自分の相続が発生した時のことを考える終活が一般的になり、自分の財産の配分を検討している人も増えています。
財産の配分を検討するうえで、法定相続人以外の人に相続財産を遺したいと考える人も多いでしょう。当記事では、法定相続人以外の人に財産を遺す方法と注意点について解説します。
法定相続人以外の人に財産を遺す方法
法定相続人以外の人の財産を遺す方法としては、亡くなる前に遺言を作成することで意思表示を行うことが一般的です。遺言を書き、財産を受け取る者を指定することで相続人以外の人に財産を遺すことができますし、法定相続分とは異なる残し方ができます。
遺言の形式は財産のすべてや、財産のうち2分の1など包括的に遺贈する包括遺贈の形式と特定の財産の遺贈する特定遺贈があります。遺言を作成する際に財産の一部のみ記載することもできますが、相続の対象となる財産の一覧を作成し、全体のバランスを考えて配分を検討ことをおすすめします。
遺言書の方式は公証役場で作成する公正証書遺言と自分で書く自筆証書遺言があります。公正証書遺言は費用はかかりますが、作成の際に公証人に内容を口述し、公証人が筆記するため、作成時に法律的に有効な遺言となるというメリットがあります。一方の自筆証書遺言は手軽に作成や変更ができるものの、相続発生後に不備が発見される可能性もあります。自筆証書遺言は法務局で保管してもらえる制度が始まり、法務局で保管してもらうことで、誰かが不利な遺言であると知って偽造や変造、隠匿を行う恐れがなくなり、家庭裁判所で検認を受ける必要もなくなりますが、内容を確認するわけではありませんので、不備があり有効な遺言とならず、それぞれが遺言通りに財産を受け取ることができないリスクは残ってしまいます。
また遺言書には遺言通りに財産を配分し、銀行の解約や土地や建物などの登記の手続きをすることができる執行者を指定することも可能です。相続税がかかる場合は被相続人の死亡の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告を完了する義務があり、時間がありません。執行者を決めることで、スムーズに財産を引き継ぐことができるでしょう。執行者は親族を指定することもできますし、司法書士や税理士などの専門家に依頼することも可能です。知り合いに依頼することが難しい場合は各種サイトで執行者を担ってくれる事務所などを探してみるとよいでしょう。業務として執行者を依頼する場合は費用が発生しますので、あとあと問題とならないように事前に定められた料金を確認しておくようにしましょう。
遺言ではなく、生前に財産を遺すのであれば生前贈与で財産を渡すこともできます。生前贈与の場合、年間110万円までであれば基礎控除の範囲内ですので、非課税で贈与をすることが可能です。
法定相続人以外の人に財産を遺す際の注意点
法定相続人以外の人に財産を遺す場合、どのような点に注意をすればよいのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。
法定相続人と揉める可能性がある
法定相続人以外の受遺者が財産を受け取ることで、法定相続人以外の人が遺産を相続する割合が減ってしまったり、特定の財産を取得することができなくなったり、場合によっては完全に相続放棄をすることになります。相続人以外の人に遺す理由があっても納得できないということもあるでしょう。
遺言を作成することで、協議を行わずに遺産分割ができますので、基本的には配分を決めることができますが、遺留分を侵害している事例では遺留分侵害額請求がされると遺言通りに配分できなくなる場合もあります。
法定相続人といっても法定相続人ではない孫や兄弟姉妹などの親戚に財産を遺すケースと親戚関係のない友人などの第三者に財産を遺すケースでは、対応も大きく異なります。法定相続人以外の人に財産を遺す場合、自分が亡くなった後に遺産分割で配偶者や子供などの家族と揉めないか十分に注意して準備することが大切です。
相続税が2割加算になる
被相続人の財産が基礎控除の額(3,000万円+法定相続人×600万円)を超える場合、遺産相続の際に相続税がかかります。
法定相続人以外の人が財産を受け取る場合、相続税の2割加算の対象となり、通常の税率より高い税率で負担が課されます。2割加算の適用は孫などの親族であっても他人の場合も同様に負担が増えます。特に不動産など現物資産のみを遺贈する場合は受遺者がもともと持っていた現金で相続税を支払う必要がありますので、事前にお金を貯めておくなど対策を打っておく必要があります。
不明点がある場合は専門家に相談を
相続人以外の人に財産を遺す場合は、相続税の計算も複雑になりますし、相続人と受遺者とのトラブルになるケースもありますので注意が必要です。遺言書の作成についてもしっかりと検討し作成しておかないと、あとあとトラブルになる可能性もあります。遺言の作成についても計画に記載をしておかないと、意思とは異なる配分となってしまうケースもあります。
知識が無く不安がある場合は税理士などの相続の専門家に相談し、サポートを受けるとよいでしょう。まずは電話やメールで気軽に連絡してみることをおすすめします。
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