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税金を滞納したまま亡くなった場合の対応方法

2025年02月24日

相続が発生すると配偶者や子どもなどの相続人は相続財産を受ける権利と債務を引き継ぐ義務が生じ、遺産分割を行い、配分を決めていきます。被相続人が亡くなった時に、実際に税金の徴収があったにもかかわらず支払いが滞っている状況で納税義務があるにも関わらず未納状態となっていた場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。

当記事では被相続人が支払う必要があった税金などの債務がある場合の対処法や注意点についてポイントをおさえて具体的に解説します。

被相続人の債務を相続人が引き継ぐ

被相続人の債務は基本的に相続人が引き継ぐことになります。そのため、所有権を持っている不動産の固定資産税や所得税、住民税など被相続人が支払う期限を過ぎている場合、相続人は速やかに全額について支払う必要があり、相続人が放置した場合は税務署による滞納処分が行われる事例もあります。相続人が納税義務を負うのは国税の場合も地方税の場合も同じです。

自宅など親が所有者となっていた物件の毎年の固定資産税など払うべき税金を相続人である子どもが支払いに応じなかった場合、相続人自体が滞納した者として直接督促が行われます。一般的にはまずは督促状が送られてくるなど書面で通知され、文書が届いており電話などの督促がされます。延滞期間が長期間になると、最終的に延滞税が高額となる可能性もあります。

もし、相続人が応じず無視して延滞し続け税務署が回収は困難と判断した場合、抵当権がついていなくても財産が法律に基づいて差し押さえられ、結果として競売や任意売却により強制的に資産を換価されるケースもあります。結果的に高い税金を納めることになることもありますし、相場よりも低い価格で売却せざるを得ないこともありますので、そのままにせずしっかりと対応することが大切です。

また、税金以外にも借金などマイナスの財産がある場合も相続人が債権者に返済する必要があります。賃貸に出している投資用のマンションを保有している場合で、購入時の債務がある場合でも遺産相続をした者は権利と義務を承継するということを覚えておきましょう。ただし、自分が生活するための住宅を購入する際の住宅ローンは他の債務とは違い、基本的に団体信用生命保険が付帯されています。そのため、債務者が亡くなった場合は債務の額と同額が保険により利用している金融機関へ支払われることが多いため、債務が免除されます。そのため、お金を払えないことが理由で自己の家や給与などが差押えられる可能性は少ないでしょう。

相続放棄をすれば債務を引き継ぐ必要はない

基本的に債務は相続人が引き継ぐことになりますが、相続放棄を行うことで滞納している税金などの債務を引き継ぐことはなくなります。遺言で誰が何を承継するか明確に記載されており指定されている場合でも、自分が希望する場合は相続放棄は可能です。相続放棄をすれば、債務者が回収に来ても返済を断って問題ありません。

相続放棄を行うことでマイナスの財産を引き継がないというメリットはありますが、その分預金などプラスの財産も引き継ぐことができないというデメリットがあります。債務があったとしても被相続人自身が保有していた預貯金や不動産を売却した資金で税金の納付や借金を返済できる可能性もあります。相続放棄をする前に預貯金のある銀行の口座や株式、土地や建物、金などの財産を調査したうえで財産をまとめた一覧を作成し、よく検討してから判断することが重要です。

また、債務が多く相続放棄をすることを決定した時点で他の相続人や親族には事前に伝えた方がよいでしょう。自分が相続放棄をすることで他の相続人に経済的な大きな負担となったり、自分よりも後順位の親族が相続人になることがあります。相続放棄が認められる猶予期間はは被相続人の死亡の翌日から原則3ヶ月と短いため、相続放棄をしたことを後で知らされると他の相続人が考える暇もなく税金を支払うことになる可能性があります。3ヶ月以上経過すると相続放棄ができなくなりますので他の親族に迷惑がかかることが理由でトラブルとなることを防ぐためにも連絡してから相続放棄を行うようにしましょう。

また、プラスの財産の範囲で債務の返済を行う限定承認という方法もあります。限定承認は相続放棄とは異なり相続人全員で合意する必要があります。また、財産を処分した場合、限定承認を選ぶことができなくなりますので、他の相続人の意思を確認し、場合によっては交渉する必要があります。

期限も3ヶ月と短いため早めに準備をする必要がありますが、被相続人の遺産がどれくらいあるか確認できない場合に有効な手段です。

不明点は専門家に相談を

相続が発生すると不動産の登記や役所や金融機関での手続きが必要ですが慣れない人が多く、お困りごとが多いことも当然です。相続手続きや遺産分割の協議において、不明点がある場合は弁護士や司法書士、税理士等、相続関連の実績がある専門家に相談するようにしましょう。

特に課税の対象となる財産が多く相続税の申告が必要な場合、相続発生から10ヶ月以内と短い期間で申告書の提出と現金一括で納税を行う必要があります。相続税の制度は複雑で自分で手続きをすることや納める税金を計算することが難しい場合は、費用はかかりますが税理士のサポートを受けて書類の作成を進めるようにしましょう。期限もありますし、遺産分割の相談や所有する財産の評価も税理士に依頼することができますので、早めに相談した方が安心して進めることができます。

広島相続税相談テラスでは相続税の申告や相続手続きのお手伝いをしています。初回の相談は無料で対応しておりますので、まずはお気軽に電話やメールでご連絡いただければと思います。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい