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不要な実家は放棄できる?

2025年09月20日

相続が発生すると民法で定められた法定相続人全員で話し合って遺産を分割する必要があります。被相続人の財産を遺産相続する際に、相続したくない相続財産もあるかもしれません。

例えば、立地が悪い田舎にある実家もそうでしょう。親が亡くなったことで誰も住む人がおらず、空家となり、誰も利用しないケースも多いです。東京などの都心にある場合は売却して現金化することもできますが、不動産としての価値も低く売却することも難しい場合は固定資産税などのコストや管理の手間だけがかかることもあります。建物の利用価値がない場合も解体すると費用がかかります。

では不要な実家を放棄することは可能なのでしょうか。当記事では相続放棄の手続きやデメリット、注意点について解説します。

相続放棄とは

相続放棄とはすべての財産を放棄することで、相続放棄をした人は相続権を失い、始めから相続人ではなかったこととなり、相続放棄が認められると相続財産を引き継ぐ権利や借金などを支払う義務が一切なくなります。相続放棄をすることで、不動産などを引き継ぐ際の登記の費用なども払う必要はなくなります。

相続放棄は被相続人が死亡した後3ヶ月以内に家庭裁判所に戸籍謄本などの添付書類をつけて申し立てを行う必要があります。相続放棄は相続人の単独の意思で行うことが可能です。生前の対策で被相続人が遺言を作成している場合でも相続放棄は可能です。

親が亡くなった後は誰も住まなくなり、空き家となり活用することや処分することが難しい実家を所有したくない時や借金が多く返済の負担を負いたくない場合は相続放棄を検討するとよいでしょう。

相続放棄の注意点

相続放棄をする際はどのような点に注意をすれば良いのでしょうか。具体的に解説していきます。

全ての遺産を引き継ぐことはできない

相続放棄をした者はすべての遺産を引き継ぐことができなくなります。遺産分割にも参加することはありません。

相続が発生した時に、財産が分からない場合は、負債などマイナスの財産も含めて財産の内容についてしっかりと調査して一覧の表にまとめて確認してから相続放棄をする必要があります。

債務が大きい場合は精算してもプラスになる場合もありますし、明らかに債務の方が大きい場合は放棄をした方が有利ということになります。すべての財産を知っている場合は判断ができますが、財産を把握していないことも多いので、まずは把握することが大切です。

一方で不動産以外の預貯金なども相続することができますので、実家の土地・建物を引き継ぎたくないという理由で相続放棄をすると、預貯金や株式、金など思わぬ大きな額のプラスの資産があった時に損をする可能性があります。

他の相続人とトラブルになるリスクがある

自分が相続放棄をすることで、他の相続人や後順位の親族に財産や借金の返済義務が流れることになります。相続放棄には期限がありますし、裁判所に書類を提出するためには戸籍謄本などの添付資料の準備も必要となります。そのため、自分が放棄をする意思を固めた場合は兄弟姉妹など他の親族に連絡をする方が良いでしょう。

相続人や親族の数が多い場合も、トラブルに発展し、関係が悪化する可能性がありますので、必ず放棄の手続きをする前に連絡するようにしましょう。

全ての相続人が放棄をすると管理義務がしばらく残る

自分が相続放棄を行い、他の相続人が所有者となった場合は、自分が責任を負うことはありません。しかし、すべての相続人が放棄し、相続人不存在の状態となったケースでは、最終的に財産は国庫に帰属されることになります。

相続人不存在となると相続財産管理人が選任され、適切に管理を行いますが、相続財産管理人が選任されるまでの間は相続放棄をした法定相続人が現に占有している場合は管理義務を負います。

もし、老朽化した物件を危険な状況でそのまま放置することで倒壊や屋根が飛んだり、害虫が発生したりするなどの問題が発生し、近隣住民に被害が及んだ場合は管理責任を問われ、損害賠償を請求されるなど法的な責任を問われる事例もありますので、注意しましょう。

相続のお悩みは専門家に相談を

相続は人生で何度も経験することではありませんので、どのような選択をとるのがメリットが大きいのか判断がつかないことも多いでしょう。上記に選択肢や注意点などを解説しましたが、今回ご紹介できたのはほんの一部です。

制度も複雑でよく理解しておかないと正しい判断をすることは難しいです。金融機関の名義変更や不動産の登記などの対応をスムーズに進めるためにも弁護士や司法書士、税理士など相続の専門家と相談して手続きを進めることをおすすめします。

相続発生時点の財産の総額が基礎控除以下であれば相続税の申告は必要ありませんが、相続税の申告が必要な場合は相続開始から原則10ヶ月以内に申告と納付を完了させる必要があります。特例を利用する場合は要件を満たしている判断する必要もあり、知識が無い人にとって相続税の計算は大変ですので、家族の中に慣れている人がいないとなかなか進まないでしょう。

広島相続税相談テラスでは経験豊富な税理士が多数在籍しており、皆さんの手続きをサポートしております。初回の相談は無料で対応しておりますので、相続手続きにや相続税の申告に関するお悩みがある場合は気軽にお電話やメール等でご連絡ください。

 

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい