部分の評価額が大きくなりますが、条件を満たせば、敷地の部分については小規模宅地の特例が利用可能です。

自宅用については330㎡まで80%減額、貸付事業用であれば、200㎡まで50%減額することができます。評価方法により減額ができるうえに特例を利用することで更に評価を下げることができ、節税につながります。

要件を満たし、小規模宅地の特例を適用することで基礎控除以下になり相続税が0円になる場合もありますが、その場合は申告が必要となりますので、気を付けましょう。

マンションを購入する際の注意点

マンションを購入することで節税効果高いものの、注意点やデメリットも多くあります。マンションを購入する際の注意点について具体的に確認しておきましょう。

遺産分割の方法に注意が必要

東京などで評価の高いマンションを購入し、マンションの価値が遺産の大部分を占める場合、複数の相続人に法定相続割合に近い水準で相続させようとすると、共有にせざるを得なくなる場合があります。

親からマンションを引き継いで共有すると売却やリフォームなど意思決定が必要な時に全員の合意がないとできなくなってしまいます。また賃貸の契約や固定資産税の支払いなどの手続きは誰か一人で行うこととなり、負担感の差から関係が悪化し、トラブルになり、弁護士を交えて話し合いが必要となる事例もありますので、相続後誰が管理を行うかも考慮する必要があります。

居住用以外の高額のマンションを保有し、貸家としている場合は、遺言書の作成なども検討しておいた方が良いでしょう。書き方が分からない場合は司法書士や税理士など相続の専門家に相談を行ったうえで作成を行うことをおすすめします。

マンションを持つことで節税はしやすくなりますが、配分の割合には注意が必要です。分け方についてもシミュレーションを行い、配分もふまえていくらくらいの物件を購入するか検討するようにしましょう。

大きく値下がりする可能性がある

自宅以外に投資用で購入する場合、物件については慎重に見極める必要があります。中古物件は古くなると入居する人がおらず、長い間空室となる例もあるため、地域の将来性を見極めるために情報を得る必要があります。

また、地震や台風など予想できない事象で大きく価値が大幅に値下がりするケースもあります。節税が目的で購入し、評価額の引き下げにより税金の軽減ができたとしても将来大きな災害などがあり、マンション経営でそれ以上の損失が出てしまうと、意味がありません。

被相続人が死亡したあとも相続人が名義変更をしてそのまま保有し続ければ、不動産投資にもリスクがあるということも含めて理解して検討すると良いでしょう。

相続税の計算が複雑になる

被相続人の課税対象の財産が基礎控除(3,000万円+法定相続人×600万円)を超えている場合、相続が発生すると、財産を取得した人は相続税の計算と税務署での申告の対象となります。相続税の申告は被相続人が亡くなってから10ヶ月以内と期間も短く、相続人にとって大きな負担となります。

不動産は現金と異なり、内容によりそれぞれの評価方法があり複雑ですので、相続税額を正しく算出することも通常よりは難しくなります。また、誤って申告をした場合、税務調査で指摘される可能性があります。

納税資金不足になる可能性がある

マンションを購入し、財産の大半が不動産になってしまうと相続発生時の相続税を現金で支払うことが難しくなる可能性があります。一般的に相続税の納税資金が不足すると、売却するか延納するかなど選択を迫られることになります。

そのため、マンション購入を行う場合は、納税資金についても預金を確保できているか確認することも重要となります。

所得税の申告が必要

不動産の収入がある場合は毎年確定申告を行う必要があります。確定申告は家賃など得られた収益から固定資産税などの経費を差し引いて申告を行います。不動産所得があると確定申告による所得税の納付は毎年行う必要があり、財産を引き継いだ人にとっては手間がかかるでしょう。

相続税の申告は税理士に相談を

相続が発生すると相続税の申告が必要になりますが、国税庁のホームページに計算方法は記載されていますが、知識が無い者にとって特例の利用可否を判断して、正確に相続税の計算と申告に伴って書類を作成することは簡単なことではありません。

税務の知識がなく自分で行うことが難しいと感じた場合は費用はかかりますが、税金のプロである税理士が所属する税理士法人・税理士事務所に依頼することをおすすめします。税理士に依頼することで、安心して手続きを進めることができるでしょう。

広島相続税相談テラスでは相続税に強い実績が豊富な税理士が在籍しております。初回の相談は無料で対応しておりますので、相続税の申告など相続関連の手続きでお悩みがある方はお気軽に電話やメール等でご連絡ください。

 

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい