配偶者や親などの相続が発生するとあらゆる財産を相続することになります。しかし、財産の中には負債など相続したくない財産がある場合もあるでしょう。
遠方に住む両親の田舎の家を相続しても同居している人もおらず、自分で使う予定もなく困るという人が多いのではないでしょうか。親が住んでいた実家を取得すると固定資産税などの費用や近隣に迷惑がかからないように維持・管理の手間もかかります。相続した不動産の管理責任は所有者にありますので、相続した物件が倒壊するなど、近隣に迷惑がかかった場合は損害賠償責任を問われる可能性があります。
実家を相続したくない場合はどのように対応すれば良いのでしょうか。当記事では実家の不動産を相続したくない場合の対処方法や注意するべき点について解説します。
自宅を相続したくない場合の対応方法
親が亡くなった場合に実家を相続したくない場合の対応方法について具体的に解説します。
相続放棄をする
相続放棄をするとプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐ一切の権利・義務を失います。そのため、被相続人に借金があったとしても法律上、返済する必要はありませんし、法定相続人同士のトラブルを回避できますし、維持・管理の手間や費用がかかることもありません。状況によっては相続放棄も一つの選択肢となるでしょう。
しかし、一度放棄をすると、基本的に実家だけでなくすべての相続財産を引き継ぐ権利を失います。相続権を失うと現金や株式など多額の遺産があることが後で発覚した場合も引き継ぐことができなくなるというデメリットがあります。想像以上に多くの金銭を保有している可能性もありますので、慎重に検討することが大切です。
相続放棄の手続きは被相続人の死亡から3ヶ月以内に家庭裁判所で戸籍などの添付書類をつけて申請することで行うことができます。
また、相続放棄をすることで、他の相続人や後順位の相続人の大きな負担となり、トラブルになるケースもありますので、家庭裁判所の受付が完了する前に連絡するようにしましょう。
他の相続人と共有で相続して売却する
親が住んでいた実家がアクセスが良い場所であれば、共有で相続しても手間をかけることがなく売却できる場合があります。建物が老朽化している場合は建物を解体する必要が生じるケースがありますが、状態がいい場合は、空き家としてそのまま売却できる可能性もあります。場合によっては購入した人が更地にして駐車場や大きい土地の場合、アパート建築ができるケースもあるでしょう。
実家の場所が都心からのアクセスが悪い地域にある場合は処分が難しいケースもありますので、事前に不動産会社で査定を行い、相場を知ってから手続きを進めるようにしましょう。
共有で相続した場合は権利を持つ者全員で本当に不動産を手放していいか合意して売却する必要がありますので、相続人の数が多い場合は価格などで合意することができるまで時間がかかるケースもあります。
協議を行い、実家以外の財産を相続する
遺産分割の話し合いは法定相続割合を基準にどのように資産を配分するかの話し合いを行いますが、相続人全員で合意をすることができれば、実家を相続せずに、他の財産のみ相続することも可能です。
ただし、話し合いの末、弁護士などを介し協議を行っても相続人全員で合意できないリスクもありますので、その場合は実家を共有などで引き継がざるを得なくなる事例もあります。
相続土地国庫帰属制度を利用する
相続土地国庫帰属制度とは相続した土地を国に寄付するような制度です。相続した土地が不要な場合、国庫に帰属させることができます。
ただし、相続土地国庫帰属制度は負担金がかかるうえ、厳しい条件があり、利用したくてもできない場合があります。具体的には建物がある場合や、境界があいまいな場合などは利用することができません。
条件的に認められれば、相続人全員で合意のうえ手続きを行うことになります。制度を利用することができるかは慎重に確認するようにしましょう。
事前の準備も重要
高齢になり、自分の相続を検討するような年齢になったら事前の準備も重要です。
自分と配偶者が亡くなった後に実家には誰も住まない可能性が高い場合は、相続人間で誰が相続するかでトラブルになるケースも多くあります。
事前に誰に相続するか決めておき遺言書に書いておくことで相続人はスムーズに手続きを進めることが可能です。また、実家を一人に相続することで、不公平が生じる場合は遺言で現金を多めに遺すことや生前贈与であらかじめ渡しておくことも可能です。
事前に遺言の内容を検討し、準備をしっかりとすることで家族でトラブルになる可能性を下げることができます。
相続手続きは専門家に相談を
親族が亡くなった時は金融機関の名義変更や、不動産の登記などを行う必要があります。生前に財産の一覧が作成されていない場合は、相続財産を確認し、何があるかを把握するだけで大変な作業です。相続手続きに不安がある場合は弁護士、司法書士、税理士等の専門家のサポートを受けることで、安心してスムーズに手続きを進めることができます。
相続発生時点の相続税の対象となる財産の合計が基礎控除以下であれば、相続税の申告は必要ありませんが、相続税の申告が必要な場合、相続開始から10ヶ月以内に税務署に受付してもらう必要があります。財産のまとめを作成し、相続税の申告が必要かどうかを確認しておきましょう。
国税庁のサイトに相続税の計算方法は記載されていますが、相続税の制度は複雑で時間がない中で知識が無い人が特例を適用するための条件などを把握して正確に判断して税金の計算を行うことは簡単なことではありません。特例を活用することで大きく負担を防ぐことができますので自身で申告手続きを行う場合は、適用の要件についても慎重に確認する必要があります。。
また、相続税の申告書等の書類作成を怠るなど問題があると、税務署から調査され、加算税を請求される可能性もあります。
期限内に相続税の申告をすることが難しい場合は相続税や贈与税に詳しい税理士にサポートを依頼することをおすすめします。税理士に依頼することで、費用はかかりますが、大変な作業をお願いすることができます。
広島相続税相談テラスでは、実務を実際に経験している経験豊富な税理士があらゆる相続手続きをサポートしています。初回の相談は無料で対応しておりますので、相続手続きにお困りの場合は、お気軽にお電話やメール等でご連絡ください。