お役立ちコラム一覧

相続税の非課税財産に分類されるものの種類と注意すべきポイント

2021年10月25日

故人が所有していた財産を相続する場合、正しく理解しておかなければならないのが、相続税に関することです。故人から財産を相続した場合にすべての財産が相続税の課税対象となるわけではなく、中には相続財産に含まれない「相続税の非課税財産」や一定の限度額まで非課税となるものもありますので、しっかりと対応して相続税の計算を行う必要があります。

「どのようなものがいくらまで相続税の非課税財産となるのか知りたい」と考えている方のため、詳細についてご紹介しましょう。この記事を読むことによって自分が相続しようとしている財産は課税対象なのかどうかがわかります。

また、被相続人が保有していた遺産総額を出す際には総額から非課税財産を差し引くことになります。どれを差し引けば良いのか判断する際にも参考にしてみてください。

相続税の非課税財産

相続税の非課税財産として挙げられるものを10種類ご紹介します。それぞれの注意点なども確認してみてください。

1.墓地や墓石、仏壇、仏具、祭具、神を祭る道具

礼拝の対象になるものは、相続税課税の対象外です。ただし、注意しなければならないポイントとして、金の仏像など、骨董品としての価値があるようなものは対象外です。

なお、墓石などが非課税になるわけなので、生前に墓石を購入しておけば節税につながるといえます。生前に購入してお金を使っておけば現金が減った分、相続税が課税される金額も減りますし、相続しても相続税が課税されることはありません。

うまく節税につなげてみてはいかがでしょうか。

2.相続によって取得した生命保険金

生命保険金については「500万円×法定相続人の数」までは非課税と定められています。まずは法定相続人の数を確認すると良いでしょう。法定相続人とは、民法によって定められている相続人のことをいいます。

一例として、法定相続人が2人だった場合、生命保険金等の非課税額は500万円×2で1,000万円です。財産である保険金の金額がこの1,000万円以下であれば相続税は課税されません。もし、生命保険金の額が1,500万円だった場合、非課税額の1,000万円を引き、残りの500万円に対して相続税が課税されることとなります。一方で法定相続人が3人の場合はすべて非課税となります。

プラスの財産から債務などマイナスの財産を差し引いて、基礎控除以上に財産がある方は、生命保険の非課税枠を活用し、相続税の節税を検討してみてもよいでしょう。

ただし、生命保険を年金で受け取った場合、初年度分として受け取った金銭については相続税の非課税枠を利用できますが、次年度分として支給される部分については雑所得として所得税の対象となりますので、注意しましょう。

3.相続によって取得した退職手当金

死亡退職金についても、生命保険金と同様にみなし相続財産となりますが、「500万円×法定相続人の数」の額まで非課税となる財産です。本人が退職する前に亡くなってしまった場合、死亡時に退職金として遺族が受け取ります。非課税枠を超える部分については課税対象として相続税がかかります。

死亡退職金を法定相続分ではなく、1人が受け取ったとしても法定相続人の人数分は非課税枠を使用することができます。

4.国や地方公共団体、公益財団などへ寄付した財産

財産を寄付した場合、その財産に対しては相続税が課税されませんただ、相続税の申告期限である死亡を知った日の翌日から10ヵ月後までに手続きをしなければならないので、注意しましょう。

それから、誰に対する寄付でも認められているわけではありません。国や市区町村等の地方公共団体、公益を目的としている事業を行う法人が条件です。

寄付を検討している場合は、先に対象になるか確認してから決めた方が良いでしょう。

5.特定の公益信託に支出した財産

公益信託に支出したお金については、相続税の課税対象外です。こちらも相続税の申告期限まで申請をしましょう。

6.公益事業に使用される財産

公共性や公益性の高い公共事業を行っている方が、取得した財産をその公益事業のために使う場合、相続税の課税対象外です。社会福祉事業、更生保護事業、学校のほか、宗教や慈善・学術を目的とする事業、その他などが含まれます。

7.心身障害者扶養共済制度からの給付金を受ける権利

故人が心身障害者扶養共済制度の給付金を受けていたとします。引き続き給付を受け取る際、その権利は相続税の課税対象外です。

8.個人経営の幼稚園事業に使用される財産

個人立の幼稚園などの教育用財産は、非課税財産です。注意すべきポイントとして、相続人が授業を継続しなければなりません。また、引き続き幼稚園等経営事業を確実に行えると判断された場合のみ対象となります。

9.皇嗣が受ける物

皇嗣(こうし)とは、皇太子のことです。法律では、皇嗣が皇位とともに由来あるものを受け継ぐ場合について、その対象には相続税が課されないと定められています。

10.災害により被害を受けた相続財産

災害によって被害を受けた財産は、災害減免措置の対象です。この災害減免措置によって相続税が減免される可能性があります。

相続税を計算する際には、実際の相続財産の価額から被害分を差し引いて計算が可能です。所轄税務署で手続きが必要ではありますが、対象になる場合は確認してみると良いでしょう。

正しく理解して節税に役立てる

いかがでしたでしょうか?今回は、相続税がかからない非課税の財産にはどのようなものがあるのかについてご紹介しました。何が非課税なのかを理解し、節税に役立ててみてはいかがでしょうか。

ただ、相続税の非課税財産を見分けることは簡単ではありません。申告期限も相続開始から10ヶ月以内に納税する必要があり、期限も短く、配偶者控除や自宅や事業用の土地などの評価を減額できる小規模宅地の特例など、各種特例や控除の適用要件も複雑ですので、知識がない人が国税庁のホームページを見て自分で申告を行うことは難しいものです。また、相続税法は改正もあり課税制度が変わることも多いため、税務の専門家である税理士に相談することで確実な節税につなげることができますし、税務調査の対応も安心です。

申告を依頼する場合は、預貯金や不動産などの資産をできる範囲で一覧の表にして相続税や贈与税の申告実績が豊富な税理士事務所・税理士法人に支援を依頼するとよいでしょう。

一般的に相続発生後に相談に行く方が多いですが、基礎控除(計算式:3,000万円+法定相続人×600万円)を上回る財産を保有している人は出来れば生前に相談に行くようにしましょう。投資をしている株や路線価は現在の価値から変動してしまいますが、事前におおよその税額を把握しておくことで、子や孫への贈与などあらゆる対策を行うことができます。事前に対策を打つことで相続税の負担を軽減できるケースもあります。

広島相続税相談テラスでは、相続税で困っている・遺産分割に悩んでいる・生前贈与を検討しているあなたをサポートします。
税理士選びにお困りなら、まずは無料相談でお気軽にご相談ください!

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい