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相続手続きをしなかったらどうなる?放置するリスクや期限を解説

2026年09月26日

家族が死亡して相続が発生しても、「やり方がわからない」「相続すべき財産がない」などの理由で相続手続きを放置するケースは珍しくありません。
相続手続きをしなかったからといって、すぐに罪に問われるわけではありません。

しかし、相続放棄や相続税の申告、相続登記など、相続手続きのなかには期限があったり手続きが義務づけられていたりするものがあります。
放置すると余計な費用が発生したり、相続人が増えて遺産分割協議が難しくなったりすることもあるため注意が必要です。
この記事では、相続手続きをしなかった場合のリスクやデメリット、手続きの期限、長期間放置してしまった場合の対応方法について解説します。

目次

相続手続きをしなかったらどうなる?

相続手続きを行わずに放置しても、それだけですぐに刑事上の罪に問われるわけではありません。
ただし、相続登記のように法律上の義務となっている手続きもあります。
また、相続税の申告期限を過ぎれば加算税や延滞税がかかる恐れもあります。
相続手続きをしないまま時間が経過するほど、権利関係が複雑になり、必要な書類の取得などに手間や費用がかかる可能性も高くなります。

相続人が増えて遺産分割協議が難しくなる

相続手続きを行わないと、相続人が増えて遺産分割協議が難しくなる恐れがあります。
例えば、相続手続きをしないうちに相続人の一人が死亡すると、その人の相続人へ権利が引き継がれます。
相続が何度も発生すれば、当初は数人だった相続人が増え、普段は交流のない親族を含めて遺産分割協議を行わなければなりません。
相続が重なると相続人が増え、調査や話し合いに時間がかることが大きなデメリットです。

預貯金などの相続財産を取得できないことがある

被相続人の預貯金などを相続するには、金融機関が定める相続手続きが必要です。
相続手続きを進めなければ、相続財産を必要なときに利用できない可能性があります。
また、相続人が死亡するなどして権利関係が複雑になると、必要書類の作成・収集や相続人の確認にも時間がかかります。

不動産を売却・活用できないことがある

土地や建物の名義が被相続人のままでは、相続した不動産を円滑に売却したり、担保に設定したりすることが難しくなります。
また、遺産分割協議をしない間は、相続財産が法定相続分に応じた共有状態になる場合があります。
さらに、時間が経過して相続人が増えるほど、全員で協議することが難しくなる恐れもあり、財産の有効活用ができなくなる恐れがあるでしょう。

相続人同士のトラブルが発生する可能性がある

相続開始から時間が経つと、相続人それぞれの生活状況や考え方も変わります。
「誰が不動産を取得するのか」「費用を誰が負担するのか」などで意見がまとまらず、相続人同士のトラブルにつながる恐れもあるでしょう。
問題を複雑にしないためにも、相続が発生したら早めに財産や相続人を確認することが重要です。

相続手続きには期限がある

すべての相続手続きに同じ期限が設けられているわけではありません。
ただし、期限のある手続きを放置すると、本来選択できた方法を利用できなくなったり、税金などの負担が増えたりすることがあります。

相続放棄・限定承認は原則3か月以内

相続放棄や限定承認を選択する場合は、原則として自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に手続きを行います。
相続財産の調査に時間がかかり、3か月以内に判断できない場合は、家庭裁判所に熟慮期間の伸長を申し立てる必要があります。
借金などのマイナスの財産がある可能性も考え、相続開始後は早めに財産の内容を確認しましょう。

相続税の申告・納付は原則10か月以内

相続税の申告が必要な場合、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告と納税を行う必要があります。
遺産分割協議が終わっていない場合でも、相続税の申告期限が自動的に延長されるわけではありません。
期限内に申告しなかった場合には、本来納める税金に加えて加算税や延滞税が発生することがあります。

相続登記は原則3年以内

2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されています。
不動産を相続した人は、相続によって所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
遺産分割協議によって不動産を取得した場合も、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を反映した登記が必要です。

遺留分侵害額請求にも期限がある

遺言書などによって特定の相続人に多くの財産が渡り、一定の相続人に保障された遺留分が侵害されるケースがあります。
遺留分侵害額請求にも期間の制限があります。相続財産の分け方に疑問がある場合は、そのまま放置せず、早い段階で弁護士などの専門家へ相談することが大切です。

相続登記をしないで不動産を放置するリスク

不動産を相続した場合、特に注意したいのが相続登記です。以前は相続登記の申請は任意でしたが、現在は義務化されています。

相続登記は2024年4月から義務化されている

2024年4月1日以降、不動産を取得した相続人には相続登記の申請義務があります。
義務化以前に発生した相続も対象です。2024年4月1日より前に相続したことを知っていた不動産については、原則として2027年3月31日までに登記しなければなりません。

正当な理由がないのに相続登記の申請義務に違反すると、10万円以下の過料が科される恐れもあります。
過料は刑事罰ではありません。そのため「相続登記を忘れたら犯罪者になる」という意味ではありませんが、義務化された以上、そのまま放置することは避けましょう。

次の相続が発生すると権利関係が複雑になる

相続登記をしないまま次の相続が開始すると、相続人が増え、誰がどの権利を持っているのか分かりにくくなります。
相続人を調査するために戸籍などの書類を数多く取得したり、面識のない親族と協議したりする必要が生じるケースもあります。

土地や建物の売却・担保設定が難しくなる

不動産を相続した後も登記上の所有者を変更していなければ、相続人が自分の不動産として自由に処分することが難しくなります。
将来売却する予定がなくても、相続登記を済ませて権利関係を明確にしておくことが重要です。

銀行預金などの相続手続きをしない場合はどうなる?

相続財産は不動産だけではありません。
銀行の預貯金や生命保険などについても、それぞれ必要な手続きを確認しましょう。

預貯金を自由に引き出せなくなる

金融機関が口座名義人の死亡を知ると、口座からの引き出しなどが制限されることがあります。
預貯金を取得するためには、遺言書や遺産分割協議書、戸籍関係の書類など、金融機関が指定する資料を提出して手続きを進めるのが一般的です。
相続を放棄すると、その手続きが行えなくなる恐れもあります。

長期間放置すると手続きに必要な書類が増えることがある

長期間放置している間に相続人が死亡すると、その人についても新たな相続が開始します。
その結果、現在の相続人を確認するために取得する戸籍が増えるなど、手続きが複雑になる可能性があります。
相続人が増えれば、遺産分割協議書の作成にも時間がかかるようになるでしょう。

生命保険は預貯金とは異なる手続きが必要になる

被相続人が生命保険に加入していた場合は、保険会社への請求手続きが必要になることがあります。
生命保険金は契約内容や受取人によって相続上の取り扱いが異なるため、保険証券などを確認し、保険会社へ問い合わせましょう。

相続手続きを放置してしまった場合の対応方法

何年も相続手続きをしなかった場合でも、すべての手続きができなくなるとは限りません。
まず現在の状況を確認し、期限のあるものを優先して対応します。

相続人と相続財産を確認する

最初に、被相続人の戸籍などから法定相続人を確認します。
同時に、預貯金、不動産、有価証券、借金などの財産を調査し、相続財産の一覧を作成すると状況を把握しやすくなります。

遺言書の有無を確認する

遺言書がある場合、遺産分割の方法に影響する可能性があります。
自筆証書遺言や公正証書遺言など種類によって必要な対応が異なるため、内容だけでなく遺言書の種類も確認しましょう。

相続人全員で遺産分割協議を行う

遺言書で財産の分け方が指定されていない場合などには、相続人全員で遺産分割協議を行います。
誰がどの財産を取得するか決まったら、協議の内容を遺産分割協議書として作成し、不動産の登記や預貯金の手続きなどに使用します。

必要書類を準備して相続登記などを申請する

不動産を取得した場合は、必要書類をそろえて法務局へ相続登記を申請します。
相続登記の義務を期限内に履行することが難しい場合には、2024年4月から始まった「相続人申告登記」を利用できる場合もあります。
これは、自分が相続人であることなどを登記官へ申し出ることで、相続登記の申請義務を履行できる制度です。

手続きが難しい場合は司法書士などの専門家に相談する

相続人が多い、不動産の登記を長期間変更していない、必要な書類が分からないなど、自分だけで対応することが難しいケースもあります。
相続登記については司法書士、相続人同士の紛争については弁護士、相続税については税理士など、相談内容に応じた専門家へ依頼する方法があります。費用は発生しますが、複雑な相続では早めに相談することで手続きを整理しやすくなります。

相続手続きをしなかった場合によくある質問

ここでは、相続手続きをしなかった場合によくある質問をご紹介します。

Q. 何年も前に死亡した家族の相続手続きは今からできる?

A.長期間経過していても、相続登記や遺産分割などを進められるケースがあります。
ただし、相続税の申告や相続放棄など期限のある手続きもあります。
また、長期間の放置によって相続人が増えている可能性もあるため、まず現在の相続人や財産の状況を確認しましょう。

Q.相続人の一人が手続きに協力しない場合はどうする?

A.遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。一人でも合意しない場合、協議だけでは遺産分割を成立させられません。
話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停などを利用する方法があります。

Q.相続人と連絡が取れない場合でも手続きを進められる?

A.相続人の一人と連絡が取れないからといって、その人を除外して遺産分割協議を成立させることはできません。
住所や所在が分からない相続人がいる場合などは、状況によって必要な対応が異なります。
司法書士や弁護士などに相談して手続きを確認しましょう。

Q.相続手続きにはどのくらいの費用がかかる?

相続する財産や手続きの内容によって異なります。
戸籍などの取得費用、相続登記の登録免許税、専門家へ依頼する場合の報酬などが発生することがあります。
必要な手続きと費用を確認したうえで進めましょう。

まとめ

相続手続きをしなかったからといって、すぐに罪に問われるわけではありません。
しかし、相続放棄や相続税の申告、相続登記などには期限があり、超過した場合は罰則が科せられる恐れもあるでしょう。
特に相続登記は2024年4月から義務化されており、正当な理由なく期限内に申請しない場合は10万円以下の過料の対象になる可能性があります。
また、相続を放置している間に次の相続が発生すると、相続人や権利関係が複雑になり、遺産分割協議に時間や費用がかかることもあります。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい