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生命保険で相続税が安くなる?生命保険の非課税枠について解説!

2022年09月18日

相続税対策をする際に有効な手段のひとつとして生命保険の非課税枠があげられます。相続については税務的な知識があれば、大きく節税することも可能です。特に生命保険を活用した相続対策は知っていれば簡単に節税することが可能です。

当記事では生命保険の非課税枠の概要や生命保険の活用方法について、わかりやすく解説します。

相続税の基礎控除

生命保険の非課税枠の解説をする前に相続税の基礎控除について解説します。相続税の基礎控除とは相続税の計算をする際に必ず相続財産から差し引ける金額のことで以下の計算で行います。

3,000万円+法定相続人×600万円

法定相続人が3人の場合、4,800万円となります。被相続人の財産の総額が基礎控除の範囲内であれば、相続税対策を行う必要はありません。基礎控除を超える場合は特例などで相続税が0になる場合でも申告が必要となります。

生命保険の非課税枠とは

生命保険の非課税枠とは死亡保険金がある一定の金額まで相続税の課税対象から外され非課税となる制度です。相続財産とは現金、預貯金、株式、土地・建物などの不動産、金などの現物資産などあらゆる財産が課税の対象となります。

死亡保険金は相続人の固有の財産とされ相続財産ではありませんが、極めて相続財産に近いものとしてみなし相続財産と指定されています。みなし相続財産である生命保険では非課税枠が設けられているのです。非課税枠の計算方法は以下の通りです。

生命保険の非課税枠の金額=法定相続人の人数×500万円

例えば、法定相続人が3人の場合3×500万=1,500万円、2人の場合は1,000万円まで非課税になり、相続税の対象から外すことができます。法定相続人の人数は放棄をしている人がいたとしても加算して計算することが可能です。基礎控除と合計で6,300万円まで非課税で次の世代に財産を遺すことができます。

生命保険の非課税枠は被相続人が契約者と被保険者になっていれば、受取人の範囲は問われませんので、法定相続人のうち一人になっていても問題ありませんし、相続人以外の人を受け取る契約になっていても問題ありません。

生命保険の非課税枠の活用は他の特例制度や控除等に比べても簡単に適用できることから簡単に税金を減らすことができます。特に法定相続人の数が多い人にとっては、大きく税額を下げることができる有効な対策といえますので、基礎控除を上回る場合は上限の額まで生命保険を契約することをおすすめします。

また、財産が基礎控除と生命保険の非課税枠の範囲内であれば、税務署に申告書を提出する必要はありません。遺産相続の際の手続き負担を減らすことができます。

非課税枠以外の生命保険の活用方法

相続税がかからない方でも生命保険に加入することで非課税枠以外にもメリットがあります。生命保険の活用方法について案内します。

当面の生活資金として利用可能

生命保険は受取人が指定されているため、相続人間での遺産分割協議を経る必要がありません。そのため、相続発生後、保険会社に請求すればすぐに資金化することが可能です。そのため、生命保険を契約しておくことで、相続発生後の当面の配偶者や家族の資金確保の手段としても有効です。夫の名義に財産が偏っている場合などは、数gに使えるお金が無くなってしまいますので、生命保険を活用するケースが多いです。

相続発生後は葬式など費用も多くかかりますので、遺された方の負担を軽減することができるでしょう。

財産の一部を受け取る人を指定することができる

生命保険は死亡保険金を受け取る人を指定することができるという特徴があります。そのため、財産の一部を取得する人を指定することができます。

例えば、子が長男と次男の二人いるケースで、長男に1,000万円多く財産を遺したいと考えた場合、生命保険を1,000万円契約し、受取人を長男に指定しておけば、受け取った保険金は遺産分割の対象外となります。遺産分割によって法定相続分と同じように財産を2分の1ずつ分けた場合、結果的に長男に1,000万円分を多く遺すことが可能です。生命保険は財産の一部分についていくら、誰に遺すと細かく指定することができるので、法定相続割合とは異なる割合で遺したい時にも有効です。契約後も受取人を変更することが可能です。

ただし、他の財産は遺産分割協議の対象となりますので、全財産を指定したいときは遺言を作成する必要があります。

貯蓄や運用の機能がある商品もある

生命保険の中には、自分で資金を使う必要があり、解約した場合でも支払った保険料を上回る解約返戻金を受け取ることができる商品もあります。定期的に給付金がでる商品もありますので、給付金を自分で使うこともできますし、贈与税がかからない範囲で贈与に使うことも可能です。

貯蓄性の高い商品や株式や債券などが含まれる運用する商品もあります。運用機能が付いた商品は資産運用としても活用することができますが、運用成果次第で支払った保険料を下回る可能性がありますので注意が必要です。

また、保険の運用で利益が出た場合は所得税の対象となります。500万円の生命保険を契約し、運用の結果600万円となった場合、100万円は所得税の課税対象となります。

生命保険会社のサービスを受けることができる

生命保険会社によっては契約者向けのさまざまなサービスを利用することができます。大手保険会社の代表的な例では、健康や介護の相談などがあります。保険会社のホームページに記載されているサービスなどを参考に契約するのもよいでしょう。

生命保険の申込み方法

生命保険は保険会社に直接問い合わせる他、銀行や証券会社などの窓口でも契約することが可能です。新たに保険会社探しをすることが面倒な方は普段使っている金融機関に相談してみてもよいでしょう。

相続税の計算は税理士に相談を

非課税枠を活用するかどうか対応を検討する前に、相続税がかかりそうかどうか、かかるとしたらどれくらいかかるのかを確認する必要があります。遺産の全体像を把握することで生命保険の非課税枠以外の機能もうまく利用できるようにしましょう。

相続税を計算する際はまずは財産を一覧にして財産ごとに評価をしていただく必要があります。各種財産の評価は専門家としての情報をもつ税理士に依頼することをおすすめします。相続税がかかりそうな場合は、生命保険の非課税枠の活用を検討するようにしましょう。実際に財産を詳細に評価して、相続税を算出して、税率や実際にかかってくる税額がわかりますので、生命保険を活用することでどれくらい税金が安くなるか計算することが可能です。

実際に亡くなってから生命保険に加入することはできませんので、早めに対策を行っておくことが重要です。

広島相続税相談テラスでは、相続税で困っている・遺産分割に悩んでいる・生前贈与を検討しているあなたをサポートします。
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筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい