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相続税専門の税理士がおすすめする相続税の節税対策とは

2025年10月03日

遺産相続について、さまざまなお悩みを抱えている方は多いと思います。その中でも相続税について気になるという方も多いでしょう。事前に対策を行うことで、一般的には相続人にかかる負担を大きく減らすことができる場合があります。
当記事では相続税を低く抑えるためにできる方法についてポイントをおさえて解説します。

相続税を減らすためにはまずはシュミレーションが大切

有効な手段を検討し、相続税を減らすためにまず、最初に行うべきことは節税対策よりも先に現状を把握することです。まずは預金、株式、不動産、金などあらゆる財産を一覧にまとめる必要があります。財産は一つずつ評価をする必要がありますが、家の中に貴金属や美術品など財産の種類が多い場合、各種財産の評価に時間がかかります。

相続税の算出は基礎控除を差し引いたうえで相続人にそれぞれが持つ権利である法定相続割合通りに分けたものときて相続税の総額を計算し、各人が実際に取得する課税対象の財産の額に応じて、按分を行います。そのため、相続人の数が多いと、一人一人の取り分は小さくなりますが、税率も下がるため、相続税は低くなります。

相続税の計算は非常に複雑で配偶者控除や居住用の自宅土地に利用できる小規模宅地の特例など、特例の要件もしっかり理解しておかないと、適用可否を判断し、正確に計算を行うことができません。

配偶者控除は夫婦間で相続が発生し、財産を取得した場合は税金が控除される制度です。例えば、夫が亡くなり妻が相続した財産について1億6,000万円または法定相続割合までは税金がかかりません。

また、小規模宅地の特例は配偶者や同居の親族が自宅を引き継いだ場合に、最大330㎡まで亡くなる前まで住んでいた土地の評価を80%減額することができます。特例を利用することで相続税の実際の支払い額を一定額減らすことが可能です。特に東京や大阪などアクセスが良く評価が高い地域の場合、大きな減額となります。

まずは特例の利用も考慮して相続税の計算を行い、どれくらいの負担がかかりそうか確認するようにしましょう。シミュレーションを行った結果基礎控除以下であれば遺産を相続する際に子が相続税を払う必要がありませんので対策は不要となります。ただし、相続税は二次相続も含めて検討する必要があります。夫婦で一人目が亡くなったタイミングが一次相続、二人目が亡くなったタイミングが二次相続です。二次相続では相続人が一人減ってることや配偶者控除が使えないこと、一次相続で財産を引き継いでいることから一次相続で税金がかからない場合でも二次相続で税金がかかることが多くあります。

また、相続税の申告は相続発生から原則10ヶ月以内に残された家族が申告を完了する必要があります。シミュレーションを事前に行っておくことで、事前に準備を行うことができ、相続発生後にスムーズに財産を受ける手続きをすることができるでしょう。

相続税の節税つながる具体的対策

相続税の節税をするための対策について、具体的な方法と注意点について解説します。

生命保険の非課税枠を活用する

生命保険の非課税枠の活用は多くの人が活用している方法で、簡単で確実に節税が可能です。

生命保険の非課税枠は法定相続人×500万円で、相続人を受取人に指定する死亡保険金に対して適用することができます。法定相続人が配偶者と子ども2人の場合は2,000万円まで非課税となり、相続税額を圧縮することが可能です。

生命保険に加入する際は商品により特徴が異なりますので、商品内容をよく理解して契約することが重要です。商品によっては外貨の為替リスクがある商品や中途解約すると元本割れする商品もありますので、自分にあった商品を選択することが重要です。

生前贈与を行う

生前贈与も確実に節税ができる方法です。暦年贈与を行う場合、年間110万円までの贈与税の非課税枠を活用し、生前に贈与をすることで相続開始時点の課税の対象となる相続財産を圧縮し、納税の負担を軽減することができます。

生前贈与は子ども以外にもできますので、毎年、祖父母から孫にも贈与を行うことで節税効果を高めることができます。

また、直系尊属からの贈与で生活資金だけでなく、住宅取得資金の場合、最大1,000万円まで、教育資金贈与の場合は最大1,500万円を限度に非課税で一括贈与することが可能です。他にも結婚・子育て費用については一括で1,000万円を非課税で贈与することが可能です。

住宅購入の予定がある場合や小さい孫がいる場合、これらの特例をうまく活用することで、節税効果を高めることが可能です。ただし、一括贈与をする際は、相続税を減らすことができますが、親族間で取得する金銭に不公平が生じてしまい、協議の際に問題となる可能性があります。トラブルを回避するために、節税だけでなく配分の公平性にも注意して贈与を行うようにしましょう。

また、生前贈与をしたお金は生活のために受贈者が使うことができる状態にしておくことが大切です。贈与者である祖父母や父母が、無駄使いをさせたくない等の理由で通帳や印鑑を管理して実質的に出金することができない場合は贈与はされていないとみなされ、相続財産に含まれることがあります。贈与契約は贈与したものと贈与を受けた者が双方で合意して成立するため、本人が知らない中で贈与をしても贈与は成立しないとみなされます。

資産を組み換える

所有している資産を組み換えることも、相続財産の評価額を圧縮することにつながる場合があります。

具体的には現金や預貯金を不動産に組み替える例が多いです。不動産は土地は路線価額、建物は固定資産税評価額で評価を行いますが現金から組み替えると時価評価と相続税の計算上の価額に乖離があるため評価額が5割から8割程度に圧縮できるケースがあります。

また、他人に貸す賃貸用の建物を建てている土地については貸家建付地として更地の場合よりもさらに一定額、評価を低くすることも可能です。

ただし、貸家などの投資用不動産の購入はリスクが伴います。固定資産税や修繕費などのコストを支払う必要があるというデメリットがありますし、保有し続けることで地震などの天変地異で倒壊などのリスクもあります。投資用不動産の場合、空室が続き期待どおりに収益が得られない可能性もありますので、無理のない範囲で行う必要があります。

価格が値上がりする場合もありますが、節税できる金額以上に投資で損失が出る可能性もありますので、投資用で不動産を購入する場合は物件により賃貸経営がうまくいくかもしっかりと見定める必要があります。また、管理や確定申告などの手間もかかります。

節税以外の対策も必要

相続に関する手続きは相続税の対策だけではありません。シミュレーションを行った結果、思ったより相続税が高い場合は、ついつい相続税に目がいってしまいますが、相続税以外の対策について解説します。

配分を明確にする

節税を重視するあまり、大きな額の生前贈与を誰かにした場合、不公平となる場合があります。節税のメリットは享受することができますが、取得する現金や受け取れる不動産の価値にあまりにも差がでると、トラブルになる可能性があり、相続人の負担が大きくなります。

また、資産を組み替えてアパートや賃貸マンションを建築した場合なども価値の大きい財産をどのように分けるか分け方を明確にしておくと良いでしょう。

配分を明確にするためには遺言書の作成が重要です。法定相続分を基準に遺言の内容について検討し、財産の配分を明確にすることで、将来相続が発生した時にスムーズに財産を受け取るための手続きを進めることができます。

様々な事情で遺言の内容を決められないという方も多いと思いますが、将来体調的な問題で遺言を作成できなくなる可能性もありますので、現在の状況で遺言を残しておくことが重要です。遺言は作成した後、何度でも書き換えることが可能です。

遺言の形式に問題があると、遺言書のとおりに配分できない可能性があります。書き方について不安がある場合や十分に内容を検討することが難しい場合は、専門家の支援を受けることで安心して進めることができるでしょう。

手続きが円滑にできるようにしておく

相続開始後は税務署へ申告書類の提出や税金の納付するだけでなく、実際に遺産分割をするために金融機関の口座の名義変更や、不動産の登記を行う必要があります。

相続関連の手続きは複雑で仕組みが分からないという方も多いでしょう。自分1人で手続きを行うことが難しい場合は費用はかかりますが、司法書士や税理士など専門家に手続きを依頼することも可能です。

相続税の相談は専門家に相談を

上記に解説したとおり親などが亡くなった時に資産の合計が基礎控除を超える場合は相続税の申告手続きが必要です。基礎控除の金額は3,000万円+法定相続人×600万円です。例えば、相続人が3人の場合は4,800万円となります。

相続税の圧縮を目指す場合は、課税制度を理解し、初めに正確な税額のシュミレーションを行うことが大前提となります。
国税庁のサイトや市販の本など相続税に関する情報は数多く掲載されていますが、相続税は非常に複雑な制度となっており、税制改正もありますので、正確に計算を行うことは簡単なことではありません。

被相続人の財産が基礎控除を超えている場合は相続により財産を取得した者は10ヶ月以内と短い期間で申告が必要です。もし期限を過ぎても申告をしなかった場合や誤った申告をした場合、税務調査で指摘され加算税を請求され、通常よりも高い税金を支払うことになる可能性もあります。

自分で正確に計算をすることが難しい場合は業務として普段から行っており、相続税法の知識を有する税理士が所属する税理士法人などに相談し、財産の評価や特例の適用可否などについて条件を満たしているか不安がある場合は確認するようにしましょう。税務の専門家である税理士に依頼することで、多額の税負担となることを防ぐことができるでしょう。

広島相続税相談テラスでは初回の相談無料でさまざまなご相談に対応しております。お電話やメール等でお気軽にご連絡ください。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい