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限定承認に必要な官報公告とは?税理士がポイントを解説!

2025年03月01日

相続が発生すると民法で定められた法定相続人は相続人同士で相談し、遺産分割を行います。

しかし、相続財産を引き継ぐ際にプラスの財産とマイナスの財産がどちらが多いかわからないケースで限定承認を検討している人もいるでしょう。

限定承認をする場合、官報公告をする必要があるのをご存知でしょうか。当記事では限定承認をする際に必要な官報公告の方法や流れについて解説します。

限定承認とは

相続が発生し、相続人が単純承認を行った場合、相続人は被相続人が保有していた財産を引き継ぐ権利と義務を有します。預貯金や不動産など、プラスの財産だけでなくマイナスの財産を返済する責任も引き継ぐことになります。

借金が多いことを相続人が知っており、財産を一切引き継ぎたくない場合は相続放棄をすることで、財産を引き継ぐ権利と義務を失いますが、相続放棄をすると債務の弁済をする必要はありませんがすべての財産を受け取れなくなってしまうというデメリットがあります。

限定承認はプラスの財産を換価して支払える範囲で借金などマイナスの財産の義務を負う制度で、財産の内容が調査できておらず預貯金等と負債がどちらが多いかわからない場合や多額の借金をかかえている可能性があり、不安な場合に有効な制度です。

相続放棄は単独で行うことができますが、限定承認は相続人全員で行う必要がありますので、相続人のうち一人でも反対する者がいると限定承認をすることができませんし、関係が良くない場合は全員で協議して判断に時間を要するケースが多いです。

また、相続発生から原則3ヶ月以内に限定承認の手続きを行う必要がありますので、ゆっくりと熟慮する時間はありません。

相続発生後すぐに、他の相続人の意思を確認し、戸籍謄本や限定承認の申立書など書類の準備をする必要があります。相続人が多い場合、間に合わないケースも多いので期限には注意が必要です。

相続放棄や限定承認は亡くなった人が遺言を作成しており、遺言書で分け方が明確に示されていた場合でも選択することが可能です。ただし、財産を処分した場合は単純承認したものとみなされて相続放棄や限定承認をすることはできなくなってしまいますので注意しましょう。

官報公告とは

限定承認をする場合、家庭裁判所に限定承認の申立てを行い、受理された後に官報での公告を行うことが義務付けられています。官報公告とは後から問題とならないために債権者を探すために広く知らせることで、官報公告には限定承認をしたことと、期間内に債権の申出をすること、申出や請求が無い場合は債権が無効となることを公告します。

限定承認の手続きが完了すると家庭裁判所から受理通知が届きます。限定承認が受理され、相続人の住所に通知が届くと5日以内に官報公告をすることが定められており、相続人が複数いる場合は相続財産精算人を選任し、代表者として財産の管理を行う必要があります。相続人が複数いる場合は、受理された後に誰が手続きを行うかあらかじめ決めておくようにしましょう。

官報公告には数万円の費用がかかりますが、相続財産から支払うことも可能です。

不明点は専門家に相談を

親族に相続が発生し、忙しい中ではあっという間に時間が過ぎてしまいます。今回ご紹介した相続放棄や限定承認は法律上の手続きを短い期間で確実に行わないと選択することができなくなってしまいます。また、被相続人が死亡したことを把握してから3ヶ月と期限も短いため、すぐに準備する必要があります。

相続が開始するとまずは預貯金や株式、土地や建物などの不動産や負債など財産の一覧を作り評価額を計算する必要がありますが、財産が多い場合など調査しきれない場合は限定承認も選択肢の一つとなるでしょう。

限定承認の手続き複雑ですので、手続きの方法や書類の作成方法が分からない場合や自分で処理しきれない場合は、司法書士や税理士など専門家に相談した方がよいでしょう。相談に行く際は相続関連の手続きを中心に行っている法律事務所・税理士事務所に相談に行くことをおすすめします。専門家に相談することで、不動産の登記なや競売になった時の手続き方法などもアドバイスをくれるでしょう。

広島相続税相談テラスでは初回の相談無料で相続に関するあらゆる相談に対応しています。相続についてお悩みの点がある場合は経験豊富な税理士がしっかりとサポートしますので、まずはお気軽に電話やメール等でご連絡ください。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい