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孫への遺贈に相続税はかかる?2割加算の仕組みや注意点・税金対策を解説

2026年09月27日

孫に財産を残したい場合、遺言書を作成して遺贈する方法が一般的です。
ただし、孫が遺贈によって財産を取得すると相続税の課税対象となり、原則として相続税額の2割加算が適用されます。
そのため、孫への遺贈を検討するときは、相続税がいくらになるのかを事前に確認しておくことが大切です。
また、他の相続人の遺留分や不動産を遺贈する場合の手続きなどにも注意しなければなりません。

この記事では、孫への遺贈にかかる相続税や2割加算の仕組み、税額の計算方法、注意点について解説します。
生前贈与や生命保険など、遺贈以外の方法も紹介するので、孫への財産承継を考えている方は参考にしてください。

孫に財産を遺贈すると相続税がかかる

孫は原則として法定相続人ではありませんが、遺言書で指定すれば財産を遺贈できます。
その一方で、遺贈によって取得した現金や預貯金、不動産なども相続税の対象です。
ただし、遺産の総額が一定額以下であれば相続税はかかりません。
まずは、孫と相続の関係や遺贈の基本的な仕組みを確認しておきましょう。

孫は原則として法定相続人ではない

民法では、被相続人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外では子、直系尊属、兄弟姉妹の順で法定相続人になります。
そのため、被相続人の子が存命で相続権を有している場合、その子の子どもである孫は原則として法定相続人になりません。
一方、被相続人の子が相続開始前に死亡している場合などには、その子に代わって孫が財産を相続する「代襲相続」が発生するケースもあります。
この場合、孫は法定相続人として遺産相続に関わります。

遺言書を作成すれば孫に財産を遺贈できる

法定相続人ではない孫にも、遺言書を作成して遺贈することで財産を残せます。
遺贈とは、被相続人が遺言によって財産を特定の人へ無償で譲ることです。
遺贈を受ける人を「受遺者」と呼びます。
例えば、「孫に預貯金1,000万円を遺贈する」「所有している住宅を孫に遺贈する」などと遺言書で指定することは可能です。

ただし、遺言書の内容や作成方法に不備があると、希望どおりに財産を渡せないケースもあります。
遺言書を作成する際は、財産や受遺者を明確にしておくことが重要です。

孫への遺贈では相続税が2割加算される

孫が遺贈によって財産を取得した場合、原則として相続税の2割加算の対象になります。
相続税の2割加算は、被相続人の配偶者や一親等の血族以外の人が相続や遺贈などで財産を取得した場合に適用される制度です。
孫は被相続人から見ると二親等の血族にあたるため、通常は2割加算の対象です。
ただし、代襲相続など例外もあるため、不明な点がある場合は税理士など専門家に相談しましょう。

相続税の2割加算とは

相続税の2割加算とは、一定の人が相続や遺贈などによって財産を取得した際に、算出した相続税額へ20%相当額を加算する制度です。
例えば、孫が負担する税額控除前の相続税額が100万円だった場合、2割にあたる20万円が加算されます。
計算式は、「100万円+(100万円×20%)=120万円」です。
つまり、20万円も余計に相続税を収めなければなりません。
孫へ財産を遺贈すると、子へ相続させる場合より税負担が大きくなることがあるため、遺贈する金額や財産の種類も含めて検討しましょう。

代襲相続する孫は2割加算の対象外

被相続人の子が相続開始前に死亡している場合など、孫が子に代わって代襲相続人になることがあります。
代襲相続によって財産を取得する孫は、相続税の2割加算の対象外です。
例えば、祖父が死亡する前にその子である父が死亡しており、父の子である孫が代襲相続する、といった場合です。
同じ孫でも、遺贈によって財産を取得するのか、代襲相続人として取得するのかによって相続税の扱いが変わる点に注意しましょう。

孫を養子にしても原則として2割加算される

孫と養子縁組をすると、孫は法律上の子となり、法定相続人として財産を相続できるようになります。
ただし、被相続人の孫を養子にした「孫養子」は、原則として相続税の2割加算の対象です。
一方、孫養子の親である被相続人の子が相続開始前に死亡しているなどの理由で、孫養子が代襲相続人となる場合には2割加算されません。
養子縁組をすれば必ず相続税対策になるわけではないため、税金だけでなく家族関係や遺産分割への影響も考えて判断する必要があります。

孫に遺贈した場合の相続税の計算方法

相続税は、孫が受け取った財産だけを基準に計算するわけではありません。
まず被相続人の課税対象となる財産などをもとに課税価格の合計額を求め、基礎控除を差し引きます。
その後、法定相続分をもとに相続税の総額を計算し、実際に財産を取得した割合などに応じて各人の税額を算出します。
孫が2割加算の対象であれば、算出された相続税額に20%相当額を加算するのが原則です。
ここでは、計算方法を詳しくご紹介します。

相続財産の総額から基礎控除額を差し引く

相続税には基礎控除があり、2026年現在の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。
例えば、法定相続人が3人の場合は「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」が控除されます。
そして、課税価格の合計額が基礎控除額以下であれば、原則として相続税の申告や納税は必要ありません。
一方、基礎控除額を超える場合は、課税遺産総額をもとに相続税の総額を計算します。

孫が負担する相続税額に2割を加算する

相続税の総額を算出した後、実際に取得した財産の割合などに応じて各相続人や受遺者の税額を計算します。
遺贈によって財産を取得した孫が2割加算の対象となる場合は、税額控除前の相続税額に20%相当額を加算します。
相続税の税率は課税遺産総額を法定相続分で分けた金額によって異なるため、単純に「遺贈された財産の金額×一定の税率」で計算できるものではありません。
財産の評価や税額の算出が難しい場合は、相続税を専門とする税理士や税理士法人へ相談するとよいでしょう。

孫に財産を遺贈するメリット

孫への遺贈には2割加算などの税負担がある一方、希望する孫へ直接財産を渡せるメリットがあります。
相続税だけで判断するのではなく、誰にどの財産を残したいのかを考えたうえで利用を検討しましょう。

財産を孫へ直接渡せる

遺贈のメリットは、法定相続人ではない孫を指定して財産を直接渡せることです。
例えば、教育や生活のための資金を残したい孫がいる場合や、特定の不動産を将来管理してほしい場合などに活用できます。
遺言書で財産と受遺者を明確に指定しておけば、被相続人本人の意思を反映した財産承継を行いやすくなります。

将来の相続を1回減らせる

通常、祖父母の財産を子が相続し、その後に子が死亡すると、同じ財産が子から孫へ相続されることがあります。
祖父母から孫へ直接遺贈すれば、子を経由せずに財産を承継できます。
そのため、長期的に見ると相続の回数を1回減らせ、結果的に節税になる場合もあるでしょう。

ただし、孫への遺贈には相続税の2割加算があるため、直接渡すことが必ず節税につながるとは限りません。
財産の総額や家族構成などによって税額は異なるため、具体的な節税効果を確認したうえで検討することが大切です。

孫へ遺贈するときの注意点

孫への遺贈では、相続税以外にも確認しておきたい注意点があります。
特に、配偶者や子など他の相続人がいる場合は、遺留分を考慮して遺言内容を決めることが重要です。
不動産を渡す場合は、取得後の手続きや税金についても確認しておきましょう。

他の相続人の遺留分を侵害しないようにする

被相続人の配偶者や子など一定の法定相続人には、最低限の遺産を受け取る権利である「遺留分」が認められています。
孫への遺贈によって他の相続人の遺留分を侵害すると、孫が遺留分侵害額請求を受けることがあるでしょう。
例えば、財産の大半を特定の孫へ遺贈する内容の遺言を作成すると、他の家族とのトラブルにつながることも考えられます。
遺言書を作成するときは、法定相続分だけでなく遺留分の割合も確認し、相続人と孫の双方に配慮した内容を検討しましょう。

不動産の遺贈では税金や手続きも確認する

孫へ土地や住宅などの不動産を遺贈する場合は、相続税だけでなく登記などの手続きも必要になります。
また、不動産は現金や預貯金と異なり、相続税を納めるための資金としてそのまま使用できません。
遺贈を受けた孫に十分な現金がなければ、納税資金の確保が課題になることもあります。
不動産の評価額や取得後の負担なども確認し、孫が無理なく受け取れる財産かどうかを考えておきましょう。

相続税の申告・納税が必要になることがある

遺贈によって財産を取得した場合でも、課税価格の合計額が基礎控除額を超えれば相続税の申告が必要です。
相続税の申告・納税期限は、原則として被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。
申告期限を過ぎると、本来の相続税以外に延滞税などが発生することもあります。
孫への遺贈を予定している場合は、受遺者にも相続税の申告が必要になることを伝えておくとよいでしょう。

遺贈以外に孫へ財産を渡す方法

孫へ財産を残す方法は遺贈だけではありません。
生前贈与や生命保険などを利用する方法もあります。
それぞれ税制や利用できる控除・非課税制度などが異なるため、財産の種類や金額、渡す時期に合わせて選びましょう。

生前贈与を活用する

被相続人が存命のうちに孫へ財産を渡す生前贈与も選択肢のひとつです。
暦年課税では、1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除110万円を差し引いて贈与税を計算します。
贈与額や適用する課税制度によっては贈与税の申告が必要です。
また、一定の要件を満たす場合には、相続時精算課税制度を選択する方法もあります。
相続税と贈与税では税率や課税方法が異なるため、生前贈与を相続税対策として利用するときは、税制改正などの最新情報も確認し、将来の相続まで含めて判断しましょう。

生命保険を活用する

生命保険を利用して、死亡保険金を孫へ残す方法もあります。
ただし、死亡保険金の相続税における非課税限度額「500万円×法定相続人の数」を利用できるのは、相続人が取得した死亡保険金です。
法定相続人ではない孫が死亡保険金を受け取る場合、この非課税制度は利用できません。

また、保険料を負担した人や保険金を受け取る人などによって、相続税・所得税・贈与税のどの税金が課税されるかが変わります。
生命保険を利用する場合は、契約者・被保険者・受取人の関係を確認したうえで契約内容を検討しましょう。

孫への遺贈は相続税まで考えて検討しよう

孫が遺贈によって財産を取得すると、相続税の課税対象となります。
また、孫は原則として相続税の2割加算の対象となるため、子へ相続させる場合より税負担が増えることがあるでしょう。
一方、被相続人の子が先に死亡するなどして孫が代襲相続人となる場合は、2割加算の対象外です。孫養子については、代襲相続人となるケースを除き、原則として2割加算が適用されます。

孫への遺贈を検討する際は、相続税額だけでなく、他の相続人の遺留分、不動産の手続き、納税資金なども確認しておくことが大切です。
相続税や贈与税は、家族構成や財産の内容によって適切な対策が異なります。
自分で判断するのが難しい場合は、相続に詳しい税理士や税理士法人などの専門家へ相談し、申告手続きを含めたサポートを受ける方法もあります。

筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい