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財産評価基本通達の概要と基本的な相続財産の評価方法

2021年11月28日

相続が発生した際の分け方や税金の計算は法令で定められています。

「相続税の計算に財産評価基本通達が必要と聞いたけどどんなもの」などの疑問を抱いていませんか。相続が発生しないと耳にしないケースが多いためわかりづらいですよね。財産評価基本通達は、相続財産の金額を評価するときに欠かせない通達です。財産評価基本通達を用いることで、相続税の正しい申告と納税を行いやすくなります。

この記事では、財産評価基本通達の概要と相続財産の評価方法について解説しています。以下の情報を参考にすれば、財産評価基本通達について理解を深めるとともに相続財産の評価方法がわかるはずです。財産評価基本通達が気になる方は参考にしてください。

財産評価基本通達とは

財産評価基本通達は、相続財産をどのように評価すればよいかをまとめた通達です。日本の相続税は、納税者が法律を理解して正しい申告と納税を行う申告納税制度を採用しています。したがって、相続税額の申告にあたり、被相続人が保有する相続財産の評価が必要になります。総則には相続財産の評価方法は、当該財産の取得の時点における時価(相続税法第22条)となっています。

しかし、時価の概念が非常に抽象的であり、相続財産の中には、簡単にその価値を評価できないものがあります。代表的な例として、土地建物などの不動産・株式・死亡退職金・生命保険、金が挙げられます。これらの資産は取引のタイミングや相手、地域などによって時価が変動します。

このような相続財産の評価基準について、各人が各々で解釈をしないことを目的に国税庁がまとめた通達を財産評価基本通達というのです。財産評価基本通達を基づいて評価を行う基準のようなものと考えるとよいでしょう。相続が発生すると相続人は財産評価基本通達を基に財産の一覧を作成する必要があります。

財産評価基本通達は国税庁のサイトマップから確認することができます。上であげた財産はほんの一部です。不動産や株式など以外にもあらゆる資産の評価方法を解説していますので、大量のページになっています。参考に、不動産(宅地)と株式の評価方法を紹介します。

不動産の評価

宅地は、一画地単位(利用単位)で評価します。評価方法は、路線価方式と倍率方式の2種類です。

路線価方式は、道路ごとに付けられた1平方メートルあたりの価格(=路線価)に基づき、その道路に面している宅地を評価する方式です。主に市街地の宅地で用いられています。例えば、一方のみが道路に面している宅地は次のように評価します。

不動産は財産評価基本通達で評価するだけでなく、内容によっては特例を適用することで減額が認められる場合もあります。

【不動産評価額の計算式】
評価額=路線価×補正率×地積

評価額を求める計算式は、道路とどのように面しているかで異なります。

倍率方式は、路線価が定められていないエリアにおける宅地の評価方式です。固定資産税評価額に一定の倍率をかけて算出します。主に郊外で用いられています。

不動産は他人に貸しているなど状況によっても評価が代わります。他人に貸している土地や建物が建っている土地は自由に使うことができませんので、実際に評価が減額されることがあります。

株式の評価

株式には上場株式と非上場株式があります。両者の評価方法は異なります。

上場株式は、課税時期の終値、課税時期の属する月の毎日の終値の平均などの中で、最も低い価額で評価します。

非上場株式の評価方法は4種類です。具体的には、よく似ている上場企業の株価などをもとに評価額を算定する類似業種比準方式、当該企業の純資産を相続税評価額で評価してから発行済み株式数で除して1株当たりの評価額を求める純資産価額方式、類似業種比準方式と純資産価額方式を併用する併用方式、当該企業の直前2期における配当金額をもとに評価する配当還元方式のいずれかを用いて株式を評価します。

自社株式を事業を承継する相続人が相続する場合、納税が猶予される制度もあります。

相続財産は時価で評価

相続財産は時価で評価します。ここでいう時価とは、市場価格のことです。評価のタイミングは、相続が発生した日になります。

相続財産の評価は複雑

いかがでしたでしょうか?今回は、財産評価基本通達について解説しました。ここまで見てきてわかる通り、相続財産の評価方法は非常に複雑です。同じ宅地でも、エリアなどが異なるだけで評価方法は異なります。あくまで時価で評価するという方針に変わりはありませんが、暗号資産など新しい資産がでる度に財産評価基本通達は改正されます。

相続税の申告で誤った評価をすると税務調査で指摘を受ける可能性もあります。相続財産の評価や特例の適用可否についてお悩みの方は、税務の専門家である税理士に相談してみてはいかがでしょうか。

税理士に相談する場合は相続税の実績がある税理士に依頼することが重要です。法人税を専門とする税理士は一般的に相続税に詳しくないことも多いのです。

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筆者情報

氏名:山根 謙二 (やまね けんじ)

資格:税理士(税理士登録番号92527号)
   行政書士(行政書士登録番号18342346号)
   相続手続カウンセラ-

専門分野:相続税、事業承継

出身:広島県廿日市市

趣味:ゴルフ、旅行(海の綺麗な所)

お客様に一言:相続の事なら何でもご相談下さい