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死後離婚とは?相続に与える影響を解説!

2025年01月26日

相続発生後に婚姻関係を終了する「死後離婚」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

死後離婚をすることで、相続にどのような影響があるのでしょうか。当記事では死後離婚と相続の関係について解説します。

死後離婚とは

死後離婚とは市区町村の役場に書類を提出し、届出を行うことで配偶者の血族との姻族関係を終了させる手続きです。姻族とは兄弟姉妹のことで、死後離婚をしない場合、配偶者の両親や兄弟姉妹との関係が継続します。

一方で死後離婚の届をすることで、配偶者の死後に姻族関係を終了させることができますので、夫や妻の兄弟姉妹とは親族関係ではなくなるということになります。

死後離婚をすることで、配偶者の兄弟姉妹の扶養や介護の義務を完全に失くすことができるというメリットがあり、夫の親族のさまざまな事情に巻き込まれることがなくなります。配偶者の兄弟姉妹に多額の借金がある場合など関わりたくない人がいる状況の場合の対策や義理の両親との同居を解消したい場合などに利用されています。

死後離婚と相続との関係

死後離婚をすることで遺産の相続にはどのような影響があるのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

財産は相続できる

死後離婚という言葉のイメージから配偶者が亡くなった時に同時に離婚をするようなイメージを抱かせるため、資産を相続する権利を失うと感じる人も多いと思いますが、あくまで法律上は配偶者との婚姻関係は継続したまま亡くなっているため、相続権や遺留分を失うことはありません。相続財産は配偶者として取得することが可能です。また、配偶者が受け取っていた年金の遺族年金も通常通り受給することができますので、年金がなくなって生活に困るということはありません。

相続税の基礎控除の人数に数えることができる

相続税の基礎控除は3,000万円+法定相続人×600万円で計算を行います。死後離婚をした場合でも死亡した時点の法定相続人として基礎控除の人数としてはカウントすることが可能です。他の相続人とあわせて基礎控除の額を算出します。

生命保険は受け取ることが可能

生命保険の受取人に指定されている場合、受取人固有の財産となります。そのため、配偶者が受取人に指定されている場合は受け取ることが可能です。

名前は旧姓に戻すことも可能

死後離婚をした場合、戸籍謄本に記載されている自身の名前を変更し、旧姓に戻すことも可能です。旧姓に戻すことで生活がしにくくなる場合は変えずに今までと同じ苗字でいることも可能です。

死後離婚の注意点

死後離婚をする際にどのようなことに注意をすれば良いのでしょうか。注意点も理解したうえで判断するようにしましょう。

親族と関係が悪化し、分割協議が難航する可能性がある

死後離婚をすることで、配偶者の兄弟などの扶養義務を完全になくすことができますが、兄弟姉妹にとっては一方的に縁を切られたような感覚に陥ることが多いでしょう。そのため、遺族の間で関係が悪化し絶縁状態になる可能性があります。

遺言書がない場合、遺産分割の流れは、相続発生時点の不動産や金融資産などの財産を調査と評価を行い、一覧を作成したうえで法定相続人全員で話し合い、合意が完了してから各種手続きに入っていきます。兄弟姉妹が相続人となる場合、一人でも遺産分割の方法に納得がいかない者がいると、印鑑を押してもらえず手続きが進まない事例も多くあります。

相続税の申告期限は相続発生から10ヶ月と期限が短いため、トラブルを解消するために、自分が相続する分を少なくせざるを得ない可能性もあります。また、相続放棄をする場合でも手続きに協力してもらえず、遺産分割の手続きが進まないというケースもあります。

法律事務所や弁護士に依頼し、法律的な手段で書類などを請求することもできます。一方で法的手段を行っても一度トラブルになると、慎重に対応する必要があるため解決することは時間がかかります。トラブルにならないよう進めることが大切ですので、生前に遺言を作成しておくなど事前に準備をしておきましょう。死後離婚をすることで親族との間で問題が発生する場合もありますので十分に注意しましょう。

子どもの感情にも配慮する

死後離婚をすることで、配偶者の兄弟姉妹や義父や義母と戸籍のうえでの親族関係を絶つことになります。また、死後離婚という言葉のイメージから夫婦での仲も良くなかったことも連想する人も多く親が死後離婚をすることに不信感を抱く子も多いでしょう。そのため、死後離婚をするなら、子の感情にも配慮して、家族で話し合ったうえで選択する必要があります。

死後離婚をするにあたって自分が考える理由をしっかりと説明し、理解を得てから書類を提出するようにしましょう。

相続のお悩みは税理士に相談を

相続手続きを完了させるには民法や相続税法などの法律的な知識だけでなく、人間関係やそれぞれの感情などさまざまな種類のお悩みがあるでしょう。一般の人は実際に遺産相続を何度も経験することはありませんので知識や経験がなく疑問が多々生じることは当然です。

相続手続きをスムーズに行うために普段から相続関係の手続きをしており、情報を多く持つ税理士事務所・税理士法人などに所属する税理士のサポートを受けることをおすすめします。相続の専門家である税理士のアドバイスを受けることで、あらゆる悩みを解決することが可能です。死後離婚のような重大な決断をする場合は専門家に相談したうえで検討した方がよいでしょう。

また、財産をまとめて一覧の表を作成し、相続税の計算と申告をする作業は相続発生後10ヶ月以内に完了する必要があり大きな負担となります。税理士に依頼することで費用はかかりますが、節税策なども同時に相談できるため、負担を減らすことができる場合もあります。なにより、期限内に確実に安心して手続きを進めることができるでしょう。

広島相続税相談テラスでは相続に関するさまざまなお悩みを解決することができます。初回の相談は無料で対応しておりますので相続に関するお困りごとがある場合は電話やメールなどで広島相続税相談テラスにお気軽にご連絡ください。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい