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相続手続きに協力してもらえない人がいる場合の対処法

2025年08月11日

相続が発生すると遺産分割のために様々な手続きを進めていく必要があります。しかし、必要な書類に印鑑を押してくれないなど、協力してもらえない相続人がいる場合、遺産を分けることができません。

当記事では、手続きに協力してくれない相続人がいる場合の対処法や注意点について解説します。

相続手続きの進め方

相続が発生すると、まず法定相続人を確定する必要があります。法定相続人は被相続人が生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本を取得することで、確認することができます。

法定相続人は順位が決められており、相続開始時点の配偶者は常に相続人、第一順位が子、第二順位が親、第三順位が兄弟・姉妹となります。

法定相続人を把握することができたら、相続財産を調査し一覧にし、取引の金融機関などを記載します。次に相続財産の一覧をもとに法定相続人で相続財産の分割について話し合いを行います。被相続人が生前に遺言を作成していた場合は、遺言書のとおりに配分することになりますが、遺留分を侵害する内容であった場合、遺留分を侵害された者が遺留分について主張することで遺言とは異なる配分で分けることになります。

遺言書がない場合は、相続人同士で話し合いを行い、協議が成立したら合意した内容で遺産分割協議書を作成し、自筆で署名と印鑑登録をしている実印を押印します。相続放棄をした相続人がいる場合は、初めから相続人ではなかったこととなり、手続きに参加することはありません。

相続手続きに協力してもらえない事例

遺産相続の手続きに協力してもらえない事例とはどのようなパターンがあるのでしょうか。よくあるケースと対処法を具体的に確認しておきましょう。

配分に納得がいかない

遺産分割をする際は相続人全員で話し合いを行い、全員で同意のうえ、誰が何を取得するか決める必要があります。遺産分割は法定相続割合どおりに分けることが基準となりますが、特定の相続人が生前贈与を受けている場合や被相続人との関係性などが理由で法定相続割合では納得いかないというケースもあるでしょう。また、東京や大阪など都心に近くアクセスの良い場所に自宅などの土地を所有している場合など、価値の高いものは共有にしないと配分が難しいケースもあります。

相続財産の配分の話し合いが原因で関係が悪化することも多くあります。手続きを進めようとしたときに遺産分割協議書への押印を拒否されたとしても、相続手続きを勝手に進めることはできません。

相続人同士の交渉が平行線となった時は弁護士に相談し、交渉することになります。弁護士との話し合いでも解決できなかった場合は家庭裁判所で、調停委員を交えて話し合いを行う調停を行い、それでも解決できなかった場合は審判により配分を決定することになります。

配分について問題となる可能性が高い場合は、事前に遺言を作成しておくことをおすすめします。事前に遺言書を作成しておくことで、相続が発生した際に相続人同士で話し合いをする必要はなくなりますので、大きく負担を軽減することができます。

忙しくて時間がない

相続人の中には仕事などで忙しくて時間がないという人もいるでしょう。預貯金の名義変更や不動産の登記など相続手続きにはさまざまな手続きが必要です。普段は仕事などで忙しくしていて、平日に休みをとって手続きを進めるということが難しい人も多いでしょう。相続が発生すると金融機関の口座が凍結されてしまいますが、は土日が開いていないため、手続きが進まないケースもあります。

配分などの話し合いでトラブルが生じていない場合でも、忙しくて遺産分割の手続きが進められない事例も多くあります。

また、財産が基礎控除以下の場合、相続税の心配はありませんが、基礎控除を超えており相続税の申告が必要な場合、被相続人が死亡した翌日から原則10ヶ月以内に申告を完了させる必要があります。

忙しくて手続きが進まない場合には法律事務所や税理士事務所等で手続きを代行してもらうことを検討してみてもよいでしょう。専門家に依頼することで費用はかかりますが、書類の作成や相続税の計算等、確実に手続きを進めることができます。

連絡先がわからない

親等が亡くなった場合は、戸籍謄本を取得し、相続人を確定したうえで財産の調査を行い、遺産分割を行うという流れで手続きを進めていきます。

しかし、相続が発生した時に他の相続人との関係が疎遠で連絡先がわからず、連絡が取れない場合、手続きを進めることができません。相続が発生した後に連絡を取りたい場合は戸籍の附票を取得し、住所に手紙を送るなどの対応をするしかありません。

他の相続人がすぐに応じてくれるとは限りません。相続税の申告が必要な場合は、期限もありますので、早めに連絡をとるようにしましょう。

相続手続きにお困りの場合は専門家に相談を

相続手続きは複雑で知識と経験がない人が進めることは簡単ではありません。特に相続人同士で話し合いができないなど協力を得られない状況で自分で進めることが難しい場合は専門家に相談して進める方が安心して手続きを進められます。

専門家に依頼することで、費用はかかりますが、預金や不動産の名義変更をスムーズにできるというメリットがあります。

広島相続税相談テラスでは知識と経験が豊富な税理士が多数在籍しており、みなさまの相続手続きをサポートしています。遺言の書き方や相続発生後の銀行口座の整理のサポートなどもしています。

初回の相談は無料で対応しておりますので、相続に関するお悩みがある場合は電話やメールなどでお気軽にご連絡ください。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい