「財産評価基本通達の改正について知りたい」と考えていませんか。財産評価基本通達とは日本の税金を課すために国税庁長官が相続税や贈与税を課税する際の上場株式や非上場の株式、不動産等の評価方法を定めたものです。原則、時価で評価する制度となっていますが、不動産などは実態としてさまざまな視点で評価されるため、公平に課税をする目的で基準が定められているということで重要な通達で国税庁のサイトでも確認することができます。
例えば、宅地は地域によって路線価方式または倍率方式で評価し、上に建物が建築されており、貸している場合は貸家建付地として評価額を減額できるなど、詳細に評価方法が法律で決められています。ただし、美術品など、個別性が高い特定の資産については鑑定が必要な例もあります。
実際に相続税や贈与税を計算する際は、財産評価基本通達に基づいて資産の総額の評価を行い、一覧の表にまとめてから特例等を適用し、税額を求めます。ただし、美術品のように全ての資産の評価を事細かに対応して記載することはできないので、すべてを財産評価基本通達のとおりに評価することはありません。ある程度のグループにまとめて指針を一定の解釈に基づく計算することになります。
社会情勢に変化に合わせて毎年のように制度の改善のために改正されているため、相続税の正しい申告と納税には最新の知識が欠かせません。相続が発生したときは、基本的なルールだけではなく財産評価基本通達の改正についても確認しておきましょう。
この記事では、近年行われた財産評価基本通達の改正を抜粋して紹介しています。以下の情報を参考にすれば、どのような改正が行われているか分かるはずです。ただし、抜粋であるためすべての改正を下記に網羅しているわけではありません。財産評価基本通達の改正について理解を深めたい方は参考にしてください。
財産評価基本通達の改正で何か変わったのか
国税庁は、財産評価基本通達を発表しています。財産評価基本通達は、相続税における財産評価の基準を示した通達です。財産評価基本通達は、時代の流れに合わせて毎年のように改正されています。近年の主な改正点は以下の通りです。
電話加入権の評価
財産評価基本通達の一部改正により、令和3年1月1日以降の相続などから電話加入権の価額について売買実例価額などを参酌して評価することになりました。従来の扱いは以下の通りです。
【旧・電話加入権の評価方法】
- 取引相場のある電話加入権は通常取引価格に相当する金額として評価
- 取引相場のない電話加入権は売買実例価額などをもとに国税局長が定める標準価額により評価
今回の一部改正により、令和3年1月1日以降は次のような取り扱いになります。
【新・電話加入権の評価方法】
評価基準が改正された理由は、情報通信技術の発達などにより売買実例価格を簡単に調べられるようになっているうえ、電話加入権の取引相場がなくなっており、平成26年以降は1回線あたりの金額も低額になっているからです。令和3年以降の電話加入権は、0円で評価することになります。
定期金に関する権利
令和2年6月22日に行われた一部改正で、定期金に関する権利についても改正が行われています。改正前、改正後とも、定期金給付契約に関する権利を取得した年の1月1日時点において公表されている完全生命表によるとされている点は同じですが、これを規定する相続税法施行規則が第12条の3から第12条の6に変更されています。両者の違いは次の通りです。
(改正前)
第十二条の三 施行令第五条の七第三項第一号に規定する財務省令で定める平均余命は、厚生労働省の作成に係る完全生命表に掲げる年齢及び性別に応じた平均余命とする。
引用:e-GOV法令検索:相続税法施行規則(昭和二十五年大蔵省令第十七号)
(改正後)
第十二条の六 施行令第五条の八に規定する財務省令で定める平均余命は、厚生労働省の作成に係る完全生命表に掲げる年齢及び性別に応じた平均余命(一年未満の端数があるときは、これを切り捨てた年数)とする。
引用:e-GOV法令検索:相続税法施行規則(昭和二十五年大蔵省令第十七号)
改正前は、昭和25年の数値に基づき評価が行われていたため、相続税評価額と実際の受取額に差額が生じていました。
この為、改正が行われ、率の変更が行われました。
また、評価方法の変更も行われ、実際にもらう金額と相続税評価額との差額が少なくなりました。
以上の改正にも注意が必要です。法令の改正はe-govの検索で文書を探すこともできます。
財産評価基本通達の改正点がわからないときは税理士に相談
いかがでしたでしょうか?今回は近年、行われた財産評価基本通達の改正を紹介しました。毎年のように税制改正があるため、正しい申告と納税には専門的な知識が欠かせません。相続税の申告は被相続人の死亡から10ヶ月以内に税務署から書類を取り寄せるかダウンロードするなどして、期限内に納付まで済ませる必要があります。忙しい中で市販の本で勉強をしたとしても相続税の申告や申告に伴う資料の作成には相続人にも大きな負担がかかりますし、誤った申告をした場合、加算税を請求される可能性もあります。
財産評価にお悩みの方は、税務のプロである税理士に相談しましょう。初回の相談はサービスで応じてくれる税理士事務所や税理士法人もあります。税法にもいろいろありますので、相続の相談をする際は相続を普段から業務から行う税理士事務所や相続関係の申告を中心に経営している税理士法人に相談することをおすすめします。実際に会ってみてから依頼するかきめていただくとよいでしょう。実際に税理士に実務の支援を依頼することで、費用は掛かりますが、書類作成の事務も依頼することができます。税理士と共同で行うことで特例の申請なども漏れなく行うことができるでしょう。
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