「相続税申告書の綴じ方がわからない」「提出は綴じてからするべき?」などで悩んでいませんか。結論から述べると、申告書と添付書類を分けて綴じて提出するほうがよいでしょう。これらの書類が混ざっているケースでは、税務署が整理しなければならず処理に時間がかかるからです。また、無駄な問い合わせなども発生しやすくなります。
遺産の金額が基礎控除を超える場合、相続税の申告が必要です。相続税の申告は必ず、被相続人が亡くなってから10カ月以内に被相続人の住所があった場所の税務署に申告書の提出と納税を終わらせる必要があります。短い期限で相続人全員での協議(遺言書がない場合)や銀行や証券会社など金融機関での取引の調査も終わらせておく必要があり、日程的にも余裕がありません。相続税の申告は相続人全員で行うことになりますが、実態としては配偶者など法定相続分が多い人が代表して手続きを行うことになるでしょう。相続税の申告は税務の知識がない人にとっては大変な作業です。自身で手続きを行う場合、できるだけ効率よく、早めに作業を始める必要があるでしょう。
この記事では、申告書と添付書類の綴じ方と注意点を知りたいと考えている方に向けて解説しています。以下の情報を参考にすれば、どの書類をどのように扱えばよいかがわかるはずです。少しのコツを知っているだけで、書類をきれいに仕上げられるため印象が良くなります。相続税申告書や書類の綴じ方を案内しますので、お悩みの方は、参考にしてください。
相続税申告書の綴じ方と注意点
申告書の綴じ方は、すべての書類をまとめてクリップなどで留めるだけです。書類に穴が開いてもよいのであれば、ホッチキスを使用しても構いません。提出した書類がバラバラにならないように、ひとまとめにしておくことが重要です。書類を留める用具に指定はありませんが、ここではクリップをおすすめします。
OCR様式に注意
書類を留めるときは、OCR様式に気を付けなければなりません。
OCRはOptical Character Readerの略語で、手書きされた文字や印刷された文字をスキャナーなどで読み込んで、コンピューターが利用できる文字コードに変換する技術です。
申告ではOCR様式の書類も提出することになります。OCR様式の書類の角に印刷された黒色の四角形をホッチキスで留めてしまうと、スキャナーなどで読み込めなくなってしまいます。だから、ホッチキスよりもクリップのほうがおすすめなのです。ホッチキスを利用する場合は、書類に印刷されている黒色のマークを留めないようにしましょう。
添付資料の綴じ方と注意点
添付書類は、課税の対象となる財産ごとにまとめて、各財産に表紙を付けて綴じるとわかりやすくなります。表紙を付ける理由は、どこに何を記載しているかがわかりやすいからです。適切な処理を促すためには重要なポイントになります。表紙には、被相続人の氏名と相続人の氏名、相続が開始した日を記載しておくことが一般的です。
添付書類のまとめ方
前述の通り添付書類は、先に被相続人が保有していた相続財産ごとにまとめ、内容や評価額を確認のうえ、総額が分かるように一覧の表を作成します。財産の種類は下記の通りです。財産の種類が多い場合、効率的にまとめていく必要があります。
【財産の種類】
- 土地
- 建物
- 株式(有価証券)
- 現金・預貯金
- 生命保険
- 贈与
- その他の財産
- 債務
- 葬式費用
上記の財産についてさまざまな書類を集める必要があります。それぞれの資産について簡単に説明します。
土地
自宅など不動産の所有を証明する書類などが必要になります。具体的には、固定資産課税明細書や登記事項証明書(不動産登記簿謄本)などを提出します。所有する土地について詳しく知りたい場合は役所で名寄帳を取得するようにしましょう。
不動産は登記簿で所有者を確認しますので、不動産を相続した場合、相続登記を行う必要があります。なお、法務局で相続登記を行う際には印鑑証明書は不要です。
土地は路線価で評価を行います。時価とは異なりますので注意しましょう。
建物
基本的な考え方は土地と同じです。したがって、固定資産税課税明細書や登記事項証明書(不動産登記簿謄本)などを提出します。
株式(有価証券)
上場株式では、残高明細書のほか配当金支払通知書などが必要です。自分で会社を経営している場合など、非上場の株式がある場合は、株式の評価も行う必要があります。投資信託も有価証券として評価を行います。
現金・預貯金
預貯金などの残高を証明する書類、定期預金の既経過利息の計算明細書などが必要になります。取引のある金融機関がわからない場合は、口座がある金融機関と支店名を特定する必要があります。通帳や証書は税務署に提出する際の証拠書類とはなりません。数多くの金融機関と取引がある場合、全部の書類を発行してもらい、集めるまで時間がかかりますので、早めに準備しましょう。
金融機関に預けている預貯金は銀行所定の書類や戸籍を提出しすれば、名義変更や解約して資金化することができます。
生命保険
保険金支払通知書のほか、保険証券などを提出します。生命保険は法定相続人×500万円までは非課税となります。非課税枠以上の保険金が出た場合は相続税の課税対象となります。
贈与
贈与に関する契約書、贈与税申告書の写しのほか、相続時精算課税制度を利用している場合はその選択届出書も必要です。相続時精算課税制度は、親世代の財産を子世代に移転させる際の贈与税を軽減する制度といえます。相続時に、贈与税と相続税を合わせて計算する点がポイントです。相続発生前3年以内の贈与は相続財産として相続税の課税対象となります。過去までさかのぼる必要がありますので、贈与ン契約に関する書類も残しておくようにしましょう。
その他財産
その他財産は、不動産・建物・株式・現金・預貯金・保険以外の財産です。一例として、骨とう品や書画、金地金、ゴルフ会員権、自動車、貴金属などの一般動産が挙げられます。一般動産がある場合は、評価明細書(最近取得した場合は所得価額がわかる書類)が必要です。退職金もその他財産に含まれます。退職金が支給された場合は、退職金手当等受給者別支払調書などを提出します。老人ホームに入居していた場合は一定額が返還される場合もありますが、老人ホームから返還される金額の相続税の課税対象となります。
債務
債務を承継した場合は、債務を課税価格から控除できるため関連する資料を提出します。具体的には、金銭消費賃貸借契約書などが必要になります。逆に貸付を行っている場合は貸付金として資産になります。
葬式費用
葬儀費用もとして実際に支払った金額は課税価格から控除できます。控除対象になるのは、通夜・告別式・火葬・納骨にかかった費用などです。これらに関する領収書なども必要になります。
相続税申告書類の作成は税理士に相談
いかがでしたでしょうか?この記事を読んでいただくことで相続税申告書の綴じ方と注意点がご理解いただけたと思います。綴じ方そのものはそれほど難しくありませんが、さまざまな書類を作成しなければならないため非常に大変です。財産の他にも相続人の身分を証明するために被相続人の出生から亡くなるまでの連続した戸籍謄本や住民票の原本を本籍地がある市区町村の役場で収集し、相続人の確定作業も別途必要となります。正しく納税することは国民の義務ですので、資産の申告漏れなどで誤った税額で申告・納付してしまうと、税務調査で指摘され、ペナルティを課される恐れがあります。税務署は徹底して調べることがありますので、しっかりと準備することで追加の対応を迫られないようにすることが大切です。
また、居住している自宅土地に適用できる小規模宅地の特例や配偶者の税額控除など、各種特例の適用を受ける場合は、特例の条件を満たすことの証明書が必要な場合もあります。
国税庁のホームページなどで確認すれば、自分で申告書を作成することもできますが、平日は仕事で忙しい場合など自分で作成することが難しい場合は、税の専門家・税理士に相談してみてはいかがでしょうか。税理士に依頼する場合は相続税に関する実務の実績がある税理士に依頼することが重要です。
申告書の作成に入る前に誰がどの財産を受け取るかきめることに時間がかかることもあります。親族の内に反対する者がいた場合、すぐに申告手続きに入ることができず、時間がどんどん無くなっていきます。相続人全員が法定の割合で納得するとは限らないのです。
また、相続対策は生前に対応を行うことで大きなメリットを得ることができます。遺言の作成や相続税の課税対象に該当する財産を把握して、適切な対応をすることで、実際に支払う相続税を減らすことも可能です。
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