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相続税対策となる生命保険の非課税枠とは?

2024年07月13日

相続が発生すると被相続人の財産を把握し、基礎控除を超える場合は相続税の申告を行う必要があります。相続財産には土地・建物等の不動産や預貯金、株式、投資信託などの有価証券等、金や絵画、骨董品等の現物資産などあらゆる資産がふくまれます。

生命保険の死亡保険金はどのように扱えばよいのでしょうか。当記事では生命保険の取り扱いについて解説していきます。

生命保険の税務上の取り扱い

生命保険の死亡保険金の税務上の取り扱いは契約者、被保険者、受取人の関係によって税金の種類が異なります。

保険契約者 被保険者 死亡保険金受取人 税務上の取り扱い
相続税
所得税
贈与税

契約者、被保険者、死亡保険金受取人による税務上の取り扱いは上記の通りとなります。保険契約者とは保険料を負担する人です。そのため、保険契約者と被保険者が同一の場合は、死亡保険金は相続税の対象となります。

保険契約者と死亡保険金受取人が同一で被保険者が異なる場合は負担した保険料の額と受け取った死亡保険金との差額は契約者本人が受け取るため所得税の対象となります。

配偶者が被保険者で死亡保険金受取人が子どもの場合は取得した金額に対して贈与税が課されます。死亡保険金の受取人が複数いる場合はそれぞれに110万円の基礎控除があります。

生命保険には非課税枠がある

生命保険は本来の相続財産ではありませんが、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。しかし、生命保険の死亡保険金には非課税枠があり、一定の金額までは税金の対象から除外されます。非課税枠の計算方法は以下の通りです。

500万円×法定相続人

例えば、法定相続人が3人の場合は1,500万円まで非課税となります。死亡保険金の受取人が1人であっても、非課税枠は1,500万円まで適用することができるため、受取人の数は関係ありません。

法定相続人が3人の場合は基礎控除の金額が4,800万円(計算式:3,000万円+法定相続人×600万円)となりますので、死亡保険金の非課税枠1,500万円とあわせて総額6,300万円までは相続税がかかることはありませんし、相続税の申告も必要ありません。

小規模宅地の特例などを利用することで税額が0円となる場合でも申告が必要ですが、保険の非課税枠を利用することで基礎控除内に収まる場合は、相続税の申告は必要ありません。

生命保険を契約する場合の注意点

生命保険は簡単で確実な相続税対策としてメリットが大きく非常によく使われている手段です。しかし、生命保険にも注意点があり、よく検討して契約をする必要があります。生命保険を契約する場合の注意点を確認しておきましょう。

不公平が生じる場合がある

生命保険の死亡保険金受取人は一人にすることもできますし、複数にすることもできます。

死亡保険金は固有の財産となりますので、死亡保険金とは別に、民法で定められた法定相続分の財産を取得する権利があります。受取人を一人にした場合、相続が発生した時に別の財産を受け取ると不公平が生じる可能性があります。

死亡保険金を受け取った相続人は他の財産を放棄してもらうか受け取る割合を少なくするなど事前に決めておかないと、遺産分割の際に兄弟姉妹間で感情的なトラブルの原因となり関係が悪化する可能性がありますので、注意が必要です。

一時払いの生命保険は元本割れとなる商品もある

生命保険の中には一時払いといわれる契約時に一括で保険料を支払い、完了するタイプの商品があります。保険会社は支払われた保険料を活用し、運用を行います。

商品によっては外貨や株式などで運用するタイプの商品もあり、保険金も相場によって変動します。そのため、元本を支払った資金が下回る可能性があります。運用タイプの商品を利用することで、利益を得ることができることもありますが、損失が出るリスクもありますので、商品内容をよく理解して申し込むようにしましょう。

相続税のお悩みは税理士に相談を

相続税は制度や計算方法が複雑で知識がない人が理解するのはなかなか難しいでしょう。相続が発生した後は金融機関の名義変更や不動産の登記などで忙しく相続税の申告手続きもなかなか進まないケースが多いです。まずは遺産を一覧の表にし、相続税がかかりそうか判断するようにしましょう。

申告が必要な場合は、相続発生から10ヶ月という短い期間で税務署の窓口に相続税の申告書の提出と納税を完了させる必要があります。

家族の中に、自分で税率を計算し、申告をすることができる人がいない場合も実際に多いでしょう。そのようなケースでは、税理士のサポートを受け、申告を行うようにしましょう。

税理士に依頼する際は、税理士事務所・税理士法人のサイトを確認し、相続税や相続税に関連の強い贈与税に強い税理士に相談することをおすすめします。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい