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田舎の家を相続する際の注意点は?

2025年11月11日

親などの相続が発生すると、預貯金、株式、不動産など様々な資産を引き継ぐことになります。田舎に実家がある場合、土地や建物を家として活用する人もおらず、空き家となるケースも多いでしょう。

今後使う予定がない実家を相続した場合、どのように対応すればよいのでしょうか。当記事では、実家を相続した際の対処法や注意点についてポイントをおさえて解説します。

実家を相続する際の注意点

実家を相続する際はどのような点に注意をすれば良いのでしょうか。具体的に解説します。

放置をすると倒壊などの危険がある

実家の戸建てに誰も住まなくなり、長い期間そのまま放置していると、物件の老朽化により倒壊や、害獣や害虫の発生などにより、近隣住民に迷惑がかかる可能性があります。

また、住宅として利用していないと放火など犯罪に巻き込まれる被害を受けるリスクもあります。万が一、管理が不十分なことが理由で近隣に住む誰かに迷惑をかけてしまった時は所有者として法的な責任を問われ、損害賠償を請求される可能性があります。

不動産を所有する場合は、近隣とのトラブルを避けるためにも建物が危険な状態とならないように維持管理を行う必要があります。

保有するだけで費用がかかる

実家を相続財産として相続すると不動産の登記を行う必要があります。不動産の登記を行う際の登録免許税や保有するだけで毎年の固定資産税などの税金の負担がかかります。

不動産は資産として保有しているだけで、コストがかかるため、負担がかかってしまう点はデメリットの一つといえるでしょう。

共有にすると意思決定で揉める可能性がある

誰が相続するか、遺産分割の協議の際に決められない場合は法定相続割合どおりに共有にしようと考える方も多いでしょう。しかし、共有にすると後々の売却や建物の建て替えなどの際に、意見が合わず、決定することが難しい状況となり、トラブルが生じるケースが多くなります。

また、次の相続が発生すると、さらに共有者が増える可能性もあります。関係によって誰が相続するか判断が難しい場合も多いと思いますが、できるだけ誰か一人が相続するようにした方がよいでしょう。

空き家となった実家の対応方法

実家を使う人がおらず、対応する際の選択肢と注意点について解説します。

売却する

誰も使わない場合は売却して現金化することも一つの方法です。ただし、一般的に東京や大阪などの都心部に近くアクセスのよいところは高い値段がつきますが、人があまり住んでいないような場所にある土地の場合、すぐに希望の価格で譲渡ができるとは限りません。立地が良い土地であればすぐに高い値段で買い手が付くケースが多いですが、空き家が増えているエリアでは、なかなか処分することができないことも多いです。

売却をして手放してもいいと考えている場合は相続が発生したら早めに地元の不動産仲介業者などに相談し、査定をしてもらってから検討するとよいでしょう。

有効活用する

実家の建物を残したまま、他人に貸し出すことや、大きな土地であれば建物を建て替えて賃貸アパートを建てること、取り壊して更地にしてから駐車場として人に貸し出すなど、人に貸すことで賃料を得ることができるというメリットがあります。

ただし、有効活用をするためには建築のための費用や維持費などさまざまな費用がかかり、期待通りに入居者が入らず賃料が得られなかった場合、損失が発生する可能性もあります。そのため、建物を建てて失敗をすると損失も大きいため、具体的に進める前にマンションやアパートを経営するための用地として適しているか慎重に検討する必要があります。

土地によってどのような人に向けて土地を貸し出すのがいいのか、慎重に調査をして進めるとよいでしょう。

相続放棄をする

実家の土地を引き継ぎたくない場合は相続権を放棄をするということも一つの選択肢です。相続放棄をすることで、土地を引き継いで手続きをする義務や、引き継いだ後に固定資産税を支払う必要もありません。相続放棄はプラスの財産よりも借金や債務など引き継ぎたくない財産が多い場合に取ることが多い方法です。

ただし、相続放棄をすると実家の土地・建物だけでなくすべての財産を引き継ぐ権利・義務を失います。そのため、預金や株式なども引き継ぐことができなくなり手放すことになりますので注意が必要です。相続放棄を検討する場合は、家庭裁判所で放棄の手続きをする前に財産の一覧を作りすべての財産を把握してから実際に放棄をしても問題ないか、慎重に検討するようにしましょう。

相続人全員が放棄をした事例では、財産は国庫に帰属されることになります。

寄付をする

実家の土地をその地域の自治体などに無償で寄付できるケースもあります。寄付することで地域に貢献でき、自分が管理する手間もなくなります。ただし、過疎地では寄付を検討する人も多く、必ず受け入れてもらえるわけではありません。寄付を検討する場合は市区町村役場で相談をしてみるとよいでしょう。

生前の対策

自分が住んでいる土地・建物を誰も使う予定がない場合、誰に引き継ぐかを明確にするために遺言を作成することをおすすめします。遺言を作成することで家族の間でトラブルが起こる可能性を大きく下げることができます。

また、遺言を作成することで相続人以外の人に遺贈することも可能です。近所に住んでいる親戚など、活用できる人がいる場合は遺言書で遺贈することを記載しておくと良いでしょう。

遺言を書く際は法律上有効な遺言を作成することが重要です。適切な記載をするために、司法書士や弁護士など法律の専門家のアドバイスを受けて作成するようにしましょう。

相続財産の対応に不安がある場合は専門家に相談を

相続によって受けた財産をどのように取り扱うかお悩みの際は専門家に相談するとよいでしょう。まず遺産の分割についてお悩みの場合は弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。

相続した不動産の売却や有効活用などを検討している場合は不動産会社に相談するとよいでしょう。

また、財産を相続した際の相続税の申告について相談したい場合は税務のプロである税理士に相談する必要があります。相続税の申告期限は相続開始の翌日から原則10ヶ月以内と非常に短い期間に完了する必要があります。

相続発生後はさまざま手続きを進める必要があり、あっという間に時間が過ぎてしまいます。国税庁のサイトに、計算方法などは記載されていますが、特例を適用する場合、申請が必要となる場合もあり、各財産の価値を特定し、相続税の計算をすることは、簡単なことではありません。誤った申告をした場合、税務署による調査で指摘される可能性もあります。

親族の中に税務に詳しい人がいない場合はしっかりと税理士と契約して申告を依頼することで、誤った申告をしてしまう心配がありませんので、その後の書類の作成などを安心して進めることができます。

広島相続税相談テラスでは実績豊富な税理士が多数在籍しており、必要に応じて、他の専門家の紹介も行い、相続関連の様々なお悩みの解決をサポートしております。

初回の相談は無料で対応しておりますので、ぜひお気軽にお電話やメール等でご連絡ください。

 

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい