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相続税申告の手順とは?

2025年07月19日

相続が発生すると相続税の申告が必要となる場合があります。相続税の申告を行う際はどのような手順で行うとよいのでしょうか。

当記事では相続税の概要や申告を計算する際の手順について解説します。

相続税とは

相続税とは相続が発生した際に財産を受ける人が支払う税金です。相続税を支払うのは必ずしも法定相続人とは限りません。

法定相続人ではない、孫や甥・姪等に遺言書を作成することで遺贈するケースも相続税を負担することになります。

暦年贈与などの贈与税は相続税を補完する役割があります。いくら相続税を課税しても、その前に渡す贈与で税金がかからないのであれば、事前の対策として大半の資産を生前に贈与することで、亡くなった時の手続きでは税金をかからなくすることができます。

このような税金逃れを防ぐために、贈与税として、税金を課すことで、相続税の補完的な役割を果たしています。

相続税の申告手順

相続税の税額を計算し、申告する際はどのような手順で行うのでしょうか。順をを追ってご説明します。

法定相続人の確定

相続税の基礎控除を計算するためにも法定相続人を確定することは重要です。まずは法定相続人を確定することは重要ですが、法定相続人を確認するための情報は戸籍謄本に記載されています。生まれてから相続が開始するまでの連続した戸籍を取得することで、被相続人との関係を把握することができます。

財産の確定

相続税の計算を行うためには、死亡した時点の相続財産を確定する必要があります。課税の対象となる財産は預貯金や株式、不動産だけでなく、金や美術品などあらゆる財産があります。

土地は路線価図、建物は固定資産税評価額で算出します。価値の高い美術品などは個別に鑑定をすることになります。鑑定に時間のかかる財産が数多くある場合は、財産の確定に時間がかかりますので、注意が必要です。

各種財産を一覧の表にまとめ、それぞれの評価額を合計し、課税対象となる財産と差し引く債務を確認する必要があります。財産の総額が基礎控除を超える場合、相続税の申告が必要となります。

基礎控除の計算方法は3,000万円+法定相続人×600万円です。例えば、法定相続人が3人の場合は4,800万円となります。財産の合計が基礎控除の範囲内であれば、税務署に相続税の申告は不要です。

また、生命保険には非課税枠があり、法定相続人×500万円まで非課税となります。生命保険の契約がある場合は、基礎控除+生命保険の非課税枠の範囲内であれば申告をする必要はありません。生命保険の契約をしていることで、相続税がかからなくなることも多いので、必ず確認するようにしましょう。

財産の額が確定しないと税金の計算をすることができませんので、プラスの財産かマイナスの財産を差し引いた財産額を確定することが大切です。

相続税の総額を計算する

相続税の総額は法定相続割合の通りに分けたものと仮定して総額を計算し、各相続人がそれぞれ実際に取得した財産と同じ割合で按分する形で課税されます。

法定相続割合で分けた場合の一人当たりの税額については国税庁のホームページの早見表で確認することができます(リンク)。

各人の配分を決定し、特例の利用可否を検討する

相続税の総額を算出することができたら、各人の配分を決定し、誰がどれくらいの相続税を負担するかを計算する必要があります。そのため、遺産分割の話し合いが完了しないと、それぞれが課税される金額がわかりません。相続人同士でトラブルになり、税金の申告が間に合わないケースも多くあります。

また、財産の内容や受け取る人によって特例を適用することができる場合もありますので、あわせて確認する必要があります。

例えば、小規模宅地の特例は自宅用として利用している宅地を最大330㎡まで80%減額することができる制度です。配偶者や同居の親族、持ち家を保有していない親族などが取得する場合に利用することができます。特例をうまく使うことで、税金の負担を軽減することが可能です。

申告書を提出し、納税する

相続税の計算を行うことができたら、税務署の窓口で申告書を提出のうえ、相続税を現金で一括納付する必要があります。相続税の申告と納税の期限は相続発生の翌日から10ヶ月以内です。相続財産が現金が多ければ、相続した現金で払うことができますが、アクセスが良いエリアにある土地や建物など不動産の評価が高く、税金の額が大きい場合は事前に納税資金の準備もしておく必要があります。

期限を過ぎて無申告の場合は、税務署から調査を受けて、ペナルティとして加算税を課されることがあります。税務署は所得税や固定資産税の額から、資産が多い人を特定していますので、簡単に無申告である可能性が高い人を調べることが可能となっています。

お悩みがある場合は税理士に相談を

相続税・贈与税は制度も複雑で、慣れない人が理解して実際に計算をすることは簡単ではありません。国税庁のホームページに計算方法などは記載されていますが、知識や経験がない多くの人が実際にご覧になっても期限内に申告書や添付する資料の作成をすることは難しいでしょう。

相続税の申告は被相続人の相続発生の翌日から10ヶ月以内に手続きを完了させる必要があります。延滞すると加算税がかかる可能性がありますので、期限内に申告する必要があります。

しかし、配分でトラブルになった場合など、期限内に完了しない例も多くあります。申告期限を過ぎた後に分割が完了し、申告をする場合は特例が使えなくなるなどデメリットも多くあります。

相続税の申告にお困りの場合は税務の専門家である税理士に相談することをおすすめします。税理士に依頼することで費用はかかりますが、被相続人が遺した遺産の評価や書類の作成なども行うことができるため、相続人の負担を大きく減らすことができ、安心して進めることができます。また、特例などを活用することで、結果的に相続税が安くなることもあります。

広島相続税相談テラスでは初回の相談無料で相続・贈与に関するさまざまなお悩みに対応が可能です。お電話やメールなどでお気軽にご相談ください。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい