相続が発生すると、民法で定められた法定相続人が遺産分割の話し合いを行い、被相続人が保有していた相続財産を分割します。
遺産の分割の話し合いは非常に難しく、協議がまとまらずトラブルになることも多くあります。特に多いのが法定相続人の配偶者や子どもなど相続権の無い周りの人が口出しをすることで、複雑化するケースです。
本来、法定相続人以外の者に口出しをする権利はないのですが、どれくらいの額を相続するか実際に口を出され、加入されると無視をするわけにはいかないというケースも多いでしょう。
今回の記事では相続人以外の人が口出しをされる時の対応方法や事前の防止策についてポイントをおさえて解説します。
法定相続人以外の人が口出しをすることを避ける方法
法定相続人以外の人が口出しをすることを避けるために、どのような方法があるのでしょうか。具体的に確認しましょう。
遺言書を作成する
法定相続人以外の人が口出しすることを防止し、問題となることを避けることができる最も有効な手段が生前に遺言を準備しておき、誰がどのように財産を取得するかを明確に決めておくことです。
遺言書には自筆証書遺言という自分で書いて自宅等で保管する方法と、公証役場で手続きを行い、公証役場で保管してもらう方法があります。自筆証書遺言で作成した場合、亡くなった後、家族が家庭裁判所での検認手続きが必要なことや形式不備により無効となるケースもあります。
公正証書遺言の場合は、作成した時点で確実に有効な遺言となります。費用はかかりますが確実な遺言をすることを優先するのであれば、公正証書遺言で作成した方が良いでしょう。公正証書で作成しておくことで、相続人の不安をやわらげ、確実に手続きを進めることができます。
ただし、遺言で財産配分を指定する際に遺留分には気を付ける必要があります。遺留分を侵害した遺言を作成しても、遺留分を侵害された者が遺留分を主張すると遺言書どおりに財産を分けることができなくなってしまいます。
法定相続人を明確にする
遺言を作成する前に亡くなってしまった場合、相続人間で話し合いを行い、配分を決定するしかありません。相続人全員が集まって話し合いをすることが重要です。
遺言書がない場合でも、親族で集まった時に、話し合いをするのではなく、財産を分ける場として、法律で定められている法定相続人だけで話し合いを行う状況を作った方がよいでしょう。実際に何度も集まることができない場合は、お葬式や四十九日など、親族が集まるタイミングで話し合うことも多いと思いますが、話し合いをしている間は席を外してもらうようにしましょう。
夫婦で話し合いをすることは避けることができませんが、話し合いの場には参加せず、協議が成立して合意できるまで相続人のみで話し合いをするようにしましょう。
親族が集まる場で話をすると他の親戚にも気を使い、実際に話し合いが前に進まないケースも少なくありません。そのため、法定相続人を明確にし、その人たちだけで話し合いの機会を作るようにしましょう。
養子縁組をする
子どもの妻に介護をもらっている場合や、孫に財産を遺したい場合、養子縁組をすることによって、その人の法律上の親となり財産を分けることが可能です。
ただし、他の兄弟姉妹と同じ権利を持つことになり、相続放棄をしない限り、財産の話し合いにも参加することになります。養子縁組をすると、強い権利を持つことになりますので、慎重に検討するようにしましょう。
生前贈与をする
子どもの妻に介護をしてもらっているケースなど、法定相続人以外の人に、お世話になっているケースもあります。しかし、子どもの妻は法的には相続の権利を持ちませんので、話し合いに参加することはできません。お世話になった子どもの妻にも財産を遺したいと考えている場合、生前贈与を行うことも一つの選択肢となります。
養子縁組をすると、遺留分も発生しますが、生前贈与であれば、自分が挙げたい金額を自由に渡すことができるというメリットがあります。相続が発生する前に贈与をしておくことを検討してもよいでしょう。
トラブルになった時の対処法
実際に、法定相続人以外の人が口出しをしてトラブルになった時の対処法についても解説します。
まずは、多くのケースが配偶者が口出しをする事例です。被相続人の子の妻が病気や認知症でお世話が必要となった義理の両親の看護をしていたケースなどでは、夫が法定相続分よりも多くもらえると考える人が多いでしょう。結果的に同じ配分では納得いかないとなった際にトラブルとなる理由となります。
法律上は寄与分というものがあり、義理の両親の財産形成等に特別に貢献した人は多く財産を受け取ることができる可能性はあります。しかし、身の回りのお世話や、買い物を代わりにしてあげるなど通常程度の介護をした程度では、寄与は認められない事例がほとんどで、遺産相続には影響を与えないケースが多いです。
他にも、生前に大きな金額の贈与を受けている相続人がいる場合、特別受益を主張され、相続人同士のトラブルになるケースもあります。
それぞれの主張があわず、配分に納得がいかず、それぞれの立場で主張をすると、感情的になり、うまくいかないことも多いです。
自身で解決することが難しい場合は感情を廃除して冷静に決められるように弁護士に相談し、交渉することが大切です。それでも解決できない場合は、家庭裁判所での調停や審判に進むことになります。トラブルが長引くと遺産分割をすることができませんし、費用も多くかかりますので、できるだけトラブルとなり、関係が悪化しないよう、事前に対策を検討することが重要です。
相続に関するお悩みは専門家に相談を
相続は人生で何度も経験することではありませんので、知識もなく、何から始めていいかわからないというケースもあるでしょう。
上記に記載したケースのように遺産分割の話し合いで参加者の意見がまとまらず、お互いに納得できずに争いになるケースも多いです。また、相続発生後は金融機関の名義変更や不動産の登記など、さまざまな手続きを同時進行で進める必要があり、簡単なことではありません。
特に相続税の申告が必要な場合、被相続人が死亡した翌日から原則10ヶ月以内に申告手続きと納付を完了する必要があり、相続発生後すぐに手続きを進める必要があります。相続税の申告は被相続人の財産の総額が基礎控除を超える場合に必要となります。まずは預貯金や株式、不動産等、財産の一覧を作成し基礎控除を超えるか確認しましょう。
負担が大きく、相続税の申告を自分で行うことが難しい場合は、税務の専門家である税理士に依頼することも一つの選択肢となります。税理士にサポートを依頼することで期限内に確実に手続きを進めることができるでしょう。
広島相続税相談テラスでは、相続に関するあらゆるお悩みのアドバイスをしております。初回の相談は無料で対応しておりますので、ぜひお気軽にお電話やメール等でご連絡ください。