相続が発生すると法律で定められた法定相続人は話し合いのうえ、あらゆる財産を承継することになります。財産の中には預貯金や株式等の有価証券、不動産などが主な資産となりますが、金や美術品等の現物資産も含まれます。
また、さまざまな権利も相続財産として引き継ぐことができます。例として営業上の権利があげられます。営業上の権利を引き継ぐ場合、どのような点に注意をすれば良いのでしょうか。当記事では営業権の相続について解説します。
営業上の権利とは
営業上の権利は「のれん」と呼ばれていますが、法律で明確に定められるものではありません。
企業はこれまで運営していた歴史があり、社会的な認知度や信用力、技術などさまざまな総合力で成り立っています。そのため、その企業の名前を使うことでブランドイメージにより信用が得られ、取引先との人脈を使うことでビジネスをスムーズに進められることが多くあります。
営業権は相続財産として相続することが可能で、相続した人はその企業のブランドイメージを使って営業することができます。
営業権の相続税評価
営業権の評価方法は財産評価基本通達により以下のように定められています。
超過利益金額×営業権の持続年数に応じる基準年利率による複利年金現価率
営業権の評価をするために、まずは超過利益金額を算出する必要があります。超過利益金額は以下の式で算出します。
平均利益額×0.5-標準企業報酬額-純資産価額×0.05
平均利益額は過去3年間の所得の平均値で計算します。標準企業報酬額は企業の規模により決められており、平均利益額が1億円以下の場合は以下の計算式となります。
平均利益額×0.3+1,000万円
純資産価額は相続税評価上の財産となります。例えば、土地の場合は路線価×面積、建物の場合は固定資産税評価額となります。
営業権を相続する際の注意点
営業権を相続する者はどのような点に注意をすればよいのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。
配分が難しい
営業権は過去に持続的に利益が上げられていたことを計算式で表していますが、技術やブランドの価値を必ずしも正確に表せていないことも多くあります。
そのため、営業権を引き継ぐ人が、その後、継続的に所得をあげられるかはわかりませんし、そのまま事業者として存続することができるかもわかりません。また、無形の資産を引き継いだことで、経営の負担も多くかかります。財産の配分によって、相続人間の関係が悪化するケースも多くあります。
遺言などで配分が決められていない場合、相続人で話し合って決める必要があります。相続人で配分を検討する際はさまざまなことを考慮して、相続人間で慎重に検討する必要があります。
相続税評価が難しい
営業権は上記に解説の通り、相続税の計算をするための評価が非常に複雑です。相続税の申告は相続発生から10ヶ月以内に行う必要があり、税務の知識が無い人にとっては期限内に完了させることは相当難しいでしょう。
まずは財産を一覧にして相続税の申告が必要かどうかを確認する必要があります。相続税には基礎控除(3,000万円+法定相続人×600万円)があり、財産の額の合計が基礎控除を超過する場合のみ相続税の申告が必要となります。
つまり、総資産の合計が基礎控除の範囲内であれば、財産を受け取った者が相続税の申告をする必要はありません。
営業権を相続する際は専門家に相談を
営業権の相続は通常の預貯金や株式などの資産を相続するよりも非常に複雑です。国税庁のホームページに計算方法が記載されていますが、相続の知識や経験がない場合は、弁護士や税理士などの専門家に相談する方がよいでしょう。
また、スムーズに事業承継を進めるための遺言の準備や節税対策は生前に進めることをおすすめします。時間がかかる方法もありますので、お元気なうちから対策を検討しておいたほうがよいでしょう。
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