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死後認知とは?

2024年07月22日

相続が発生すると遺産分割のために相続人を確定する必要があります。相続人は原則、死亡時点の戸籍謄本で確認することになりますが、まれに死後認知によって相続人が増えるケースがあります。

当記事では死後認知の概要や認められるまでの流れについて解説します。

死後認知とは

死後認知とは法律上の婚姻関係がない男女から生まれた非嫡出子との法的な親子関係を死後に認めるものです。通常、認知は生前や遺言により行うことになりますが、父親の死後3年以内に請求されれば認められるケースがあります。

死後認知が行われ、法律上の親子であると結果的に認められた場合は、生まれた時に認知の効力は遡り、遺産分割協議にも参加することができると民法784条で定められています。

死後認知の流れ

認知訴訟は通常本人に対して行われますが、本人は死亡しているため、認知請求は被相続人の住所地の管轄の家庭裁判所で検察官に対して行われます。ただし、検察官は手続き上、訴訟の相手方となり、被告となりますが、実質的に利害関係があり、訴訟相手となるのは被相続人の配偶者や子供等の親族です。

認知訴訟でDNA鑑定をする場合は、本人が亡くなっているため、DNA関係の協力も子どもなどに協力を要請する必要があります。他にも母親が受け取っていた手紙やメールなどから判断を行うケースもあります。

死後認知訴訟の注意点

死後認知訴訟を行う際に、どのような点に注意をすればよいのでしょうか。具体的に注意点を確認しておきましょう。

親族の協力を得られないケースが多い

遺言書が作成されており明記されていない場合、本人や配偶者、本人の嫡出子などの近親者も認知をしたくないと考えているケースが多くあります。本人死亡後に親子関係であることを判断するために親族のDNA鑑定が必要となるケースが多いですが、当事者である親族に強制することはできません。実質的に相手方となる親族から協力を得られない事例もあり、立証が難しい場合もあります。

立証が難しい場合は、事実がわからず父親であると認めてもらうことはできないので、遺産の相続権も得ることができません。訴訟の間、争いとなると負担も大きくなり、労力だけかかるというケースも多くあります。

相続税がかかる場合がある

相続発生時点の被相続人の財産が基礎控除を超えている場合、財産を承継することで相続税を負担することになります。相続した財産以上に負担があるわけではありませんが、相続税の負担があるということは意識しておきましょう。

相続税の申告は、原則相続発生から10ヶ月以内に完了させる必要があります。期限も短いため自分で相続税の計算や手続き等の対応をすることが難しい場合は、知り合いに税理士を紹介してもらうか、ホームページなどで検索してサポートを依頼するようにしましょう。

遺産分割協議に時間がかかる場合が多い

遺産分割協議は相続人全員で合意する必要があります。

死後認知によって、親子関係が認められたという事情があったとしても、今まで他人であった人が異母兄弟となり同じ割合で財産を取得することに、抵抗感を覚える人は少なくありません。そのため、死後認知が認められ、遺産分割協議に参加したとしても、スムーズに進まないケースも多いです。

弁護士などを交えて交渉を行って、家庭裁判所での調停、審判まで進むと遺産分割が完了するまで、数年かかるケースもあります。そのため、相続財産を受け取るまでに負担も多くかかります。

遺産分割協議後に死後認知が行われた場合は、遺産分割協議には参加できない

死後認知によって民法上の親子の間であると判決が出され、財産を相続する権利があることを証明できたとしても、すでに遺産分割協議により相続発生時点の法定相続人で財産の配分方法が確定している場合、再度不動産等の配分をやり直しをすることは負担が大きくなります。

その場合、遺産分割協議には参加することができず、金銭で求めることになります。死後認知の訴訟を行う場合は、遺産分割協議の状況も確認して、進めるようにしましょう。また、遺産分割協議前であったとしても、遺言がある場合は原則遺言書とおりに配分することになりますが、遺留分に基づいて遺留分侵害額請求を行うことになります。

遺産相続についてお悩みがある場合は専門家に相談を

遺産相続については複雑な制度も多く、実際に判断が難しい例も多くあります。そのため、遺産相続についてお悩みがある場合は自分で解決しようとせず、専門家に相談することを検討してみましょう。

相続については様々な事情がありますので、親族間での話し合いや配分については弁護士が所属する法律事務所に相談にいくとよいでしょう。

一方で相続税の申告書の書き方や財産の評価や調査、特例制度等の相続税対策に関しては税理士にサポートを依頼するとよいでしょう。税理士に依頼する際は財産に関する資料を持っていくとスムーズに話を進めることができます。

弁護士や税理士などの専門家に依頼することで費用はかかりますが、自分で時間をかけずに確実に手続きを進められるというメリットは大きいでしょう。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい