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相続税と贈与税の違いと税収・課税件数割合の推移

2022年02月03日

「相続税と贈与税の違いがよくわからない」と感じていませんか。一見すると似ているため、どういったときにどちらを課税されるかわからないと感じている方が多いでしょう。
結論から述べると、相続税は相続などで財産を取得したとき、贈与税は個人から財産をもらったときに課される可能性がある税金です。
以上の違いがあるため、相続税と贈与税では課税対象や税率などが異なります。

この記事では、課税対象や税率、控除などを切り口に相続税と贈与税の違いを解説しています。
以下の内容を参考にすれば、どのようなときにどちらを課税されるかがわかるはずです。
相続や贈与などが発生して、どう対応すればよいかわからない方は参考にしてください。

相続税とは?

相続税は、相続や遺贈(遺言で相続人などに財産を承継すること)で財産を取得したときに課される税金です。
財務省が発表している資料によると、令和元年における課税件数割合(年間課税件数/年間死亡者数)は8.3%、負担割合(納付税額/合計課税価格)は12.5%です[1]。
多少の上下はあるものの負担割合は平成26年から大きく変わっていません。
課税件数割合は、平成14年から平成26年まで5%以下で推移してきましたが、平成27年以降は8%前後で推移しています。

課税件数割合が大きく増加した理由は、相続税制度の変更により基礎控除が引き下げられたためです。平成27年以降は、より多くの方が相続税の課税対象になっています。

相続税の税率

相続税の税率は次のとおりです。

法定相続分に
応ずる取得金額
税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

出典:国税庁:相続税の税率

取得金額が多くなるほど税率が高くなる超過累進課税が採用されています。各相続人の相続税額は、法定相続分をもとにそれぞれの税額を算出し、これらを合計したものに実際の按分割合をかけて算出します。

相続税の非課税財産・控除制度など

相続税を課されるのは、課税遺産総額が基礎控除(3,000万円×法定相続人の数×600万円)を超える場合です。
また、すべての財産が課税対象になるわけではありません。

例えば、生命保険金は「500万円×法定相続人の数」で求められる非課税限度額が設定されています。

また、宅地などの評価を一定の割合で減少させられる小規模宅地等の評価減の特例なども用意されています。
財産を評価する時の特例の他に、税額控除も用意されています。代表的な制度が配偶者の税額軽減です。配偶者は、取得した財産の1億6,000万円または法定相続分相当額以下であれば相続税がかかりません。相続が発生したときは、これらの制度を適切に活用することが重要です。

贈与税とは?

贈与税は、生存する個人から財産をもらったときに課される税金です。生前に贈与することで相続税を逃れる行為を防ぐ働きを担っています。

財務省の資料によると、令和3年における贈与税収と相続税収の合計は2兆2,290億円です[2]。
平成22年を起点に考えると、贈与税収と相続税収の合計は増加傾向にあるといえます。

贈与税の税率

贈与税の税率は、受贈者が直系卑属(子や孫など)か一般家で異なります。具体的には次のとおりです。

【特例贈与】

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

特例贈与とは、20歳以上の者が直系尊属(父母や祖父母)から受ける贈与

【一般】

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 250万円

出典:国税庁:贈与税の計算と税率(暦年課税)

贈与税も取得金額が多くなるほど税率が高くなる超過累進課税が採用されています。

贈与税の非課税・控除など

贈与税は、基本的に課税価格が基礎控除を超えたときに課税されます。基礎控除は110万円です。
ただし、すべての財産が課税対象になるわけではありません。扶養義務者から受け取った生活費や教育費のうち一般的に必要と認められるものなどは非課税財産にあたります。

また、婚姻期間が20年以上の配偶者から居住用不動産などの贈与を受けた場合、基礎控除以外に最高2,000万円まで控除できる配偶者控除などの制度もあります。あるいは、2,500万円の贈与財産まで贈与税を非課税にして、相続時に贈与分と相続分を合わせて相続税を課税する相続時精算課税制度を選択することもできます。
贈与を受ける場合も、これらの制度を適切に活用することが重要です。

相続税や贈与税で悩むときは税理士に相談

いかがでしたでしょうか?相続税と贈与税の違いについて解説しました。相続税は相続や遺贈で財産を承継したとき、贈与税は生存する個人から財産をもらったときに課される税金です。いずれも控除などが用意されています。申告などで悩む方は税理士に相談するとよいでしょう。

[1][2]出典:財務省:相続税の改正に関する資料

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筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい