精算型遺贈とは？メリットや注意点も解説！

自分自身の相続が発生した時に相続人同士がスムーズに相続できるように、分け方について検討している人も多いでしょう。財産を相続する際の一つの方法として財産を処分して現金で分割する精算型遺贈という方法があることをご存知でしょうか。

当記事では精算型遺贈のメリットや注意するべき点について解説します。

精算型遺贈とは

精算型遺贈とは被相続人の死後に不動産などの現物資産を売却して精算することで現金で分ける方法です。相続権を持つ者が複数いるケースで一つの財産の評価が高く、法定相続割合通りに分割することが難しい事例などでよく精算型遺贈が使われます。

例えば、子どもが3人おり自宅の不動産が1億円、預貯金などの金融資産が3千万円の場合、共有にしないと子ども3人で平等に分けることはできません。しかし、精算型遺贈を利用することで不動産を現金化したうえで財産を分けることになるため、平等に分けることができます。遺言書を作成する際に精算型遺贈の形で財産を分けることで相続人間でトラブルも避けることができます。

また、精算型遺贈では遺言書に記載しておけば法定相続人以外の人を指定して遺産を遺すこともできます。売却して得たお金をお世話になった人に一部遺すという人もいます。

精算型遺贈の注意点

精算型遺贈を利用する際にどのような点に注意をすればよいのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

執行者を定めておく必要がある

遺言者が亡くなった後に遺言通りに遺産分割の手続きをする人を執行者と呼びます。遺言の執行者は遺言の作成時に指定しておき、執行者を指定しておくことでスムーズに手続きができ、相続人の負担を減らすことが可能です。

執行者は相続人の中から選ぶこともできますし、弁護士や司法書士、税理士等の専門家に依頼することも可能です。精算型遺贈の場合、一旦複数の相続人で土地や建物を共有名義にするため、共有者全員で売却の手続きをする必要があり協力してくれない可能性があります。

執行者を指定しておくことで、執行者単独で遺言通りに資産を売却し、売却によって得た代金を相続人や受遺者に分けることができます。

相場より安く売却する可能性がある

不動産など特定の価格が決められていない場合、売主と買主で交渉して売却することになります。不動産の場合は不動産仲介業者が査定を行い、売却活動をするのが一般的です。

執行者は高く売るよりも確実に換価し、相続人や受遺者に現金を配ることが使命ですので価格が多少安くても売却する可能性があります。少しでも高く売りたい場合は精算型遺贈で配るよりも共有で登記を行って時間をかけて売却した方がいいでしょう。

売れない可能性がある

不動産は買主と売主が合意して売却することができますが、価格や権利関係が問題となり、買い手がつかない可能性があります。さまざまな理由があり買い手がつかないと不動産を処分することもできませんので、現金で配ることもできないため、遺言通りに実現することができません。

不動産会社に依頼しても亡くなってから時間がかかることもありますし、必ずお金にできるわけではありません。

譲渡所得税がかかる

不動産を売却した場合、譲渡所得税がかかります。購入した時の価格と売却時の価格があまり変わらない場合は、あまり譲渡所得税はかかりませんが、かなり昔に取得した不動産など購入した時の価格が分からない場合は売却価格のほとんどが利益部分になるため高額の税金がかかります。

譲渡所得税は財産を換価して受け取る人が支払う必要があります。

相続に関するお悩みは専門家に相談を

今回紹介した精算型遺贈は有効な選択肢の一つではありますが、注意が必要な点も多いです。自分で行うことが難しい場合は専門家に相談する方がよいでしょう。

また、プラスの財産から債務などを差し引いたプラスの相続財産が基礎控除を超える場合、相続税がかかります。相続税がかかる場合は分け方を決めるだけでなく相続税の計算や書類の準備なども行う必要があります。相続税の計算方法は市販の本や国税庁のホームページにも掲載されていますが、内容も複雑ですので慣れていない人が行うことは簡単ではありません。

相続税の申告は相続発生から10ヶ月と期限も短いため、自分で行うことが難しい場合は税金の専門家である税理士に依頼するほうがよいでしょう。

広島相続税相談テラスでは皆さんの相続手続きのお手伝いをいたします。初回の相談は無料で対応しておりますので、お気軽にお電話やメールでご連絡ください。