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養子縁組をすると相続人はどう変わる?節税にもなる理由とは

2024年09月28日

法定相続人は民法で定められており、配偶者や子供など被相続人との関係によって決まります。では、養子縁組をした場合、法定相続人はどのように変わるのでしょうか。

当記事では養子縁組をした場合の法定相続人や注意点について解説します。

養子縁組をした場合の法定相続人

法定相続人には順位が定められており、配偶者は常に相続人、第一順位が子、第二順位が親、第三順位が兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥・姪)となります。

子供がおらず、父母のどちらかが存命の場合は配偶者と親が法定相続人となります。しかし、家庭裁判所で養子縁組の手続きを行って養子になることが認められ、血縁関係はないものの、戸籍上の子供ができた場合は子供が法定相続人となり、親は法定相続人ではなくなります。

養子縁組には普通養子縁組と特別養子縁組があり普通養子縁組は実親との親子関係が継続しますが、特別養子縁組は実親との関係が解消され、養親と親子関係となります。

相続税との関係

養子は相続税にはどのような関係があるのか具体的に見ていきましょう。

子供が2人いる場合、手続きを行って養子縁組により子供が1人増えた場合、法定相続人の人数が1人増えて2人になります。基礎控除の計算は3,000万円+法定相続人×600万円となりますので、法定相続人が1人増えることで、基礎控除も増え、相続税は減ります。

そのため、相続財産が多い人は孫などを養子縁組にすることで、相続税対策を行う人もいます。しかし、民法上は何人でも養子縁組をすることができますが、相続税法上の基礎控除に含めることができるのは実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までと定められており、税法上は制限があり何人でも数を増やせるわけではありません。

養子縁組をする場合の注意点

養子縁組をすることで基礎控除の人数を増やせるというメリットはありますが、どのような点に注意をすればよいのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

遺産分割で揉める可能性がある

遺産相続の相続税対策の一環で孫などを養子にした場合、法律上は子供となるため、親や叔父・叔母と同じ相続権を持つことになります。法律上は子供であるとはいえ、もともとは孫だった人が同じ法定相続分の財産を取得する権利を持つことに違和感を持つ人も多く、法律上は子供でも家族からの見え方は実の子と異なります。そのため、協議の際にトラブルになる事例もありますので注意が必要です。

養子縁組をする場合は財産の配分について、贈与した金額などもふまえて相続が発生する前に遺言を作成して分割方法を書いておくなど対策を行っておく方が良いでしょう。

相続税の2割加算の対象となる場合がある

相続財産を配偶者または一親等以外の人が相続した場合、相続税の税額が2割加算となるという制度があります。兄弟姉妹や孫は2割加算の対象となり、養子縁組をして法律上の親子になったとしても2割加算の対象となることは変わりません。

基礎控除よりも2割加算の影響でかえって相続税が高くなる可能性もありますので、先にシミュレーションを行ってから養子縁組の手続きをしたほうがよいでしょう。

ただし、子どもが亡くなり、孫が代襲相続で相続する場合は2割加算の対象とはなりません。

相続税の計算は専門家である税理士に相談を

相続が発生するとプラスの財産から債務などのマイナスの財産を差し引いて基礎控除以下であれば、相続税の申告は必要ありませんが、超える場合は相続税の申告と納付が必要となります。

仏具や非課税枠内の生命保険・退職金など一部非課税の資産を除き、預貯金や有価証券、不動産、金などの現物資産も相続税の課税対象として財産を一覧にし、評価を行い相続税の申告を行います。

相続税の申告は被相続人の死亡の翌日から原則10ヶ月以内と期限も短く、相続対策を行っていなかった場合、不動産の登記や金融機関の手続き等の対応もあるため、しばらくの間、相続発生後相続人には非常に負担がかかります。

自分で申告することが難しい場合は専門家である税理士に依頼することも選択肢の一つです。相続税・贈与税に強い税理士事務所・税理士法人に依頼することで、安心して申告手続きを進めることができます。相続税の申告を依頼する場合は家族関係や遺産の状況を説明し、見積もりを依頼してみるとよいでしょう。

初回の相談はサービスで無料で応じてくれる事務所も多いので、まずは電話やメールで気軽に相談してみるとよいでしょう。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい