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相続税がかかるかどうかの確認方法は?

2024年11月03日

相続が発生し、被相続人の財産が多かった場合、遺産相続をする際に相続税の申告が必要となります。しかし、必ず相続税の申告が必要なわけではなく、一般的に自分がかかるかどうかわからないと不安に思っている人も多いでしょう。

ではどのような場合に相続税がかかるのでしょうか。当記事では相続税の申告要否の確認方法について解説します。

相続税の計算方法

相続税の計算をする際の流れについて解説します。まず、被相続人の名義として保有している預貯金や株式などの金融資産だけでなく不動産や金等現物資産も含めて亡くなった方の相続財産をすべて評価し、それぞれの評価額を一覧の表にします。土地は路線価×面積、建物は固定資産税評価額で算出します。財産の計算をする際に債務がある場合は課税対象となるプラスの財産から差し引きます。

その後、相続財産の合計から基礎控除を差し引きます。

基礎控除の計算は3,000万円+法定相続人×600万円で行います。他にも生命保険の保険金にも非課税枠があり法定相続人×500万円で計算します。例えば、法定相続人が配偶者と子2人で法定相続人の数が3人で、生命保険を非課税枠の上限まで契約している場合は基礎控除が4,800万円、生命保険の非課税枠が1,500万円となりますので、財産の合計が6,300万円までであれば相続税の申告は必要ありません。基礎控除と生命保険の非課税枠の合計を超える場合は、相続税の申告が必要となります。なお、基礎控除は相続放棄をする人がいたとしても減ることはありませんし、遺言で孫など法定相続人以外の人に遺贈する内容になっていたとしても、算定する人数が多くなることはありません。

基礎控除を超える場合は、総財産から基礎控除分を控除した金額を相続人で法定相続割合で分けたものとして税率をかけあわせて相続税額の総額を算出し、実際に取得した分に応じて税金を支払います。遺言が書かれていた場合は、遺言書の通りに分けることになりますが、遺言が無かった場合は遺産分割の話し合いを終わった後でなければ、それぞれがいくら納税する必要が生じるかの進めることができません。

明らかに基礎控除以下で相続税の申告が不要な場合は財産の評価をする必要はありませんが、超えるかどうか微妙な場合には、しっかりと調査を行ってそれぞれの財産の評価を行う必要があります。財産の調査や評価は相続人で話し合う前に財産や生前に贈与をした額を確認しておかないと財産が後から見つかった時に追加の対応が必要となる例もあります。

財産を取得した者が税務署に提出と納付を完了させるまでの期間は原則、被相続人が死亡した翌日から10ヶ月以内と非常に短いため、可能な範囲で相続発生後すぐに準備を始める必要があるでしょう。特に相続人間の関係が良くない場合や、生前に遺留分を侵害するような内容など法定相続分とは大きな違いがある遺言が作成されていた場合、トラブルに発展し、名義変更が完了するまで時間がかかる可能性もありますので要注意です。

相続には様々な特例があり、小規模宅地の特例や配偶者控除を利用することで、税金が0円になることもあります。しかし、特例を利用することで相続税の金額が0円になる場合は申告をする義務がありますので注意しましょう。

事前に確認しておくことで対策が可能

相続税の計算は亡くなった後で行う人が多いですが、現時点で税金の額を計算をしておくことで対策を行うことが可能です。

相続は突然発生することもありますので、事前に相続税の計算を行って金額をチェックしておくことで、生命保険を契約し、非課税枠を有効利用することや家族への生前贈与で遺産を減らすなど節税につながる対策を行うことができます。ただし、相続税や贈与税は税制改正も多いので、最新の情報を得て現在の制度を確認しておく必要があります。

自分で相続税の計算をすることに負担が大きい場合は税務の専門家である税理士に相談すると安心して進めることができます。もし自分で行って誤った申告をした場合、税務調査で指摘されて、ペナルティとして加算税を請求される可能性があります。期限に間に合わなかった場合も延滞税がかかる可能性があるため、期限にも注意が必要です。

税理士に依頼することで、費用はかかるというデメリットはありますが、資産の内容や配分の割合を把握して正確に納税額を計算してくれるでしょう。また、対象となる特例を活用することで、節税につながるケースもありますので、よく検討して税理士に依頼するようにしましょう。

ただし、税理士にも専門分野がありますので、相続税・贈与税に強い税理士事務所・税理士法人にサポートを依頼するようにしましょう。税理士に依頼することで報酬を支払う必要がありますが、財産の評価や書類の作成、申告手続きを依頼することができます。まずは気軽に電話やメールで問合せてみるとよいでしょう。

 

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい